陽の光が当たる縁側。そこはじいじと呼べる刀剣たちのたまり場でもあった。
今日も今日とてじいじこと三日月さんが日向ぼっこをしているが、なんだか様子がおかしい。いつもはのほほんとしているのに今日はどこか悲しげだ。



「三日月さん。どうしたんですか?」

「おお、主。俺は今しがた主の代わりに嘆いておったのよ」



三日月さんは袖で口元を隠しながらそう言うと、よよよと大袈裟に悲しんでみせた。大袈裟と言ったが、その表情は本当に悲しんでいるようだ。



「わたしは悲しくないですよ?」

「隠さずともよい。おなごの身でありながらそなたの気持ちを思うと胸が塞がる。お労しや、主」



隣に座り、今のわたしの気持ちを言っても三日月さんには伝わらなかった。悲しみを隠すな、思いの丈をぶちまけろと、わたしが悲しみで溢れているていで話が進む。

自分では気づかないけれど、刀剣男士には伝わる内なる感情があるのだろうか?だとしたらなおのこと理由がわからない。悲しいことなんてちっとも思い浮かばないのだ。

悶々と考えていると、今まで口元に寄せられていた三日月さんの袖がわたしの胸元に添えられる。袖どころではない。三日月さんの手がしっかりとわたしの胸を触っていた。



「悲しかろうて、この胸では」



その瞬間、いろんな意味で固まった。
三日月さんがわたしの胸を撫でている現状について。意味がわからない。
三日月さんが悲しんでいる理由について。意味がわからない。
考えをめぐらした結果、意味がわからなかった。



「あ、あの…三日月さん?」

「よいよい、なにも言うな。そなたはなにも悪くない。さだめなれば仕方のないこと。俺も共に嘆いてやろう」



なおも三日月さんはわたしの胸を撫でている。悲しそうに目を細めて憐れみの瞳で。



「嗚呼哀しき哉、主の平ら胸よ」



その瞬間、ぶちっという音が聞こえた。
堪忍袋の尾が切れるとはうまいこと言ったものだと心のどこかで冷静に考えている自分がいた。





「みっちゃーん。じいじ、おやついらないそうでーす」
(三日月さん、1週間おやつ抜きね)
(あなや〜)




2019.11.23
【泪に沈む】(なみだにしずむ)
ひどく泣いて嘆き悲しむさま。
「人も刀も大きいことはいいこと」から巨乳派では?という単純思考。または巨乳に越したことはない派。

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