04
心を込めて曲を奏でる彼等を見ている内に、何となく伝わって来た事がある。
そう、きっと彼等は知っているのだ。
死という別れが、何の前触れも無く訪れる事を。
残された者の痛みを知っている。
そして残して逝く方の痛みも。
知っているから、分かっているから、彼等は音楽を通じて叫んでいる。
生きている事の素晴らしさを。
生きている限り、世界は優しいんだと。
いつ何が起こって終わってしまうか分からない命だからこそ。
人との出会いに感謝し、何気無い日常に歓びや幸福を覚え。
時には苦しみながら、辛さを抱えて。
それでも懸命に生きて行く。
そうして生きている事自体に価値があるんだ。
愚かしい程に足掻いても、ただ生きているだけで。
ああ、きっと和樹は僕にこれを伝えたかったんだろう。
そうだよな、和樹。
心の中でそう問い掛けた時、今和樹もこの優しい音楽を何処かで聴いている気がした。
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Reservoir Amulet