ヒーロービルボードチャートJP下半期の発表が行われ、氷華の父親である氷結ヒーローグレイズは上半期と変わらずNO.4の座を維持した。容姿端麗でクールな性格なので女性の支持率が多く占める。最近益々冷え込んで来ているのでこれからの活躍が期待できるヒーローだ。
ビルボードチャート発表から間もなく、九州で保須で見た脳がむき出しの化け物――脳無のうむというらしい――が暴れた。NO.1とNO.2のチームアップで何とか勝利するもかなりひやっとする戦闘だった。だが見ろや君などの影響もあり、時代は静かにエンデヴァーへと移り変わっている。






「爆豪くん冬コスもかっこいいね! すっごく似合ってる……!」
「そういうおめぇは変わんねぇな」

いつぞやの体育館γと同じようにくるくるくるくる、周りを浮遊する氷華に慣れた様子で話す。
今日はA組とB組の対抗戦だった。物間が文化祭での自分調べアンケートでどや顔をしている間、氷華は爆豪しか目に入っていなかった。
チーム分けをして、氷華は回原、鉄哲、骨抜と同じチームになる。対戦相手は轟たちのチームである。天敵である炎を使ってくる轟との対戦だが、爆豪はまったく心配していなかった。する必要がない・・・・・・・のを理解していたのだ。


「腐っても雄英に合格した男。考え無しに生きてるわけじゃァねェのよ」
「急にどうした」
「このチーム索敵なんざからっきしなやつばかり」
「そうだねぇ……私の氷龍霰華グランディーネも意思疎通ができるわけじゃないもんねぇ」

鉄哲が急に語りだし、回原が突っ込んでは氷華もうんうんとおっとり頷く。先ほどブラドキングから被害は最小限にとのお達しがあったため、広域範囲攻撃を持つ轟との正面戦闘をできるだけ避けようとの方向で話していたのだが――鉄哲が更地にしてしまった。


「小細工無用! 来いや死ようぜ真っ向勝負!!」
「もう! 向こうは轟いるんだぞ!!」
「まァこれはこれでやれることあるんじゃね」
「柔軟な思考かよ柔造!!」

回原が全力でツッコんでいる間、氷華は冬の匂いを感じていた。冷たい冷たい、氷の匂い。体育祭で感じたあの匂いだった。


「かえって良かったかも。轟くんが来る」
「え? それやばくね!? 向こうだって絶対白雪警戒するはずじゃん! 炎はまだ・・対応が――うおおおおお!」

轟の広範囲氷結が展開された。モニターを見た爆豪が「バカが、あいつがいて氷使うやつがあるか」と口に出す。しょうがない、轟は長いこと氷しか使ってこなかったので癖が抜けないのだ。氷華は轟の氷を収集し、氷龍霰華を三体生成すると轟以外に散らした。
骨抜も柔軟な対応であちこちを柔化させ、すでに足場を崩していた。飯田のレシプロも、尾白の機動力も関係ない。
上手い具合にハマり、尾白は回原、飯田は骨抜、障子は鉄哲とバラけた。氷華は希望通り轟が相手だ。


「驚いたな……俺の氷も使えちまうのか」
「体育祭ではスタートダッシュでしか使ってなかったから知らなかったよね? 私に轟くんの氷は効かないよ」
「なら左を使うだけだ。わりィが火傷してもしらねぇぞ……!!」

炎の壁が立ちふさがる。だいぶ高温だ。けれどインターンでエンデヴァーに扱かれていた氷華にとってはなんてことはない。エンデヴァーの籠る熱を冷ましてきた。エンデヴァーの近くで戦ってきた。そしてなにより今は冬、冬はいつだって氷華の味方なのだ。


「どうして私が轟くんの相手をしてるかわかる……? 完封できるからだよ。そんな熱じゃ私は溶かせない」

歌うように紡がれる言の葉がそのまま現実を形成していく。
轟の炎を氷華の氷雪が飲み込んでいる。轟の炎熱より氷華の氷雪の威力が上回っているのだ。熱を使って上がっていたはずの気温がどんどん下がっていく。だがここで回原を激カワ据え置きプリズンまで運び終えた飯田が戻ってきた。ただしヘルメットがなくなっている、回原がやったのだろう。


「きゃっ!!」
「飯田……!?」
ヴィランとはいえ女性の身体に無暗に触れてすまない!! だが彼女は厄介だ! このまま大人しく牢に入ってもらう!! って君ほんとに冷たいな!? 大丈夫か!!?」

下がりきった氷華の身体に触れた場所から霜がおりている。なんなら凍っていく。けれど自分のレシプロターボなら牢まで突っ切れる自信があった。
モニター越しに爆豪が冷静に「終わったな」とコメントする。轟も酷く焦った様子で叫んだ。


「だめだ飯田!! そいつに触るな!! そいつは――」
「――心配してくれるの? ありがとう。でも大丈夫……私雪女だもの」
「……は……?」

飯田が意識を失う直前見たのは……怪しく光る氷華の瞳だった。
精気を強めに吸った。レシプロが厄介すぎるのである。正直轟より警戒した。骨抜に任せたはずだがなるほど、持続時間が伸びたらしい。それならば精気吸収できる自分が下すしかないというもの。回原もそれに気づいたのだろう、氷華が精気を吸収できるようにメットを剝がしてくれていた。まったくもってナイスである。
一方その頃、鉄哲と障子のステゴロは白熱していた。意外と力自慢な障子である。鉄哲の真正面から立ち向かう戦法と、障子の索敵ありきの超反応はいい勝負だった。そこに加勢する尾白と、サポートに入る骨抜が今合流した。


「飯田っ!」
「はぁ……びっくりした。レシプロってホントにはやいのね、回原くんが外しててくれなかったら危なかったな」

飯田を牢に入れる時間はない、目の前には轟がいる。自分がこのチームの要であり、主力であるという自覚がある者同士、負けられないのだ。

 


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