一緒じゃなくなった
「スティーリア! ちょっと見ないうちに出来ていたことが出来なくなっているぞ!! どういうことだ!?」
「ひゃ、ひゃい……」
俺より速く
「おまえは先のインターンで点での放出を掴んでいたはずだ。習得までには至らなかったがほぼ完成に近づいていたように見えたのは俺の勘違いだったか」
「い、いえ……」
「なら何故できない。さっきのトラックにしてもそうだ、おまえは個性行使を
「……そういや、俺のときも白雪が無意識に手加減した気がしたな。寸止めっていうのか」
氷華はもう心臓がバクバクしていた。決して舐めてかかっているつもりはないのだ。できていたことができなくなっている自覚もある。その理由もわかっている、わかっているがなかなか上手くいかないのだ。
もじっとしてしまった氷華の両頬を爆豪が掴んで引っ張ると代わりに全部説明してくれた。
「なんでもなにもコイツ冬になると馬鹿力すぎてコントロール効かねンだよ! やりすぎンの自覚してっから躊躇うんだろーが!!」
「いひゃいいひゃい……」
「なるほど、氷雪という個性柄冬に最高のパフォーマンスを発揮できるけど強力すぎて身体がついていってないんだ……僕の個性と同じだね! 白雪さん!!」
「同じなわけあるか! コイツは繊細すぎンだよ! 色々考えすぎなんだわ!!」
「ん……私が個性使って二次災害になっちゃったらとか考えちゃう」
「(……個性婚の弊害か。この子は持て余してしまった側の子か……)なるほどな、だがそれを乗り越えるにはやはり経験しかない。そこから見極めろ、敵を拘束できる出力、未然に防ぎ助けられる出力を。それを探り身体に覚えこませればあとは簡単だ。その要領さえ掴めばコントロールできるようになるだろう」
「……ん、頑張ります」
エンデヴァーの言うことはもっともである。これさえちゃんとできるようになれば最大出力だってちゃんと制御できるはずである。言うのは簡単だがやるのは難しいの典型でもあるが。
ちなみに爆豪は冬になって黒星ばかりである。同じくスロースターターといえど冬がめちゃくちゃ苦手なやつとめちゃくちゃ得意なやつでは当たり前である。何度雪山に埋まったかわからない。ちなみに夏はこの関係が逆転する。
「スティーリアの事情は分かった、そういうことならおまえはこれから一週間、
「え……」
「おまえにはおまえがやるしかない極限的な状況がなければならないと判断した。俺について回らせるよりおまえが主体となって動く方がおまえは伸びる」
こうして氷華は一人相棒たちと共に行動することが命じられた。あくまで相棒はサポートであり、氷華にやらせるように指示をされる。本当に間に合わなかったときの保険である。インターン生にここまでするのかという疑問はあれど、氷華はすでにエンデヴァーが将来的に相棒にすることを明言されているためそんなものかという認識だった。実際はホークスの暗号ありきである。超常解放戦線。それに備えた準備だった。
結果的にエンデヴァーの言うとおりだった。自分がやるしかない状況は繊細な氷華に
戻ってきた氷華は三人にとって大変いい刺激になっていた。
なにせ同い年の女の子である。その子が自分たちより速く駆け、目の前ですでに救っているのだ。もちろんエンデヴァーに先越される方が圧倒的に多いが、それでも氷華に先駆けされたというのは男のプライドに火がついた。闘争心が湧いたのである。
皆疲れていたがいい顔をしていた。エンデヴァーが何やら難しい顔をして、それはもう気合十分に叫んだ。
「いくぞ!!」
「おう!!」
「ああ」
「はい!!」
「はーい!」
エンデヴァーの勢いに返事をして向かった先は――まさかの轟くんの家だった。エンデヴァー宅である。
ついに氷華も地獄の轟くん家の闇に触れることになろうとはこの時は夢にも思わなかった。
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