03


校門で友人と別れ、自分の家に向かって歩き出す。

大通りから逸れて人通りの少ない道に入って少しした時、勇は立ち止まった。

そして、鋭い眼差しで辺りを見回す。

待ち構えていたらしい数人の男達が勇の周りを取り囲む。

「……仕方無いな」

心底面倒そうに息をつき、続いて不敵な笑みを浮かべる。

「少し相手してやるか」

水の滴る髪をかき上げ、勇は言った。

勇は幼い頃から喧嘩を売られる事が多く、場数を踏んで強くなった。

だから数人の男達を地面に殴り倒す事など簡単だった。

もうかなり前から何故か男達に狙われ、今ではすっかり慣れ切ってしまった為にどうして来るのか考える事もしなくなっていた。

慣れと言うのは恐ろしいものだ。

倒した男に何度か問い質した事もあったが、決して口を割らないから諦めた。

とにかく、男達に狙われる以外は至って平凡な毎日だし、それを望んでもいた。

勇は幼い頃に両親を亡くして施設で育てられ、高校入学と同時に一人暮らしを始めた。

だから普段は勉強やバイトで忙しく、それ以外の事に構ってなどいられなかった。

この先今の生活が変わるとも、変えようとも思わない。





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