「ああ…恋がしたい」
漫画を読みながらぼそりとそう呟いたらジャガーくんに物凄く怪訝な顔をされた。あれ?なんだか傷つくんですけど。つか何気に酷くね?
「なに言い出すの気持ち悪い子ね」
「そっちこそなにキャラなの?」
今日は突っ込み師のピヨ彦くんが欠席だし、むしろ教室にふたりきりなもんだから、なにキャラなのかはっきりしないと収拾つかなくて突っ込めやしない。
「人間にキャラなんかないさ」
「個性!個性を重宝してあげて!」
「なんで冒頭からいきなり気持ち悪いこと言ったんだ?」
「スルーは許すから、いい加減に気持ち悪いって言うのやめてくんない」
何気に痛いのよ心に刺さるのよ。細かく鋭い言葉の硝子がわたしの心臓を刺しまくりだ。
「昨日、部屋を大掃除してたら昔買った少女漫画見つけてさあ。読んでみたら恋したくなったっていう単純な話なんだけど」
「そうか。おまえの脳みそが単細胞なのはわかったよ」
「ちゃんと聞いてた?単細胞説は否めないけども…!」
って!いつの間にか勝手に漫画読んでるし。というか座るのか寝るのかちゃんとした姿勢で読めよ。すごく読みづらそうだ。
「単細胞ならではの漫画だな」
「うるさいな、返してよ」
「へえ、クレイジーマサシはヤマダーノメイコとつき合うんだな」
「嘘!?あいつらつき合うの!?っていうか先話さないでよ!まだそこまで読んでないんだから!」
「あ、クレイジー死んだ」
「クレイジーマサシ死ぬのー!?」
あんなこと言わないで黙々と読み進めばよかった。そうすれば気持ち悪いとも単細胞ともネタバレも言われずに済んだのに。
「俺にしとけばいいじゃん」
俺にしとけばいいじゃんとも言われずに済んだのに。
…ん?なんだって?
「な、なに?どういうこと?」
後悔した、彼に言うこと自体が間違ってたなんて。わかりにくくてたまらない。
人の漫画を勝手に読んでネタバレして視線を合わすことなく誰がそんなこと言うと思うか。
「はあ、これだから単細胞は」
「恋の相手、俺にしとけば?」
(単細胞なので理解不能です)
(あっそ。じゃあ手取り足取り教えてやるよ)
(けけ結構ですすみません!)
2010.03.23
昔の謎企画「どす恋企画」から。