24


そして夜は明け、太陽が昇る。

きっと彼が一度も目にする事が無かっただろう朝日が射す。

エンデュミオの体は灰となり、跡形も無く消えた。

でも、まだ全てを覚えている。

真紅の瞳の美しさも。

触れ合った体の熱も。

口付けの味も。

手を動かして自分の首筋を触ると、鈍い痛みが走る。

彼が遺して行った傷だ。

まだ、ちゃんと覚えている。

忘れてくれと言われたけれど、それは無理だ。

全てが、全てが彼の証だから。

いつしか霧も晴れ、古い城だけが明るい日射しを浴びて輝いていた。

セレネは立ち上がり、風に髪を任せて目を閉じた。

本当に、一夜の夢のような邂逅だった。

けれど夢ではない。

夢などで終わらせたくはない。

例えば叶う筈の無い恋だったとして。

例えば二人寄り添う未来は何処にも無くて。

例えば自分の役目が彼の終わりを歌う事で。

短剣で愛しい人を貫く為に出会ったのだとしても。

忘れる事なんて出来ない。

- 44 -







[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet