首と傷
※3Z山崎×男子生徒


隣の席の山崎くんは首にキズがある。
山崎くんにそれどうしたの?ってきいたら「生まれた時からあるんだ」って。
「前世でなにかあったりして」なんて笑った僕に困ったような顔をしていた。

それから、気づけばずっと山崎くんの首を見てしまう。
寝たふりをした授業中、机に突っ伏して少し低くなった目線をチラリとやる。
体育の時、普段は学ランであんまり目立たないそこも体操服だから丸見え。
一緒に教室を移動する時も首にキズがある方を僕は歩く。
なんでこんなに執着しちゃうんだろう。


放課後、ふたりっきりになった教室。
何故かそのキズに触れたくなって、そっと手を伸ばす。
山崎くんは避けるわけでもなく、ただ、待ちわびていたかのような顔をして僕のことをじっとみつめていた。

「痛い…?」
「痛くないよ」
「そっか、昔からあるんだもんね」
「そうだよ、ずっと前から」

ずっと前から、その言葉になんだか懐かしいような苦しいような。
自分じゃよくわからない感情があふれてきて、山崎くんのキズに触れながら、僕は泣いていた。

「山崎くん、僕にもキズをつけて」
「みょうじくんはあの時と同じことを言うんだね」
「…あの時?」
「ね、目をつむって」

山崎くんに言われるまま、目をつむってじっと待つ。
じんわりとした体温と少しの汗のにおいがちかくに山崎くんがいることを知らせると、僕の首すじにあたたかいものが触れて一気に熱くなった。

「ッ、い…った、……」
「これでまた一緒だね、なまえ」

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はじめ