02
朝の空気は一段と澄んでいて、清々しい。
箒を手に神社の境内の掃除をしていた翼は、ふと手を止めて空を見上げた。
青空が映る視界を、黄金色の鹿によく似た姿が横切る。
「良かった。大分元気になったみたいですね」
手を差し伸べると、輝く神は軽やかに着地して体を寄せて来た。
眩しい程の毛並みに触れ、少しずつ取り戻されつつある神気を確かめながら話し掛ける。
「完全に元気になるまでは、此処でゆっくり体を休めて下さいね」
すると紅の両眼が感謝するように光り、それからすっと姿が見えなくなった。
それでもこの神社の中にいる事は伝わって来る。
だから頑張って、此処を清く保たなければ。
居場所を無くしたもの達が、せめてこの中では生きて行けるように。
そうして少しずつ、人の事も好きになってくれるように。
自分に出来る事なんて、本当に小さいけれど。
この神社の空気を守って行く事も、大切な務めの一つだ。
- 40 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet2