走って走って走り続けて家に着くなり、ご飯も食わずに布団に潜り続け、悶々と考えてると朝になり、いつの間にか昼を抜けて夜になった。
「レッサーパンダ、いつまでそうしてんだよ?」
「だからレッサーのことレッサーパンダって呼ぶな」
「連絡しても返信こないと思えば、携帯見てないんだな」
メールきてるよ、とチョキオが言ってもおれは無視を決めこみまた布団をかぶった。今、部屋にはアンディーヌの野郎とハテナッチとチョキオがいる。おれが気になり夕方あたりにきてくれた。
「メール、お嬢さんからじゃねぇの?」
苗字さんからのメールや電話は個別設定にしているのですぐに分かる。アンディーヌの野郎が言う通り、きっと苗字さんからのメールなんだろう。
でも彼女のそばにはあんなにカッコイイ奴がいるんだ、今さら浮かれていたおれが苗字さんに会えるわけがない。どんな顔をして会えばいいんだ。
「レッサーパンダ、」
「だからレッサーのことレッサーパンダって呼ぶな」
ほんとそれしか言ってないのな、ハテナッチ。まあ今のおれにとってそんなのもうどうでもいい、なんだっていいさ。パンダでもコアラでもたぬきでもつけたらいいよ。
さらに布団をかぶろうとすると、ばさっと布団がはがされた。
「いつまでそうしてんだ、レッサー」
「ハテナッチ…」
おまえ「だからレッサーのことレッサーパンダって呼ぶな」以外の言葉をしゃべるの、木曜日以来だな。
「男だろ!なにもしないで泣くくらいなら、とっとと彼女に告白してから泣け!」
「!」
目の前のハテナッチが凄く男らしく見えた。
そうだ。おれはまだなにもしていないじゃないか。
苗字さんから直接聞いたわけでもないのに、めそめそ女々しく勝手に諦めて。木っ端微塵に玉砕するまでドントクライだぜ!
「そうだ、とっとこ行ってこい!」
「それはハムタロウだろ、チョキオ」
「そうだ、レッサーパンダ!めそめそ泣いてるだけなんておまえらしくないぜ!」
「だからレッサーのことレッサーパンダって呼ぶな」
「おまえら…ありがとう」
へへっ、感動したよ。ハテナッチがこんな時まで普段と変わらぬ早さで指摘するなんて。 (何度も言うが、ツッコミではなく指摘なんだ)
気をきかせてか、その後アンディーヌの野郎とハテナッチとチョキオは去って行った。
おれは静かに携帯を手にとった。