ほらまた嬉しそうな顔して。口元が緩んでいるし、鼻の下も伸びてる。なんてみっともない顔。
そんな顔を…。



「あ、ピヨ彦さん!」



わたしじゃない、他の子に向けるのね。



「ほら、行って来なさいよ」

「あ、うん!行ってくる!」

「精々嫌われないようにね」

「なっ…やなこと言うなよ!」



違うの、わたしはもっと酷いの。君があの子に嫌われればいいのになんて思ってるの。それを君は知らない。



「あ、そうだ」



でも、いちばん酷いのは君。わたしの気持ちも知らないで何度も相談してくる君はなんて残酷。ほらね、また君は残酷な言葉を言うの。



「名前、ありがとう!」



その言葉は何度逃げようとも、わたしの心を掴んで離さない。あの表情を向けられないのなら、せめて今の立ち位置でもいいから君の側にいたいと、そう思ってしまうの。
たとえ傷をえぐることになろうとも。





そうしてきみはわたしの心を踏みにじるのね
(ねえ。わたしをみて)



2010.03.22

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