※山崎×ツンデレ隊士
山崎が山崎で山崎が山崎に山崎を山崎に山崎山崎山崎山崎山崎山崎山崎山崎…………
朝起きたら山崎がふたりいた。
右をみても山崎、左をみても山崎、真ん中に俺がドーン。
昨日は同じ布団で寝ていたはずだけど、その時は1体だったよな?アレ?と唸っている俺に、うーんと唸りながら山崎の腕がふたつとも腰にまわってくる。
アッこれ生きてる、あったかい感触に現実が直視できなくて思いっきり布団をぶっ飛ばして逃げた。
どっか踏んだみたいでギャッて声がしたけどどっちの山崎かわからねえ。
全速力で走った廊下に沖田さんを見つけて飛びついた。
どうしたんでぃって落ち着いた声にスンスンと鼻をならして泣きそうになっていると、隣の襖がひらいて土方さんがうるせえぞと怒鳴る。
ここは土方さんの部屋の前だった、けれど今は鬼の顔すら安心できてしまい涙がドッバアアとあふれる。
「お、おきたら!山崎がっふたりいてぇっ!」
「山崎がふたりだァ?てめー寝ぼけてんのか」
「どうやらマジみたいですぜ。あそこからこっち向いてらァ」
廊下のはしっこから、お得意のジト目でこっちを見てる頭ふたつ。
おまえはおばけかよ!!!!!
「踏まれた痛さで起きて、隣見たら俺がいて…もう、わけわかんないですよ」
「俺だってわけわかんないよ〜おまえ本当に俺かよ〜」
混乱しているのは俺たちだけじゃない、山崎本人こそこの状況がまったく把握できずにいる。
土方さんから「お前にはわかんねえのか?」と聞かれるが、どっからどうみてもふたりとも同じ顔だし全然わかんない。
じぃっと山崎たちを見ていればふたりともポッと赤くなった、今そういう場合じゃねーぞ。
「それならオメー、一発ハメりゃわかることでさァ」
「総悟ォオオオオ?!?!」
「「沖田隊長さすがですね!!」」
「3Pはキツいです無理です!!」
最後の俺の言葉はなかったかのように扱われたあげく、沖田さんにくっついたままだった俺は、首根っこをつかまれて山崎に渡される。
土方さんも沖田さんも解決したなって俺を捨てていったけど間違いなく、俺がすっごく可哀想なやつだからな!覚えとけよ!
そのまま俺は部屋に連れ戻されて、目の前には山崎がふたりならぶ。
やっぱりあったかい感触のする手に現実を感じていると、するすると服の中にはいってきて、俺の首すじにキスがたくさんおちてくる。
流されちゃだめだ!そもそもこれが本当に山崎なのかわかんねえんだぞ!
ジンと熱を帯びてきた体に負けじと声をふりしぼった。
「アッ……ま、まて!昨日っ背中に、つめ…!」
「「……つめ?」」
「ひっか、いた…からっあると、思……」
俺の言葉に動きを止めて、自らぺろんと服をめくってみせた。
「「俺たちどっちにも同じ痕があるね」」
「マジでふたりとも本人かよ…」
これが山崎生活のはじまりだった。
細胞分裂した山崎に犯されそうになって、しかもどっちもガチで本人で、それでもやっぱ心の準備も何も無い状況に無理って思って逃げた。
あとから冷静になってみれば、いまは山崎のことちゃんと調べてやらなきゃって。
でも、ひとりじゃ何されるかわかんないから、ちょうどそこにいた原田さんを引き連れて山崎にいろいろな質問をした。
昨日へんなの食べた?とか沖田さんがイタズラしたんじゃ?とか聞いてみてもいつも通りの日常で突発的に起きた大事件だってことだけがわかった。
さすがに少ししょんぼりした様子の山崎が、やっぱり沖田さんが言ってたアレしかないって言い出したので、あばよの一言と原田さんを置いて部屋を出たのが昨日の夜だ。
朝からお得意の「はいよ」と返事が聞こえたと思えば早速外に出ていったし、かたっぽはミントンしてる姿が廊下からよくみえる。
山崎はもともとすご〜く便利な、いや、結構優秀な奴だ。
監察として活躍するかたわら、土方さんの立派なパシリとして励んでいる。
これは山崎だからこそなりたつ立場なのだろう。
それにしても、ふたりいると呼ぶのに不便だな。
山崎とザキで区別するのが無難かなと思ったけど、そもそもみんなにザキって呼ばれてるしな…
「右崎と左崎、いや、山崎1号2号…?」
「そこは退じゃないの、なまえ」
ミントンザキがいつの間にか近寄って来ていたようで、口に出してしまっていた呼び方をバッチリ聞かれていたようだ。
「おまえらの呼び方すっごい悩むんだけど」
「名字と名前でわければいいじゃん、俺のこと名前で呼んでよ」
この山崎グイグイくるな、なんだか話し方もいつもよりしっかりしてる…?
そう思っていると副音声のように俺の名前が呼ばれる。
「なまえ、俺のことも名前で呼んでよ〜!そいつだけずるいなぁ」
「あ、パシリザキが帰ってきた」
こっちの山崎はいつもの、ちょっと間延びしたしゃべり方をしていて、どことなくふわふわしている。
「おまえら見た目一緒なのにちょっと違う…?」
「「え?」」
「こっちの山崎はしっかりしてるけど、こっちの山崎はふわふわしてるっつーか」
しっかり山崎はふふんって調子のったときの顔をして、ふわふわ山崎は少しすねていてかわいい。
ふたりの姿をみていたら、悩んでいた呼び方がスッと降ってきて我ながらしっくりしたコレに決めた。
「しっかりは山崎さんで、ふわふわは山崎くんってかんじだな。よし、それでいこう」
「ええ!?名前でよんでよ!!」
「そうだよ、せめて退さんと山崎くんにしてよ」
ひらひらと手をふりながら、見た目も一緒なんだから髪でもしばっとけよ、と言い残して仕事に戻る。
土方さんのヤマザキィっていつもの声が聞こえてきたしそろそろ真面目に仕事しないと。
それにしても、あいつらはどうしたら戻るんだろうな。
時間が解決してくれるのか、または欲でも満たせば戻るのか、あいつの場合は性欲しか思いつかねえけど。
そんなふうにいろんなことを思うけど、どっちも本当に山崎であることに変わりはない。
だからひとりに戻るってことはひとりが消えるってことで、なんだか少し怖くなってしまった。
恐ろしい妄想をしながら、今日も俺は仕事をする。