きのう会いたかった︎ 2
※山崎×ツンデレ主
※銀時×主要素あり


昨日の夜は散々だった。山崎のおねだりを無理やり聞いてやったのに、あの態度はなんなんだよ。自分から誘っておいて来ないから俺からわざわざ部屋まで行ったのに、さも無かったようにふるまうなんていじわるすぎないか。しかも普段イヤイヤしてる俺のせいかもしれないけど、手を出したのに叩かれるなんて。勇気出したのに。もうとうぶん口も聞きたくない。

しかも副長に書類を届けに行ったら、山土現場に遭遇しちゃうし。思わず「浮気者」って言葉が出ちゃった。山崎が副長を押し倒している姿に理解が追いつかなかったけど、納得しかけてる自分もいた。

「だから昨日、俺の手はたいたんだ。相手が副長じゃかないっこない……」

否定してもこれが現実だ。やたらと慌てる副長に腹立つものの俺がこの人にかなうはずがない。まさか副長が受け側とはね、別に言いふらしたりしませんよ。

「俺こいつと別れますから。副長の好きにしてください」
「ちが……っ話をきいて…」

ピシャリと襖を閉めて、逃げるように立ち去った。追いかけてくる足音がして、あっという間に肩を掴まれる。ほんの少しだけ期待した。

「なんで、副長が追っかけてくるんですか…」

本当はもう会いたくないくらい俺のこと嫌だったんだ。だから昨日も期待させるようなこと言って突き放したんだ。俺、遊ばれてたんだな。

「俺のことは気にせず楽しんでください」
「誤解だって、落ち着いて話きいて」
「あいつ性欲強くてチンコでかいんで、大変ですけど頑張ってくださいね。ゴムなら棚にいっぱいあるんでそれ使ってください」
「な……!」

副長に向かって生意気な口を聞いてしまった。マウントみたいなこと最低だ。口を開けて戸惑ってしまった副長に、どうしようも無い気持ちしかなくて、もう何も話したくなくて無理やりこの場を去ろうとする。

「すいません、流石に今日もう仕事にならないんで休ませてください」
「え、あ……ちょっと、待って…!」

呼び止める声が聞こえてくるがもう知らない。人のを寝とったんだ。本当は副長の声だって聞きたくない。それでも仕事というのはこれからもずっと俺にぴったりついてくる。明日からまたちゃんと頑張りますから、今日だけはだめになってもいいですよね。

俺にもっと可愛げがあればよかったんだ。名前だっていくらでも呼んでやって、あいつのしたい事全部叶えてやってさ。正直副長がそんなこと叶えてくれるタイプだとは思えないけど、俺よりは相性良かったのかもな。ギャップ萌えとかに引かれたのかもしない。俺なんかよりずっといいんだきっと。



このまま屯所に居るのも今日はだめな気がして、どこに行こうか悩んだ。その時ふと、銀さんの言葉がよぎる。なんかあったらいつでも来いって口癖のように言っていることを思い出して、なんとなく会いたくなった。気づけばふらついた足取りで万事屋に向かっていて、思っていたより俺はダメージを受けていたらしい。

「どうした……おま、泣いてんじゃねえか」
「銀さん……っ俺、もう無理かも……」

俺の様子から察してくれて、神楽ちゃんには新八くん家に今日は泊まるよう言ってくれた。ふたりっきりになった部屋で重い口を開く。

「山崎と別れた。浮気されてたんだ」
「は?ジミーが浮気?」
「うん……しかも、副長……と」

絶対無いだろ!と騒ぎ出す銀さんに、ふたりがチンコ触ろうとしてるの見たと言ったら黙ってしまった。

「しかも触ろうとしたら手叩かれて、俺嫌われちゃったんだなって……」
「俺じゃだめか」
「え……」

ソファに押し倒されて、視界が銀さんでいっぱいになる。心臓がドキドキうるさい理由に気づきたくない。

「俺なら泣かせたりしねえから」

だって銀さんって天パで甲斐性なしでマダオなのに。でも俺が悲しい時いつも慰めてくれて、困っちゃうくらい優しくしてくれて、こんなにかっこよかったっけ。

「なまえが好きだ」
「銀さ……、っ」
「ちょっと待ったァー!」

起き上がって声がする方へ顔を向ければ、今一番見たくない顔ふたつ。

「うっわジミー君、ニコチンマヨラの影響でタバコまで吸ってんじゃん。どんだけ影響されちゃってんの引くわ」
「うっせーぞ天パ!これには訳があんだよ、てめーは黙って聞いてろ」
「言葉遣いまで副長そっくり……はは、俺死にそう」

力の抜けてしまう体を銀さんが抱きとめてくれた。思わず泣き出してしまった俺の代わりに反撃してくれて、別にあいつじゃなくても思ってくれる人はいるんだって嬉しくなる。この人と付き合えたら幸せになれるのかな。嫌なこと全部忘れさせてくれる?

「よりによってふたり揃って家まで来やがって。少しはなまえのことも考えろよ」
「こいつが話聞かねーで出て行っちまうからだろうが!」
「はあ?!今の状況見たら嫌に決まってんだろ。なんせ寝取られだもんな。代わりに俺がこいつを幸せにしてやりますー!てめーらはとっとと帰れ!」
「なまえ聞いて。本当は俺たち入れ替、わ……っ?」

うるさかった部屋が一気に静まる。俺が銀さんにキスをしたからだ。

「もういいよ、銀さん。俺と付き合ってくれるんだろ」
「……………お、おう」
「じゃあもういい。山崎、今までありが、と……?」

そのまま泣きながら俺に縋ってきたのは副長だった。別れたくないって鼻水垂らした顔で。

「ッチ、山崎と俺が中身入れ替わってんだよ。俺の体で汚ぇツラさせんなバカ」
「だっでえ、なまえがわがれるっで!いやだあ!俺はわがれだぐない!」

あまりにもマジな姿に、これはマジでマジなやつではと察する。俺勘違いしてたってこと?あの時部屋に来なかったのも手を叩いたのも、中身が副長だったのであれば納得がいく。チンコ触ろうとしてたのは意味わかんないけど戻ろうとしてた?

「どうしよう、俺……銀さんと……」
「なまえくんさぁ、銀さんの唇奪っといて元サヤに収まんの?もう別れたんだから俺にしとけよ」

自分の勘違いで銀さんを振り回してしまった。山崎を信じないせいで自分が起こしたことを、今更どの面下げて謝ればいいんだ。

「う、うん……俺、別れたから、銀さんと…」
「銀さんと?」
「…………っ、ごめん」
「仕方ねぇなあ。ま、俺はいつでも待ってるからな」

あとフクチョーさんの泣き顔笑えたし、と付け足される。

「次泣かせたら容赦しねえぞ、ジミー君」
「おい山崎はそっちだ。入れ替わってるって言ってんだろうが」
「あ、やべ。うっわー涙と鼻水でグッショグショじゃん。なまえほんとにコイツでいいの?今からでも遅くねえよ?」

あまりにもな姿に一瞬だけ考えたが、それだけ本気でいてくれているってことだろう。

「やっぱり俺、地味な奴が好きみたい」

もどる
はじめ