机上に広げたふたりは完璧。この空論には自信があった。もう悩んでいる暇はない。彼女が誰かと婚約してしまう前に手に入れてみせる。

男なら、自分の手で掴み取ってやろうじゃないか。



「御令嬢を貰い受ける!」



自信満々、彼女の忠実な護衛たちにそう宣言すると彼らは俺に立ち向かってくる。そんな攻撃では俺を倒すことはおろか、足留めにすらならないというのに。



「彼を捕らえなさい!」



やっと軍の大佐のお出ましか…。だがなめてもらっては困る。いざとなれば準備してる音機関の戦車がある。音機関なら潜水艇でもなんでもこいだ。操縦には自信があるんだ。



「悪いな、旦那」

「…やりますねえ」



過去に旅をした仲間である軍人に背を向けて、ある部屋を目指す。あの軍人を抜けたら、他の護衛なんてみねうちにすればあっという間だ。

さあ、君までもうすぐ。



「名前!」

「ガイ…」



扉を蹴り飛ばすと、そこには恋焦がれた君が待っていた。これぞ夢にまでみた俺と彼女だけの世界だ。



「君を迎えに来たんだ」

「ガイラルディア…」



もう後戻りはできない。ふたりの想いは臨界点を突破した。その先には幸せな未来が待ってるはず!

俺の愛の救世主は、君なんだ!



「俺は、君と共に…」



英雄に成りきって颯爽と手を伸ばした。
君からの答えは…!?



「ガイラルディア…
 このストーカーがぁああ!!」





瞬間で強烈な掌底
(愛情の操縦は空回り)





「うわーん!ナタリアお姉さまぁ!」

「大佐、これで何度目だと思っていますの!?捕まえられるなら最初から捕まえなさい!ガイに敵うのはあなたくらいですから、わざわざこうして直々に頼んでおりますのよ!」

「ははは。とても楽しいので、つい」

「名前で遊ぶのはおよしになって!」

「名前!女性で触れられるのは唯一君だけなんだ!これはつまり相性がいいってこと!運命なんだよ!」

「これ以上近づいたらまたおみまいしますよ!」

「ご令嬢の警護など要らない気がしますが」

「君に殴られるならそれも本望!」

「うわーん!へんたいー!」

「大丈夫ですよ、名前嬢。また私が助けて差しあげます。いついかなるときもあなたのお側に」

「大佐…」

「さあ、行きましょうか」

「はいっ!」

「そのオチはだめだろ!名前!カムバック!」

「大佐のように権力を使えばよろしいのに…」



2010.03.02

「アーセンの憂鬱」
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