02


雨。

それは閉ざされた記憶に、時々強く語り掛けて来るようで。

「おい、どうした?」

勇に話し掛けられて、ひかりははっとした。

学校の二時限目の授業。

窓の外は、朝から降り続いている雨。

「お前、次当たるぞ」

「あ、うん。有り難う」

黒板の内容を確認し始めたひかりの横顔を見ながら、勇も雨音に耳を澄ました。

ひかりがぼんやりするのは珍しい。

この雨のせいだろうか。

そういえば、ひかりと初めて会ったのはこんな雨の日だった。

勇は先程から教科書の陰で読んでいた本に視線を戻す。

雨音の合間から、微かに聞こえて来る何かに耳を澄まして。

それは閉ざした扉の向こうにある、まだ朧で曖昧なもの。

隣の席で、ひかりが教師の質問に答えている。

窓の外は雨。

空に掛かるのは厚い雲。





- 58 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet