夏の夜の夢物語




旅立ちを迎えてから
少しだけ時は流れ
少しずつ想い出は
優しくなって行くから
過ぎ去る時は砂のよう
止める事は出来なくて
戻る事も出来なくても
私は歩き続ける

万里の道を歩いて行く
無数の砂を踏みしめ
すくった砂は指の隙間を
止まる事無く流れる
流れ去る時は一瞬の
夏の夜に見る徒夢
何も残らなくても
ただ夢で会いたい

夏の夜は過ぎ去って
今覚めた夢を想う

貴方の中には残れない
それでも夢だけ見続けて
振り返らずに歩いても
夢は貴方へ繋がって
共にいた時を数えた
黄金の砂は何処へ流れ
貴方の懐かしい微笑みを
いつも夢で描くから

夏の夜を忘れない
いつか夢から覚めても

貴方の愛しい微笑みだけ
ずっと消えずに残るから
砂のように流れる
時の向こうへ……





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