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朝の空気は一段と澄んでいて、清々しい。

箒を手に神社の境内の掃除をしていた翼は、ふと手を止めて空を見上げた。

青空が映る視界を、黄金色の鹿によく似た姿が横切る。

「良かった。大分元気になったみたいですね」

手を差し伸べると、輝く神は軽やかに着地して体を寄せて来た。

眩しい程の毛並みに触れ、少しずつ取り戻されつつある神気を確かめながら話し掛ける。

「完全に元気になるまでは、此処でゆっくり体を休めて下さいね」

すると紅の両眼が感謝するように光り、それからすっと姿が見えなくなった。

それでもこの神社の中にいる事は伝わって来る。

だから頑張って、此処を清く保たなければ。

居場所を無くしたもの達が、せめてこの中では生きて行けるように。

そうして少しずつ、人の事も好きになってくれるように。

自分に出来る事なんて、本当に小さいけれど。

この神社の空気を守って行く事も、大切な務めの一つだ。

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