暗黒の翼.09


霄瓊がそっと歩み寄り、一見何も無い空間を見詰める。

「……此処に綻びが?」

「ああ」

静嵐は頷いて指で空中の一点を示し、そこからゆっくりと下ろした。

「此処にある」

「綴じられますか」

一応質問の形だが、これも命令だ。

先程よりも抑えられた力が体の内に放たれる。

「当然だ」

言い切って、指でなぞった空中を睨む。

もう二度と此処からあんな生き物が入り込まないよう、力を綻びに注ぎ込んで綴じ合わせる。

本来あるべき姿に。

「……終わった」

短く告げると、霄瓊が小さく息をつくのが分かった。

力を使う方よりも制する方が気力を使うから、疲れるのは当然だ。

それでも霄瓊は静嵐に向かって頭を下げ、微笑んで言う。

「有り難うございます」

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