※変態山崎×ツンデレ主
「なまえくん!俺と付き合ってください!」
「お断りです」
毎日懲りずにアタックし続けてくるこの人は真選組の山崎さんという方だ。
何度断わっても引き下がらない。めんどくさい。本当にめんどくさい!
「でもそろそろ付き合ってあげてもいいかなって思う頃じゃない?なまえくん頼まれると断れないタイプだろ」
「そんな日来ないですし、山崎さんの頼みだけは断ります」
「えっ俺だけは特別なの…?」
「何ですかそのおめでたい解釈。ひっ!何で顔近づけてくるんですか?!」
「記念に誓いのキスでもしようかなって」
「するわけねぇだろ!とっとと仕事戻れ!」
今日も一通り告白業務をこなして帰っていく。
ちゃんと前向いて歩けよ。いつまでも手を振るな。ほら躓いてんじゃん、ばかだなぁ。
山崎さんがここまで至ってしまったのは、あの日の出来事のせいだ。
前からやたらあんぱんを入れた袋を抱えながら歩いてくる人がいるなって思いながら、チラ見してたら子供とぶつかって中身が落ちた。
可哀想だなと思ってそれを拾ってあげた。たったそれだけのことが間違いだった。
うっかり手が触れた瞬間、その人はこういうのだ。運命だと。
「あの、大丈夫ですか?」
「えっあっ…だ、大丈夫です!ちょっと生きる喜びを噛み締めてただけなんで!」
「はぁ……、手離してもらってもいいですか」
「あっすみません、あれ?おかしいな?手が離れない…このまま繋いでてもいいですか?やっぱり運命だと思うんで」
なんだコイツ、電波って奴か?
大量にあんぱんを抱えてること以外はまともそうなのに。いやこの時点でまともじゃないか。しかもすりすりと手をさすられてるし。地味な見た目のわりに力がやたら強くて逃げられない。初対面だというのによくこんなことができるな。やはり人は見かけによらない。
「その、お名前を伺っても」
「みょうじですけど。あと手離してください」
「下の名前は…」
「なまえです。手ェ離せって言ってんの聞こえてます?」
「なまえ、なまえくんかぁ……俺は山崎退って言います。気軽に名前で呼んでくださいね。ついでに聞いておきたいんですけど誕生日血液型好きなタイプと食べ物は?」
その情報量の多さに固まる俺なんておかまいなし。ついでにまだすりすりすりすりと手を触られている。
「あと好きな体位を参考までに。やっぱり正常位?でもバックも奥まで届いていいよなぁ。俺ちょっと自信あるんで必ず満足させてみせますよ」
「うわあああああああ変態だーーー!」
「逃げないで!待ってってば!」
どうにか振り切って逃げたものの、あの時の手の感触は嫌にも残ってしまっている。
手を差し伸べたせいで、とんだ地獄の始まりだ。そりゃあ世の中は冷たくなってくわ。こんな変態と出会うくらいなら親切になんてしたくない。変態になんて好かれたくない!
それからというもののの、街中でうっかり会えば人の顔を見るなり「セックスしてください!」ときた。そんなのに返事する奴なんているか?いるわけねぇよ!
ずらずらと性的なワードを並べられた俺の気持ちを考えてくれ!真っ昼間の!道のど真ん中で!
「おもちゃはやっぱりローターから徐々にレベルアップしていくべきだよね。こないだ大人のデパートでなまえくんが喜びそうなのあったから買っちゃったよ。使ってるとこ見せてくれる?」
「ひぇ……!しないし使わない!さよなら!」
「そうだね、処女のなまえくんとはさよならしなきゃいけないね。最終的にはぶっといバイブとかも余裕で咥えられるようになるんだろうなぁ、でも中はキツキツなまま優しく俺のちん……」
「そういうことでかい声で言うな!」
その辺にいる人見てないで助けろ!このおしりを死ぬほどもみもみされてる俺を!別にそんなんじゃないし無理だから!勘違いすんなよぉ…
「あ、涙目になってるのも可愛い」
「うるさい」
なんだよ急に真面目な顔して。そんな顔今までしたことないのに。ドキドキしながら言葉を待つ。息を吸って、そして。
「今からホテル行こ?」
ドキドキを返せ。
「俺もう限界だよ。見てこれ」
「なに勃たせてんだよ!ひとりでシコってろ!」
「たしかに昨日なまえくんのお世話になったけどさぁ、自分から穴拡げて早く挿れてってねだってるの想像したら秒だったよ。すげー出たし」
そんな報告はいらない!と嫌がる俺のほっぺたに手が触れた。昨日シコった手と思うと背筋がぞわぞわぞわ〜としてしまって、思いっきり股間蹴って逃げた。だってタマ菌が見えたんだもん。
次の日また現れた山崎さんに「蹴られた衝撃で勃たなくなったから責任取って使えるか確かめて欲しい」と言われてそのまま俺の手を無理やり下に……
触れた瞬間(無理やり)、変な声出して勃起しやがって。本当最悪。あの後カッサカサになるくらい手洗いしてやった。
ずうっと続く山崎さんの攻撃のせいで寝不足になりつつある。夢にまで見るんだ。家まで追いかけられてドアをガンガン叩かれて俺が出てくるまでずっとそのまま。今もピンポンがずうっと鳴ってる。あ、これ夢じゃないわ。
ガン無視決めても何故かバレててあんまりにもしつこくてうざいから、チェーンしたまま少しだけ開けてやった。
「こんにちは、山崎デリバリーです」
「頼んでません」
「あっ待って待って!閉めないで!なまえくんにプレゼント持ってきたんだよ!」
ドアに足を引っ掛けて無理やりこじ開けられる。
あの隙間から渡された紙袋をしぶしぶ受け取って、開けた瞬間に絶対イカせる〜って文字が見えて即閉じた。いかがわしいグッズセットだこれ!
「今日お休みだから抜くと思ってさ。いつもお昼くらいに起きてご飯食べたらだらだらエロ動画見始めてそのままオナっちゃうもんね」
なんで人のプライベートな生活を把握してんの?!怖い!怖すぎるよ!
声も出ないほどビビった俺は思わず紙袋を地面に落とす。すると何かのスイッチが入ったようでブブブブブブッて鳴ってるし、もしやこれローターも入ってる?本当に徐々にレベルアップを計ってるのか?
ドアを閉めてやろうと手を伸ばしたら、なんか距離感がおかしい。
「え、チェーンかけてたのに……」
「俺を誰だと思ってるの。このくらいお手の物」
「不法侵入!離せ触るな!勝手に入るなぁあああ!」
嫌がる俺の手を引いて無理やり中に入ってく。ワンルームの狭い部屋じゃ抵抗など虚しいだけだ。すぐに入られた部屋で深呼吸を始めた山崎さんにただ気持ち悪いという感情だけが残った。
「俺は今なまえくんを体内にとりこんでいる。酸素すら愛おしい。これはもはやセックスでは…?」
ほら、意味わかんなくて怖い。ただの呼吸だし。いっそのこと息の根止めてやろうかな…
「なまえくん」
「ちょ、っ勝手に触るな…!」
「えー?せっかくなまえくんとふたりっきりなのに、触らないなんて無理だよ」
嫌がる俺なんてお構いなしに、頭を撫でられたと思ったらそのまま耳を舐められた。その瞬間自分でもこんな声出るんだぁ〜知らなかった〜って新たな扉を開くくらいヤバイ声が出て、目の前にはだらしなくニヤケ顔をした山崎さんがいる。
「なぁに、今の可愛い声」
「ひっ、ん……っ」
「なまえくんってこんな声出しちゃうんだ」
「やめ……、ううっ、いやです……!」
やわやわと耳に口付ける感触に力が抜けてく。
少しいたずらされただけなのに、抵抗すらできない俺の手はただ添えるだけになってしまっている。
ほっぺたまでべろりと舐められて、ぞくりと身の危険を感じるのに。
「やわらかい。食べてもいい?」
「か、かにばりずむ的な……?」
「ううん、こっち」
顔を背ける俺のあごをつかんで、引き寄せられた。唇はそのままくっついてしまう。
ちゅっ、なんて可愛いもんじゃない。日頃の山崎さんの行動の如くしつこくて長くて口の中もなんかすごい舐めてきて…
「っ……?!んんぅうううう?!?!」
「ぢゅ、っ……んむ……、んんっ…ぢゅる…っ」
「んん!……ん、んうっ…………は、う……うっ」
「っん…、はぁ……ごめん、我慢できなかった」
「んあ…………、はっ……はぁ……」
「俺とのキス、そんなに気持ちよかった?」
満足そうに笑う顔をぼうっと見てた。
こんなに慣れたキスする人が俺なんかに本気なわけない。他の人にもきっとこんな顔見せてるんだろうな、と思って胸が痛む。
「俺じゃなくてもいいくせに」
「え…」
「好きでもないのにこんなことしないで」
山崎さんは口元を手で抑えている。何その反応。今初めて知りましたみたいな。
「もしかして俺、言ってなかった?」
「何をですか」
「でもこんなにアピールしてたら伝わるよね?」
「エロいことしたいってのは伝わりますけど」
「いやエロいことはしたいけど……そうじゃなくて、えっ本当に言ってなかった?」
遊びだよ。からかったんだよ。思いつく限りの悪い言葉が俺の心の中を埋めていく。
「好きだよ、なまえくん」
その言葉に胸の痛みが消えていく。
そんなまさか、俺が山崎さんのことを好きなわけない。なのにどうしてか熱くなった顔を見られたくなくて両手で隠した。
「えっ」
「何ですか」
「なまえくんが可愛すぎてびっくりした…」
「うるさい!そんなふうに言えば許されるとでも思ってるんですか」
「むしろ誰にでもこういうことするように見られてたなんてショックだなぁ。あーあ、俺本気なのに」
「ほ、本気…?」
「でもなまえくんがそんなに嫌なら諦めるよ。今までごめんね」
「あっ……い、いかないで」
離れていくのが嫌で思わず裾を掴めば、ふふんって笑われた。やっぱり山崎さんの方が上手だ。どう考えてもわざとだってわかるのに縋ってしまった。こんなにも熱を持った顔を見られて恥ずかしいのに、それすら嬉しそうに笑わないで。
「ちゃんと態度でわかってるよ。俺なまえくんのことならなんでも分かっちゃうから」
「変態のくせに」
「うん、ごめん。でも可愛いからついいじめたくなるんだ」
こうやって、と山崎さんはまた俺に口付ける。
「俺のこと、好き?」
「………教えない」
「じゃあ言ってくれるまでキスしちゃう」
こんな人のどこがいいか自分でもわからないのに、何故か安心してしまっている。
俺やっぱり山崎さんのこと好きなのかもしれない。悔しさすら感じるのに流されてもいいやって思っちゃう。もう言ってあげてもいいかな。
「山崎さん、俺…………あっどこ、触って…!」
「なまえくんのかわいいおっぱい」
「ひ、……っだめ、まだこういうのは……っ」
「思ってた通り感度抜群だね。ちょっと触っただけでこんなになっちゃうの?」
「う……まって、」
早く奥まで突っ込んで泣かせたい。触っただけでイけるくらい開発したい。とにかくずっぽしハメたい。と耳元で囁かれる言葉の数々にぐるぐると目が回る。
「俺に触るなこの変態ぃいいい!!」
前言撤回。
山崎さんのことなんか好きじゃないです。多分。