爆豪と氷華の関係がすっかり回復し、むしろ彼女面が公認となったことで氷華のアピールは顕著になっていた。隠せてないのに隠すのがうざいと言われたからである。もう氷華に遠慮というものはなかった。爆豪も口では色々いいつつもなんだかんだと完全に拒絶することもなく、時は平和に流れていた。


「ねぇねぇ、爆豪くん。週末デートしたいな……お部屋デートしよう?」
「しねぇ!! つかおまえも簡単に部屋に招こうとすんな!! もう実家暮らしと訳が違ぇ!!」
「でもぉ……」
「でももだってもねぇ! 聞き分けろ!!」

「またやってるよ、爆豪と白雪」
「白雪……意外と押し強いよなぁ」
「部屋でナニするんだよ……なぁ、ナニするんだよぉ」
「あの二人に限っておまえが思ってるようなことじゃねぇよ。ストイックだからな。百歩譲ってゲームとかじゃね」

寮前で繰り広げられるそれはもはや恒例となっていた。なにせ寮生活が始まると同時に仲直り(?)をした爆豪と氷華は人目をあまり憚らなくなったので。なにせ公認彼女面である。押しとハートが強い氷華が大人しいはずがなかった。爆豪もやはりストレートにくる氷華にあーやっぱこいつはこれだわという謎の安心感を覚え、いつでもどこでもこんな感じである。
一方で切島の予想は大当たりだった。デートとはいっても氷華のデートは世間一般的なデートとずれているので、内容としてはトレーニングアイテムと話題の新作ゲームが実家から送られてきたので一緒にやりましょうである。

折れない爆豪にそうだ! と思いついた顔をして、氷華はきゅるんと可愛くおねだりをした。


「じゃあ……お部屋に行ってもいい……?」
「なんっでだ!? いいわけねぇだろ……!!」

だがしかし、爆豪はこれで常識のある男だったので、お部屋デートは叶ったためしがなかった。
ここにきて爆豪は意外にもA組男子の尊敬のまなざしを一身に受けることとなる。正直あの白雪氷華の誘いである、もうそれはそれはあなたが大好きですと全身で表しながら押されるのだ。そんなの勝てるわけがない。自分だったら押しまけていた、だが爆豪は打ち勝ち続けている、もう尊敬するしかなかった。

一方で性欲の権化と名高い峰田からは「いやあいつ、チンコついてねぇんじゃねぇの」なんて不名誉な言われ方をしている「うるせぇ! ついとるわ!!」今日も朝から賑やかなことである。






仮免取得に向けて必殺技をそれぞれ編み出している中、氷華は至って順調であった。
すでに父直伝の必殺技と、それとは別に自身で編み出した必殺技がいくつかある。今は氷雪の応用で天候を操れないかと考えているところだった。
ぱっと思いつくのは吹雪を吹かせて乱気流を操れないかといったところだが、エクトプラズムに相談しているものの、そこまで行くには個性の出力を上げすぎないといけないため、かなり限定的な使用になる。あまり実用的ではないと判断された。ゆくゆくはそれをモノにしても身になるだろうが、迫る仮免試験のことを考えるとそれは今やるべき課題ではないという話である。
ならばと、やはり何にしてもスロースターターである氷華はまず身体を冷やすことが第一のため、もっと身体を冷やせるようなアイテムを作ってもらえないだろうかとパワーローダーの元を訪れていた。


「あれ? 上鳴くんもサポートアイテム頼みに来てたの?」
「おー白雪! 見てくれよこれ! 発目とパワーローダー先生が作ってくれたんだ!」
「わぁ、すごいね、なんだか見た目もかっこいい……!」
「だろぉ?」

そう言って上鳴が見せてくれたのはポインターだった。
なんでもこのポインターとシューターを使うことで上鳴の放電位置を一直線上にすることができるらしい。氷華は感心した様子で相槌を打つと、これならもしかしたら自分のやりたいこともできるのは? と考えたが、やはり仮免に向けて他のもっと実用的な必殺技を磨こうと思いなおした。





「ねえ知ってる!? 仮免試験て半数が落ちるんだって! A組キミら全員落ちてよ!!」

体育館γ……TDLの使用時間の交代が10分に迫っていたころ、物間が現れストレートに感情をぶつけにきた。
まだ10分あると相澤がブラドキングと話している傍ら、氷華はふわっと爆豪の元に舞い降りた。コスチュームも相まって宛ら雪の妖精そのものである。


「爆豪くん何してるの? 新しい必殺技? それ私知らないやつ? ねぇねぇ教えて?」
「だぁあああ! うるせぇ!! おまえちょっと大人しくしてろ!!」

おっとりとした口調だが押しが強い。ねぇねぇと知りたがってくるくるくるくる、爆豪の周りを浮遊する氷華に爆豪が吠える。いつものことである。コスチューム姿で会うことがなかったためか、氷華がかっこいい似合うと大絶賛している。今にも抱き着かん勢いだが、一応授業中ということで氷華なりに自制しているらしかった。たぶん。


「おまえ、これちょっと凍らせてみろや」
「うん? わかった、ちょっとでいい?」
「8℃」
「はーい」

氷華が凍らせ始めるのと同時に爆豪が徹甲弾A・Pショットを放つ。先ほど撃ったものより格段に火力も爆発力も上がったそれに爆豪は不敵な笑みを浮かべた。


「わぁ! すごいすごい! ねぇねぇ、今の私役に立った?」
「おー立った立った。いうこと聞けて偉いなぁ、氷華チャンは」
「はわぁ……! 爆豪くんが氷華ちゃんっていったぁ……!」

ふわふわ幸せそうに溶けている氷華に気づいた物間が悲惨な声を上げる。それに爆豪は更に気をよくした。仮免試験、余裕だわ。なんて思っていたら会場がA組とB組で違うらしい。ちょっと機嫌を損ねた。でも自分以上に「じゃあ私、爆豪くんと合体技できない……?」とショックを受けている氷華を見たら溜飲が下がるというもの。
しょうがないから「おまえと組む機会なんざいくらでもあんだろ……」自分はそのつもりだと遠回しに伝えれば、正しく受け取った氷華が今度こそ嬉しそうに抱き着いてきた。今度ばかりは怒鳴った。当然相澤にも怒られた。いや、俺悪くねぇだろ!!

 


戻る

top