「やっぱ白雪って爆豪のこと好きだったんだー!!」

きゃーっと恋バナらしい恋バナにA組女子のテンションが上がる。B組女子はもうとっくに知っていたため驚くことはない。


「ねぇねぇ! 爆豪くんのどこ好きになったの!? 教えて教えて!」
「えっと……爆豪くん、ものすごくストイックで……」
「あーうんうん、確かにストイックだよねぇ、才能マンなだけじゃないっていうか」
「すごい熱が伝わってきてね、なんだか……溶けちゃいそうって思ったの」

頬を染めて宝物を告白するかのような氷華の姿にきゅーんとした。溶けちゃいそうかぁ、そうかぁ。氷雪だもんねぇ。溶かされちゃったらそりゃ惚れるしかないよねぇ。


「え! じゃあ告白したりするの!?」
「わー! カップル誕生だー!」
「あ、ううん、付き合ったりしないよ。それに……もう振られてるから」
「え、氷華ちょっとそれは私も聞いてないぞ!」
「ん!」
「うっそ! 白雪でも爆豪振んの!?」
「ええっ、爆豪くんある意味すご……私が男やったら抗えん……」

今度は別の騒がしさがやってくる。
氷華は思っていたより大事になってしまい慌ててしまう。なんだか大変なことになってしまった。薄々気づいてはいたけれど爆豪の評価がみんな結構低い。十中八九日ごろの行い、素行不良が原因である。


「なんというか……告白はちゃんとしてないのだけど、私がぐいぐい行きすぎちゃって……おまえと付き合う気はないって振られた? みたいに」
「ぐいぐい……」
「え、こんな可愛い子から迫られて?」
「えー……それ爆豪ひどくない? 告白してもないのに振るなんてさー」
「いえ、でも……爆豪ちゃんも気を持たせるようなことをしたくなかったのかもしれないわ」
「うん……私が悪いの。彼女でもないのに彼女面しちゃったから……」

彼女面!!? と目をむく女子一堂に、ぽつぽつと今までの言動を話していく。それに微妙な顔になるもの、静かに相槌を打つもの、思案顔をするもの、黄色い悲鳴を上げるものと様々だった。


「――というわけなの……だから私が悪いの……」
「そんなことになってたのか……よしよし、氷華はそうだよなぁ。この子さ、彼女面してるつもりなかったんだよ。気持ちに素直すぎて好きを隠せない子だからさ、爆豪に対してもただ好きだから話したかったし、会えてうれしいとか、そういうのをストレートにぶつけちゃってただけなんだ」
「ええ、お話してみて分かったわ、氷華ちゃんとっても素直な子なんだもの」
「いやでも意外だわ。白雪って恋愛に対して積極的なんだね。てっきり受け身かと思ってた」
「白雪さん、おモテになられますものね」
「ん」

今一度口に出したことで沈んでしまった氷華を拳藤が宥めた。まさかこんなことになっていたとは、どおりで元気がないはずだ。あとで取蔭にも情報共有せねばと拳藤は決意する。そこではたと気づく。こんなことになっているが、週末や放課後に変わらず爆豪と会っているのを知っている。どういうことなんだと子唾を飲んで尋ねることにした。


「でも氷華……爆豪と変わらず会ってるよな?」
「うん……訓練の約束だけしてるの」
「え、振られたのに!?」
「ヒーローになる勉強してるのに、付き合ったりして恋愛にかまける時間ないのは私も同じだもん。でも全然関わりなくなっちゃったら、そういう時間・・・・・・が出来たときに考えてももらえなくなっちゃう」

目から鱗が落ちるとはこのことか、皆一様に今回ばかりは目を瞬いた。


「へー、意外と白雪ハート強いじゃん。いいんじゃない、そういうの」
「氷華ちゃん、本当に爆豪ちゃんが好きなのね」
「すごいですわ白雪さん! 先を見据えていらっしゃるのですね!」
「いいねいいね白雪ー! 私応援するーー!!」
「私も私もーー!!」
「はいはい私もーー!」
「ん!」
「白雪さんならきっと彼の方を振り向かせることができるでしょう」
「ありがとう、頑張る……!」

がんばるぞ、と気合を入れる氷華に拳藤はもう呆気にとられていた。この子、こんな強かったっけ。雪の結晶が散る瞳にゆらりと燃える炎を感じ、熱が伝導していると感じた。文字通り熱に恋い焦がれている。その熱をつけたのは間違いなく爆豪である。
氷華が言っていた雪女っぽいことはなんでもできるという言葉を思い出す。雪女っぽいというか……雪女だなぁ。これ爆豪捕まるなと拳藤は確信を抱いた。


「がんばれよ、氷華ー」
「うん!」
「あ、でも今度はさっさと相談しろよな。私も切奈も心配したんだから!」
「ごめんなさい……」

林間合宿二日目。夜はこうして更けていくのであった。

 


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