同じ顔のふたりに挟まれています(恋愛的な意味で)
※夏油+羂索×男主
※夏油(弟)と羂索(兄)が兄弟
※祓本&ピンチャン軸
※本誌派向け



「なまえくんお疲れ様」
「なまえお疲れ様」
「お疲れ様で、す…」

楽屋の前で鉢合わせたふたりは不快感からお互いの足を蹴り合っている。いつもそんなふたりを宥めるのはアイドルの僕なまえ。この構図が定着したのもどうやら僕は祓ったれ本舗の夏油さんと、ピンチャンの羂索さんに気に入られているようだったから。楽屋ではしょっちゅうこの兄弟が遊びに来てくれて、ふたりとも芸人なだけあって話も面白いし、いつも甘やかしてくれるから懐かないわけがなかった。

「これ差し入れ。良かったら食べて」
「わぁ!ここ有名なケーキ屋さんですよね?嬉しいです!」
「食べてみたいって言ってたものね。せっかくだし食べさせてあげる」
「それ五条悟用じゃない?またパクってきたとか味をしめたんだね」
「うるさいな。なまえが喜べばそれでいいだろ」

実はこないだ貰ったケーキも五条さんが楽しみにしてたやつだった。それを夏油さんが持ち出したせいでブチギレた五条さんが楽屋まで来て怖い思いをしたのだ。夏油さんにしがみついて助けを求めても「悟のことは気にしないで」ってケーキを口に運んでくるし甘さと怖さで頭が混乱した。後日五条さんにはお詫びをしたけれど、結局は渡したお菓子も夏油さんが貰ったと聞いた。夏油さんって食いしん坊なのかもしれない。

「そんなのより私のを食べてよ」
「これって…」
「甘いの好きって言うからクッキー焼いてみたんだ。たまにはこういうのもいいだろう?」
「すごい!羂索さんって料理できるんですね!尊敬します!」
「なまえくん、悪いことは言わないから止めときな。何入ってるかわからないよ」

でも手作りってなかなか食べる機会ないから嬉しいかも。それに羂索さんって相方さんのこと大好きだからその練習なのかなって。言ったら怒られそうだけど。楽屋のテーブルにもらった物を並べて、今日もふたりに挟まれながら座る。ふたりとも大きいからちょっと情けない気持ちになるけど、甘い物の前ではそんな悩みなんて吹き飛んじゃうよね。

「はい、なまえくん。あーんして」
「あーん…っん!おいひい!」
「ほら、こっちも食べて。あーん」
「んんっ、おいひぃ…」

じっと見つめられるのは恥ずかしいけれど、差し出されたらつい食べちゃう。太らないようにしないといけないのになぁ。

「なまえって美味しそうに食べてくれるよね。作りがいがあるなぁ」
「だって本当に美味しいんですもん!クッキーも大好きだから嬉しいです!」
「今度は違うのも作ってあげようか?実は肉じゃがとか得意なんだよね。だから今度私の家に…」
「それよりなまえくん聞いてよ。こないだロケで行ったんだけど、ここのケーキすごかったんだよ」
「えっ本当だ!カラフルで綺麗!」
「今度一緒に行こうよ。定番モテ料理の練習台にさせられるくらいなら私と一緒の方が断然いいもんね」
「えーっと…」

答えに迷う僕に救世主登場、ドアのノック音が終わりを告げた。残念だけれど今は助かったかな。

「夏油さん、そろそろお時間です」
「羂索さんもスタンバイお願いします!」

マネージャーさんの言葉にふたり同時にため息を吐いた。こういう時にやっぱり兄弟なんだなって感じる。渋々立ち上がったふたりを見送るために扉までついて行けば、夏油さんが申し訳なさそうに眉を寄せていつもの言葉を告げた。

「なまえくん、いつものしてくれる?」
「もちろんです!」

夏油さんがこのあとのお仕事を頑張れるようにぎゅーって抱きしめる。握手会ならぬハグ会。僕まで元気を貰えるようで実はちょっと嬉しい。頭を撫でる大きな掌も気持ちいいもん。

「は…なにそれ、私にもしてよ」
「ダメだよ。私だけのハグ会だから」
「僕はいいですよ。羂索さんが嫌じゃなければ」
「なまえくん!」

夏油さんから離れて手を広げれば、羂索さんとの距離が近づいて身体が温かくなる。広い胸に頭を預けるといいにおいがした。ふたりは香水の趣味も似てる。

「お仕事頑張って下さいね」
「ああ、君のために稼いでくるね。留守は任せたよ」
「なんだか夫婦みたい。ひゃっ!どこ触って…っ!」
「勝手にケツを揉むな!私のなまえくんから手を離せ!」

僕を離そうとしない羂索さんに夏油さんが怒るけれど「本当にもう時間ないです!」とマネージャーさん達が叫ぶから、今度こそ本当に楽屋から出ていってしまった。しんと静まる楽屋はまた早くふたりに会いたいって思わせるのだった。



思えばふたりと仲良くしてもらってからお仕事が増えた。今や大人気の祓ったれ本舗だから冠番組を持っていて、そのゲストに呼んでくれた時は嬉しかったな。あとバラエティ番組の企画で「祓ったれ本舗夏油さんの会いたい人ドッキリ」もした。コンビでのロケと思わせておいて実は僕とのロケでしたって、ネタばらしした時の驚いている顔が新鮮だった。

「まさか君とだったなんて、番組の企画だとしてもデートできて嬉しいよ」
「へへ、僕も嬉しいです。今日は楽しみましょうね!」
「君が思っている以上に浮かれているから覚悟しててね」

ファンの人が見たら倒れちゃう位にずるいウインク。男の僕ですらグラつくもの。照れ隠しに急かすように街ブラロケを開始した。でも夏油さんは甘い物を見つければすぐに「あれ好きそうだね。食べる?」って聞くし、なんとなく雑貨を見つめていれば「せっかくだしお揃いにしようか」って、段々僕の知ってるロケと違う気がしてきた。だってデートっていうのはその場のノリにのっただけなのに、本当にデートしてるみたいなんだもん。レストランに入って食レポをすれば、またしても夏油さんのペースにのまれてしまう。

「ほっぺ、ついてるよ」
「ん…?」
「そっちじゃなくて反対。ふふ、仕方ないな」

僕の口元についていたのを、そのまま自分の口に運ぶから顔が熱くなった。正直いつもの事だけど今日はカメラの前で大勢のスタッフさんがいるんだもん。奥にいる女性スタッフさんなんて口元抑えて悶えてるよ?

「美味しいね。ねぇ、こっちも食べてみてよ」
「じ、自分で食べれます…!」
「今更恥ずかしがるんだ?いつもやってあげてるのに。はい、あーん」
「んむっ!」

放送を見たら「それ恋人にやるやつや!」ってツッコミが入るほど、夏油さんが過保護な様子を全国に晒してしまっていた。僕のせいで夏油さんのイメージが下がるんじゃないかって不安だったけれど反響は良かったらしい。思えば五条さんの面倒もよく見ているし意外ではなかったのかも。恋人にしたいランキング1位も納得だ。それでも不安になってSNSでエゴサーチしてみたけれど「夏主は公式が最大手」「夏主もう付き合ってんじゃん」って感想が並んでいた。どうやら夏主っていうのが僕たちを呼ぶ時の名前らしい。これは仲良くしてて嬉しいってことでいいのかな?たしかに好きな人たちが仲良くしてたら嬉しいもんねと、頭の中に浮かんだふたりのことを考える。そして羂主っていうのも同じくらい見かけるけれど、こっちはなんだか過激な文章が多かった。泣かせて欲しいとかNTR?とかエッチそうなのは見ないふりしておくね。



羂索さんもピンチャンでやっているラジオのゲストに呼んでくれたんだ。でも高羽さんが読上げたひとつめの質問は「好きなタイプ」で、アイドルだからちょっと答えにくい内容だった。

「私の好きなタイプはよく笑う子かな。甘いものが好きで餌付けされちゃったりして、ちょっと手のかかる子ほど可愛いよね」
「随分具体的じゃねーか。もしかして誰か特定の相手でもいんの?」
「さぁね。あと手料理を美味しそうに食べてくれると最高」
「羂ちゃん料理できんの?!初めて聞いたけど!」
「高羽は?」
「無視かい!まぁ俺は清楚系かな。黒髪にグッとくるけど、波長が合えば他は何でも良いや」
「いかにも童貞の好きそうなタイプだよね。あ、バラしちゃった」
「お前わざとだろ!てか童貞じゃねーから拡散しないでくださいね!」

羂索さんの好きなタイプってなんだか聞き覚えがある。作ってくれた料理だって相方さんに向けた練習だと思っていたのに。まさかそれって…。

「なまえは?」
「えっ!あ、あと…」
「もう本番中だよ。それとも気になることでもあったかな」
「っ…僕は好きになった人がタイプ、です」
「なまえくんまさにアイドルっぽい!可愛い!」

褒めてくれる高羽さんの声よりも、黙ってこちらを見つめる羂索さんの意図が気になって仕方がなかった。まだドキドキしてる。だめだ、ちゃんと切り替えないと。

「次はなまえくんに質問が来てるぜ。なになに、なまえくんは祓本の夏油さんとピンチャンの羂索さんと仲が良いみたいですが、ズバリ兄と弟どっちが好きですか?」
「へぇ、それは是非聞きたいなぁ。ちなみにどっちもはナシだよ」

この流れでこの質問は心臓に悪すぎる。ふたりとも同じくらい好きだから答えられないのに。夏油さんはいつも面倒見がよくて優しくしてくれて、羂索さんだって同じくらい構ってくれて優しくしてくれる。ダメだけどどっちもって言っていいかな。

「答えられないってことは、君にとって私はその程度だったんだ。あんなに尽くしたのに簡単に捨てるんだね…ぐすっ…」
「ああっ!泣かないでください!」
「私ばっかり好きなんて馬鹿みたい…遊ばれてたのね、しくしく」
「なんか羂ちゃんが言うとスケベだな」
「高羽、今いい所だからお口チャック」

手に隠し持った目薬に気づかないまま、僕の一言で羂索さんが喜んでくれるならと口を開いた。だってここはピンチャンの現場だし、そう答えるべきだよね。

「……羂索さん」
「ちゃんと言ってくれないと」
「羂索さんの方が好きです」
「うん、私も。やっと言ってくれたね」

本当はふたりとも同じくらい好きだけど、大人がこんな場所で泣いてしまうほど僕が傷つけてしまったんだもの。だから仕方ないよね。

「うっわ、見たこともねえ笑顔してる。ご機嫌な羂ちゃん不気味なんだけど…っと今日の質問コーナーはここまで!次回は…」

放送終了後、SNSのトレンドに「羂主結婚」と入ってしまって、ファンの人が夏油さんへ問い詰める結果となり、ちょうど配信をしていた夏油さんは膝から崩れ落ちるほどダメージを受けていたと聞いた。そして夏油さんへの「元気だしてね投げ銭」もトレンドに入った。どうやらみんな課金して慰めているらしい。まさか自分の一言がここまで影響があるとは思わず、慌てて夏油さんに連絡する。

「ラジオのは誤解なんです!夏油さんのことも大好きです!」
「わかってるから大丈夫だよ。兄の悪ふざけに付き合ってくれてありがとう」
「でも落ち込んでるって聞いて、ちゃんと謝りたくって…僕どうしたらいいですか?」
「そこまで言うなら一緒にご飯行きたいな。明日の夜って空いてる?」




仕事終わりに夏油さんと合流して、予約してくれていたお店へ。人目を気にせず話せるようにって個室でふたりっきりにしてくれた。ラジオの件で後ろめたい気持ちになっていたけれど、いざ会ってみるといつも通りの夏油さんで安心した。ご飯に合うお酒を教えて貰っていつもより食も進む。

「ところで、羂索の方が好きだったんだね」
「だから誤解ですって!夏油さんのことも好きです!」
「そうだね、君が大切に思ってくれてることは分かってるよ。でも言葉の力は偉大だから考えてしまうんだ。現にSNSでもすごかったろう?だからせめて今だけでも私の方が好きって言ってくれたらって…」

「好きって言って」なんて握手会でよく言われるじゃないか。求められる度に返した「好き」だって本当だった。ありがとうを好きで返すならば今も変わらない。でもグラスの水滴がコースターに落ちるのをみて羂索さんの涙を思い出した。

「夏油さんの方が好きです」
「うん、私も。なまえくんのことが好きだよ」

きっと仲間はずれが嫌とかあいつばっかずるいとかその程度だよ。でもあまりにも優しい目で話すから恥ずかしくなってきて、この気持ちを誤魔化すようにグラスを手に取る。夏油さんは止めなかった。その時点でおかしいって気づけなかったのはやっぱりお酒のせいだよ。

「なまえくん酔っちゃった?」
「よってないれす!」
「あらら、そろそろ出ようか」

真っ直ぐ歩くことすらできない僕は、夏油さんに肩を抱かれながらお店を出る。どう考えても飲みすぎたけど今更遅い。半分目を閉じながら夏油さんの腕に絡みついて頭をぐりぐりして遊ぶ。

「このまま返すの心配だな。そうだ、家においでよ。明日オフだったから丁度いいよね」
「あっれ〜奇遇だね〜」

声のする方へ目を開けると羂索さんが居た。なんでここに居るんだろう。やっぱり兄弟だからテレパシーとかあるのかな。

「ッチ、何が奇遇だよ。邪魔するな」
「お持ち帰り失敗したからって怒るなよ。なまえは私の方が好きなのにそいつといるなんて悲しいなぁ」
「営業トークを真に受けるなよ。冗談も通じないとか芸人失格だろ」
「それこそ笑いで返せよ。ていうかお得意のBL営業なら面の良い相方としてたらいいのにまだ足りないんだ?もしかして‎ゲイ向け雑誌の表紙狙ってる感じ?」
「お前こそ仕事少ないから焦ってるんだろ。なんせ私は多忙だからね」
「余計なお世WiFi〜」

舌を出して挑発する羂索さんにブチギレた夏油さんは胸ぐらを掴んだ。道端で大柄の男が言い争っていれば目立つ。なによりまた僕を挟んで喧嘩するから楽しい気持ちがなくなっていくようで思わず叫んでいた。

「ふたりとも仲良くしないと絶交れしゅ!」
「なまえ?!」
「なまえくん?!」
「ふたりとも嫌いになっちゃうもん!もう楽屋も入れてあげない!」

あまりにも僕が騒ぐから夏油さんが手で口を塞ぐ。そして羂索さんはそれをただ笑って見ているだけ。全然解決になってないから暴れて騒ぐのを止めないでいると新たな提案があった。

「むむー!むむむー!」
「わかった!わかったから!なまえくん静かにして!」
「はは、やっぱり面白い。ねぇ近くに車止めてあるから私の家に来なよ」
「むー!」
「おい、何を勝手に…」
「君の家よりもベッドが大きいって言ったら?」

ベッド?なんの関係があるんだろう?わかんないけど二人が仲良くしてくれるならそれでいいや。半分意識を飛ばしながら車に揺られる。隣に座る夏油さんにもたれかかりながら、たまに髪を梳く大きな掌が気持ちよかったことだけは覚えていた。



「なまえ、お水飲んで」
「む……」
「こんなに酔わせて何する気だったんだか」
「そもそもお前が来なければ予定通りだったんだよ」

ソファに座りながら酔い冷ましのお水を飲むと、少しずつ頭が冴えて来て周りを見渡すと知らない光景。左右には僕を挟むようにふたりが座っている。夏油さんとご飯食べたら羂索さんがいてそれで…?

「ここは私の家だよ。酔ってたから覚えてないか」
「なまえくんが仲良くしないと絶交って言うんだもの。私たちが仲良くするには君の助けが必要だからね」
「僕にできることですか…?」
「うん、ひとつだけ方法があるんだ」

ふたりの手が膝を撫でて耳元で囁く言葉は、あまりにも魅力的だった。

「「私たちと恋人になって」」

やっぱりあの「好き」は本気だったんだ。ファンの子を見てれば自然とわかるようになったもの。それにふたりの距離がおかしいことだってとっくにわかってた。それでも気づかないふりをしていたのは、どちらかだけを選ぶなんてできなかったから。信じたいけど信じたくない。だってこんな僕に都合のいいことってずるいもの。

「でも男同士だし…」
「愛しい気持ちに性別なんて関係ないね。それに今まで以上に甘やかしてあげるし、気持ちいいことだってしてあげる」
「そんなのだめです…僕アイドルだから…」
「言わないだけでみんなしてるよ。裏では誰かのものさ。君だってとっくに私たちのことが好きだろう?」

ひとつずつ答えた「好き」は試されていたんだ。きっとふたりもこの選択肢に辿り着くまで悩んで、それでもこの道を選んでくれた。それなのに僕だけが答えられないなんて本当にいいの?

「……ずっと言えなかったんです。どっちかだけなんて選べないし、関係が終わるくらいならって。でもやっぱり本当はふたりのことが好き…っんん!」

夏油さんが僕に口付ける。初めてのキスは愛しさが身体から溢れてくるみたい。どうしよう、本当に好きなんだ。

「っ…はぁ、夏油さん…っ、好きです…」
「ようやく素直になってくれたね。好きだよなまえくん」
「ねぇ私のことも好きって言ってよ」

拗ねた羂索さんが僕の身体を反対に向けると、頬を膨らませていて可愛く見えた。

「羂索さん、好きです…」
「うん、私もなまえが好き。だから消毒しようね」
「っんむ、ん…っんぅ…」

さっきとは違う舌を使った口付けにじわじわと涙が滲むけれど、頭を抑えられていて逃げられない。食べられてしまいそうで少し怖いのに、くちゅくちゅと鳴る音にますます熱が上がる。息苦しくなって胸を叩くと名残惜しそうに唇を舐めて離れていった。

「消毒ってさぁ、仲良くしてって言われたばっかりだろ」
「そうだ、絶交されちゃうんだった。でも可愛い顔してるから大丈夫そうだよ」
「う…見ないで…っその、はじめて、だから…」
「真っ赤になって可愛いね。もっとキスしてあげる」
「ん…っや、んぅ……っふ」
「ねぇこのままヤっちゃう?ゴムもローションもあるけど」
「んー…悪くないね」

代わる代わるふたりと唇をくっつけて、いつの間にか繋いでいた手をぎゅっと握りしめた。唇がじんじんする。でも気持ちいい。きっとふたりは僕が知らないことをこれからたくさん教えてくれるんだろうな。




「は……っ!夢?!」
「「じゃないよ」」

起きたら夏油さんと羂索さんの3人でベッドに居た。酔いながらもしっかりと残っている記憶に恥ずかしくなって、赤くなった顔を両手で隠した。

「こんなの不健全だ…」
「もう恋人だからいいんだよ。それに不健全なこと嫌いじゃないだろう?」
「キスするのだって本当は好きなんだもんね。ほら、顔を隠していたらしてあげられないよ?」

なんだかふたりが勘違いしてる気がして小さな声で呟いた。

「キスが好きなんじゃなくて、ふたりが好きなんです…」
「「知ってる」」

両頬に柔らかい感触がして、ふたりに優しく手を繋がれる。挟まれながら抱きしめられたら微笑みは伝染してそのまま唇へ。愛しさに抱かれながら微睡んだのも束の間、この構図は週刊誌でも見ることになる。「泥沼三角関係?!なまえに絶交を突きつけられるふたり!お持ち帰りの結果はいかに!」って何この記事!こないだの夜の出来事をまさか撮られていたとは、思わず週刊誌デビューしてしまった。僕はこのままアイドル続けられるのかなぁ…。



おまけ

▼エゴサーチしてる夏油

「んー…猿の文章を褒めるのは癪だけど、この夏主は悪くないね」
「またエゴサしてんの? 」
「ただの猿共の妄想をしぶしぶ見てやってる作業さ」
「でも五夏五より少ねーんだろ?やっぱ相方最強だよなー」
「これから大手カップリングにしてやるさ。今に見てろ」
「は、もしかして解散の危機?あの泥棒猫め…!」


▼裏垢で羂主を流行らせようとしてる羂索

「なまえは赤らめた顔で羂索の欲を掻き立てるのだった…っと」
「羂ちゃん何してんの?もしかして小説書いてる感じ?」
「官能小説作家としてデビューしちゃった。イエーイ」
「マジ?!サインくれよ!てか読みたい!」
「ええー、楽屋でシコられたくないんだけど」
「だから童貞じゃねーって! そのいじりやめろ!」

もどる
はじめ