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確かに今のこの一時は、彼等の生み出す音楽が見ず知らずの、こんなに大勢の人間を結び付けている。

この瞬間は、それぞれの人生の中で流れている時間を共有している。

生を、分かち合っている。

そう思うと、次々に奏でられる音楽が、より一層輝いているように感じた。

どうしてだろう。

今まで音楽に、こんなに感動した事は無かったのに。

光が煌めくステージに立つメンバーの一人一人を見ている内に、何となく伝わって来た事がある。

そう、きっと彼等は。

瞬く間にライブは終わりに近付き、アンコールの曲となった。

激しい曲を歌い上げた後、拍手が鳴り止むのを待って羽衣が口を開く。

「次が本当に、今日最後の曲となります。これは私達にとっても大切な曲で……」

羽衣はそう言いながら、横に立ってギターを持つ幸希と視線を交わした。

それから他のメンバーを見回し、続ける。

「私が初めてリュウカエンの一人としてステージに立った時に歌った曲です。私にとっては生きてこうして此処で歌えて貴方に会えた事、全てが奇跡でした。だから、この曲を通して伝えたいと思いました」

羽衣の視線は静かに彼女の話を聞く観客の方に向けられ、再びステージ上のメンバーの方へと戻った。

最後に幸希と微笑み合ってから、羽衣は言う。

「生きている事は素晴らしいと。生きている限り、世界は優しいと。苦しい時や辛い時に、この歌で少しでも背中を押せたら嬉しいです」

そして、伴奏が流れ出した。

それまでの熱気を優しく鎮める、穏やかな旋律。

羽衣が一つ一つの音に重ねるように歌い出す。

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