陽の光が当たる縁側。そこはじいじと呼べる刀剣たちのたまり場でもあった。
今日も今日とてじいじこと三日月さんが日向ぼっこをしている。気持ちよさそうに目を細めて、のほほんとお茶を飲んでいた。

三日月さんが1週間おやつ抜きの刑になってから彼が悲しむことはなくなった。というより、わたしの平ら胸を嘆くよりもおやつ抜きのほうが悲しかったらしく、三日月さんのまるで捨てられた子犬のような表情は心に刺さった。

おやつ解禁日である今日。胸を触られ失礼なことを言われたとはいえ、三日月さんなりに(失礼ながらも)気にかけてくれたわけだし、なによりあの表情を見てしまっては罪悪感が湧いてしまったので、こうして本日のおやつを三日月さんに運んでいた。



「三日月さん」

「おお、主。息災か」

「おかげさまで。今日、おやつ解禁日ですよね。なのでお持ちしました」

「なんと!わざわざ痛み入る」



三日月さんは瞳を輝かせてわたしの手の中のものを見つめる。わくわくしているようだ。本日のおやつはみっちゃんとふたりで作った五虎退くんリクエストのチョコスコーン。

三日月さんにスコーンを乗せたお皿を渡すと早速嬉しそうに頬張った。わたしもその隣に座り自分の分のスコーンを食べる。

うん、美味しい!
はじめの頃は教える立場だったけど、今じゃわたしなんかより料理に明るくて、すっかり教わる立場になった。さすがはみっちゃん。



「主が作ったのか?」

「わたしひとりではなく、みっちゃんと一緒に作りました。美味しいのは彼のおかげです」

「ほう、うまいものだな。これはどのようにして作るのだ?」

「袋に材料を入れて揉むんですよ」



ジェスチャーしつつ説明すると、三日月さんは頷きながら食べ進める。わたしが説明を終える頃にはぺろりと平らげ、ふと、なにかを思い出したように「そういえば」と切り出した。



「揉むと大きくなるのは、すこーんも同じなのだな」

「他にもなにかあるんですか?」

「主よ、なにを申すか」



三日月さんは「これに決まっているだろう?」と言いながら笑うとわたしの胸を撫でた。いや撫でたなんてそんな優しいもんじゃない、鷲掴みだ。



「お労わしや、相変わらずの平ら胸よ」



あのときのように悲しそうな表情をする。これまた悪気ないやつ!でもとても失礼なやつ!しかも前回より触り方が酷くなっているやつ!



「どれ、俺が育ててやろうか」

「は!?みっ三日月さんん!?」



にこにこと楽しそうにしていて悪気がないもんだからなおのことたちが悪い。下心など当然なく、きっとよかれと思ってやっている。

慌てて三日月さんの手を退かそうとするがびくともしない。なんという馬鹿力。さすがは天下五剣といったところか。

そうこうしている内に、もう片方の手で腰を抱かれ引き寄せられそうになる。



「さあ、主。近う寄れ」



ついになにを言ったらいいのか、はたまたどうしたらいいのかわからなくなったわたしは、耳まで赤くし半泣きで魔法の言葉を叫んだ。





「みっちゃん!みっちゃーん!」
(三日月さん、1ヶ月おやつ抜きね)
(さらに物干し竿の刑に処します)
(あなや〜)




2020.01.23
【賢しらがる】(さかしら−が・る)
よけいな世話を焼くこと。おせっかい。

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