※山崎×ツンデレ隊士
「おい山崎ィ!ってバカ!」
「副長この書類なんですけどってわあああ!」
廊下でぶつかった副長と俺。痛む腰をさすって起き上がれば、散らばった書類が目に入る。それをひとつずつ集めて目線を上げれば俺がいた。俺がいた?!
「「俺たち入れ替わってる?!」」
「いや今更こんなベタな話やります?!」
「変わっちまったモンは仕方ねーだろ!ックソ、このあととっつぁんの呼び出しあんのに」
うっわ嫌な予感。これ絶対行けって言われるじゃん。
「代わりにお前が行ってこい」
「嫌ですけど?!急用とか腹痛とかにしときましょう!」
「とっつぁんの呼ばれて行かない訳ねえだろうが!それでも観察かァ!」
「それ観察の仕事じゃないよね?違うよね?!」
行かないことでもっと酷い目に合うのは痛いほど分かる。それが副長に戻ってる時に行われるならまだしも、戻るタイミングが分からない今、結局は俺が後始末する可能性がある。となるとやはり行かなくてはならない。
「……行きます」
「おう頼んだわ。めんどくせーから入れ替わったことは他に知らせるなよ」
***
山崎の仕事は幸い書類整理だけだった。それらを片して自室に布団を引いた。寝たら朝には治ってんだろ。もしかしたら夢かも知れねえと布団に潜った時だった。
「山崎いる?入るね」
「お、おー……なんの用だ」
「なんの用って……何その言い方」
やべっ!俺は今山崎だったァ!こいつらいつもどんな話し方してんだ。全然わかんないんだけど。しかもみょうじは枕を持って山崎の部屋を尋ねてきている。これは嫌な予感しかしない。
「みょうじくん、なんの用、カナっ?」
「どうした?頭打った?」
「大丈夫ダヨ!ところで俺もう寝るところだからバイバイ!」
「……寝るから来たんだろ」
晩酌でもすんのか?なんか約束してたんなら伝えとけよ山崎のバカ。わかってない様子の俺に痺れを切らしたみょうじが言いにくそうに告げる。
「お前が今日一緒に寝たいって言ったから……わざわざ俺が……」
一緒に寝る?!この状況じゃまずくねえか。寝るってつまり多分そういう事だろ。普通に寝るだけとしてもまずい。そういうのは先に言っとけ山崎のバカ。
「あー……………今日疲れてんだ」
「だから一緒に寝るんじゃねえの?」
疲れてるから一緒に寝たいってだだこねてたのに、とわかりやすくむくれたみょうじ。ふざけんな山崎こんな約束とりつけやがって山崎のバカ!もし中身が違うことを告げたらみょうじは恥ずかしさのあまり切腹しそうだからあまり刺激したくない。仕方ない。みょうじを寝かしつけたら別室に逃げるか。ヤバい雰囲気になったら寝たフリとかでしのぐしかない。
「イッショニ、寝ヨー」
「……うん」
一緒の布団入るのかよ。お前らマジでそういう関係だったのね?!しかもすごいこっち見てくるけど何?!上目遣いでぷるぷるの唇させて、完全に口付けしてもらうの待ってんじゃん。おやすみのキスとか流石にそんなのしてやれないから、気付かないふりして目を瞑る。背中を向けちまえば諦めて寝るだろう、と思ったのに背中にピタッとくっついてきた。
「……なんで?」
「どうした」
「なんで触らないんだよ」
「……っ」
「お前がしたいって言うから俺、後ろも……なぁ、山崎」
するりと手が伸びて太ももを撫でる。そのまま下に手が向かったから、思わず叩いちまった。
「あ、悪ィ」
「もういい!山崎のバカ!」
みょうじは怒って部屋を飛び出した。いや俺悪くねえし。悪いのは山崎だし。ここで手を出す訳にもいかねえんだから、あとはいい感じに山崎にフォローしてもらいたい。でもいつ戻るか分からない今、フォローすんのは俺の可能性もあるのか、となると面倒なことになったなと思う。目覚めたら元に戻ってるってこともなく、鳥の鳴く声はただ朝を知らせた。
***
接待から解放されたのはほぼ朝だった。この時間ではまだ副長も寝ているだろうから、俺も仮眠をとってから報告へ向かうことにする。これどっちの部屋に戻ればいいんだ、と体が副長になってしまった俺、山崎退は悩んでいる。新たな問題を抱えて廊下を歩いていくと、なまえの部屋の前にたどり着いた。本来であれば今頃なまえと同じ布団で寝ていたはず。そんでいっぱいエロい事してたはずなんだよ!まあ散々おねだりしてもほぼシてくれないから、うまくいけばなんだけど。ちょっとくらい顔見て癒されるのはいいよね。
「し、失礼しまぁす…」
ひとりすやすやと眠っている姿が目に入る。やっぱりなまえは恥ずかしがって来なかったか。万が一があったとしてもここにいる以上、寝取られの不安は無くなった。副長だし流石にそこは信頼してる。でも意外と危ないからな、万事屋の旦那もあきらかなまえのこと狙ってるし。
「って感じで、とっつぁんもご機嫌なまま終わりました」
「ご苦労」
「副長の方は変わったことありませんでした?」
「あー…………何もない」
「なまえが部屋来ましたね。大丈夫でした?」
「ああいいうのは先に言っとけよ。おかげでどんな目にあったかと思ってんだ」
「まさか……」
何?!一緒の布団入って抱きついてきた?!なまえが積極的な日なんて半年にいっぺんあるかどうかなのに!レアな日を俺は逃したって言うのか!神よ!!!!!
「なまえから来ることなんてほとんどないんですよ!アンタ何してくれてんですか!せっかくの機会を…!」
「うっせーな、屯所で盛ってんじゃねえ!」
「そもそも副長が内緒にしてなきゃよかった話ですよね?!どれだけレアかわかってないからそう言えるんです。なまえが自分から来るなんて……」
「おーしわかったちんこだせ。しごいてやる。それで満足だろおら早く出せ」
「ちょ、脱がせんでください!何してるんですか!てか今体が逆だから!1周まわってこれじゃオナニーだから!」
「は?なにそれ」
突然俺たち以外の声がする。開いた襖、そこにはなまえがいた。
「山崎の浮気者……」