学パロ




あーあ、もう最悪。
そういえば今日の星座占いで最下位だったな。

恋愛運:ライバルの出現によりサプライズは台無しになるでしょう。

まさについ先ほどこの占い通りに台無しになったところだ。すごいね大的中。でもライバルというには少し、いや大きすぎる存在によってだけど。


ずっと片想いしていた先輩と仲良くなり、先輩の誕生日である今日、昨日の夜に作った手作りのクッキーを手に告白した。結果は「ごめん、彼女いるから」なんて言われて惨敗。なんだ彼女って。聞いてねえよ。彼女がいるなら思わせぶりな態度とるんじゃないわよ。


放課後に屋上で大の字になって空を仰いだ。夕日が目にしみる。今のわたしの心は曇り空だっていうのになんと恨めしいことか。まあ夕日に罪はないんだけど。

ふと視線を横にやると可愛くラッピングされた黒焦げのクッキーが目に入った。結局クッキーすら受けとってもらえなかった。クッキーが苦手なんだとさ。



「あんな黒焦げ、誰が食うかっつの!犬の飯にも酷いぜ」



告白のあと先輩の教室から聞こえてきた声。彼女からのクッキーを食べながら友達と大笑いしていた。
嘘つき。クッキー好きなくせに。



「あんたみたいな性悪こっちから願い下げよー!」



あんな性悪にはもったいないくらいかわいい彼女だった。わたしの黒焦げクッキーなど到底及ばないくらい美味しそうなクッキーだった。性悪でも大好きだった先輩が幸せそうだった。涙が溢れて仕方がなかった。



「名前!」

「うわあ!?け、ケヴィン!」

「やっと見つけた!探した!」



滲んだわたしの視界に飛び込んできたのは、小学校から今までずっと同じクラスで腐れ縁のケヴィン。

突然現れるもんだから驚いた。涙で滲んだ目元を見られないように慌てて顔を背けて目を擦る。タイミング悪すぎだっつの!



「ど、どうしたの?」

「せんせ、呼んでた」

「そ。ありがと、今行く」



なにごともなかったかのように立ちあがると途端にケヴィンに腕を掴まれた。なによ、早く行かないと帰るのも遅くなっちゃうのに。



「まだなんか用?」

「名前、泣いてる?」



内心ぎくっとした。涙はちゃんと拭いたはず。なのにどうして今そういうこと言うの。本当タイミング悪すぎだってば!



「泣いてるわけないでしょ」

「嘘、スグわかる」



ケヴィンの掴む力が強くなる。その場から逃げようにも逃げられず、彼の力強い視線すらそらそうにもそらせない。

昔からそうだ。わたしに悲しいことがあるとどこからともなく飛んでくる。そういうセンサーでもついているのだろうかと本気で思ったこともある。ほんと、タイミング悪いったらありゃしない。こんな顔見られたくないのに。



「オイラ、ずっと名前見てたから」



心臓がうるさい。先輩にフラれたばかりで意気消沈していたわたしの心臓が踊っている。なんて現金な。それもこれもケヴィンのせいだ。夕日に照らされた姿が大人っぽく見えたから。



「なっなに言ってんの!?」

「ん?ホントのこと言っただけ」



大人っぽい顔をしたと思いきや、いつもの子供っぽい顔でへにゃりと笑う。はあ、こいつには敵わないわ。なんか毒気が抜かれた気がして全身の力が抜けていく。



「これなに?」

「クッキーだよ一応。でももう必要ないけど」

「名前の手作り?」

「そうだけど」

「いただきまーす!」

「ちょ、ケヴィン!?」



慌ててケヴィンを止めると「だめだった?」と言って首を傾げた。だめじゃないけど黒焦げだから不味いことを伝えると「そうなんだ」と言って今度こそクッキーを食べた。

こいつは人の優しい忠告を聞いてたわけ!?自作ながらちゃんとダメ出ししといたのに、そんなに勢いよくばりばり食べたら腹壊すよ。全部食べたら腹壊すどころか癌になっちゃうよ。



「不味いでしょ?もういいから」

「なんで?うまいのにもったいない」



はあ?あんた正気?どんだけバカ舌なのよ。
その言葉は、ケヴィンに「これもらっていい?」と問われたことにより飲み込んだ。呆気にとられて頷くことしかできなかった。



「名前の料理うまい!またオイラにクッキー作ってきて!」



「オイラまた食べたい!」と言ったケヴィンの手に、黒焦げクッキーはひとつも残っていなかった。



「…あんた、どうかしてるわ」



そんなケヴィンに、あんなに荒みきっていた心が安らいだわたしもどうかしている。

けれどたしかに、さっきの涙も性悪な先輩も遠い昔のように感じのはきっと、ケヴィンのおかげ。





恋愛運:ただし身近な彼と大接近の予感!
(名前ー!作ってきてくれた!?)
(ご希望通りに。ほら、これよ)

(前回より料理本を熟読したのは秘密だ)


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