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笹原妹の日常

2020.01.25


日常 東雲家
笹原妹 名前変換なし




しののめけんきゅうじょ。
わたしが覚えたムツカシイ漢字のひとつである。誰が「ひがしぐも」と書いて「しののめ」と読みはじめたのだろう。この研究所に住むお友達の前で、出会い頭赤っ恥をかいたことをわたしは生涯忘れない。



「さっっかもとぅううう!」

「だぁあああ!?またおまえか!」



はうう。このために生きているといっても過言ではないくらいの抱きごこち。

もふもふふわふわな阪本というこの黒猫、なにを隠そうわたしとなのちゃんを引き合わせたキューピッドさんである。彼を追いかけたら研究所を見つけなのちゃんと出会った。

しかも彼はしゃべる猫だった。それが追いかけた理由なのだが。少し素っ気ない態度もかわいいし、やたらと突っ込んできて面白い。
すっかり阪本の虜となったわたしは、東雲家に通うようになり、今ではここに来ることが当たり前となっていた。言うなれば第2の家だ。



「あ、笹原さん。いらっしゃい」

「おっす、なのちゃーん」

「娘!たすけてくれ!」

「ふふ、いつも仲良しさんですね」

「おまえにはこれのどこが仲良しに見えるんだ!」



またまた阪本ったら照れちゃって。愛いやつよのう。頬ずりをすると、ついに阪本は身体の力を抜き抵抗をやめた。

こうして通っているうちに、東雲家の方々もわたしが来ることが日常になってきたのか、いつからか勝手にあがりこんでも驚かなくなった。そんなことをしているうち、家主であるはかせやなのちゃんと仲良くなるのにそうそう時間はかからなかった。なんならはかせとは秒で仲良くなった。



「わたしはなのちゃんとも仲良しなのだよー!」

「え!?あ、笹原さん!?」

「ぐえっ!?」



阪本を抱いたままなのちゃんを抱きしめる。突然のことに顔を赤くして驚くなのちゃんが愛い。
ほっこりしていると、どたばた廊下を走る音が聞こえ勢いよく戸が開かれた。振り返らなくても分かる、はかせだ。



「さっさ!あー!なのと阪本ばっかりずるいっ、はかせもまざるー!」

「わーい、はかせだー!おいでおいでー!」

「わーい!」

「うわぁっ!?はかせ!」

「ぐっ!?…き、きつい」

「よかろう!まとめて抱きしめてやるー!」



楽しそうに大笑いするはかせ、照れくさそうにしつつも笑ってくれるなのちゃん、苦しそうだけどなんだかんだ嫌とは言わずされるがまま側にいてくれる阪本。





今日も、
東雲家は平和であります!

(ぜんぶ、わたしが大好きな日常だ)



2012.02.08



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