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「じゃあ、あの森には誰もいないんですか?」

「ええ、そうですよ」

迷い無く頷いた女主人の様子に、エンデュミオの事を訊こうとして止めた。

彼が一体何処に住んでいるのか分からないけれど。

訊いても、きっと誰も知らないだろう。

そんな気がした。

「あら、すみません。お疲れなのにすっかり話し込んでしまって。ご案内しますね」

歩き出した女主人の後に続きながら、セレネは小さく溜息をこぼした。

思い返せば返す程、あの出会いは夢のようだ。

深い霧が見せた幻と言われても納得してしまいそうに思えて来る。

それでも、交わした言葉を。

宝石のように赤い綺麗な瞳を。

見詰められた時の鼓動の高鳴りを覚えているから。

夢ではないと確信出来る。

惹かれて行く想いも。

また会いたいと願う気持ちも。





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Reservoir Amulet