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「……!」
「ひかり?何こんな所で座り込んでるんだ?」
聞き慣れた声に、ひかりははっとして額から手を離した。
「おい、具合でも悪いのか?」
膝をついて顔を覗き込んだ勇に、ほっとして答える。
「勇、有り難う。大丈夫」
「そうか。なら良いんだけどな」
勇が腰を上げ、座り込んだままのひかりに手を差し出す。
その手を取って立ち上がりながら尋ねる。
「どうして此処に来たの?」
「ちょっと先生の所に行ってたんだよ。その帰りに、通りかかったんだ」
そう言った勇は、自分が来た道を少し振り返って続けた。
「そういえばさっき、お前そっくりな子とすれ違ってびっくりしたぞ」
見た目だけではなく、雰囲気そのものが似ていて。
思わず立ち止まってしまった。
「似てて、当たり前だよ」
ひかりがぽつりと呟く。
「あの子は、私だから」
「は?」
「思い出したの。私が何処から、何の為に此処に来たのか」
勇の瞳を真っ直ぐに見詰めて静かに語る。
「私は10年後の未来から、貴方を守る為にやって来たの」
佇む二人の間を風が吹き抜けた。
それは過去と現在、そして未来を。
希望と絶望を繋ぐ、始まりの風。
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Reservoir Amulet