「まさかこのような形で再びチャンスを得られるとは思いませんでしたわ!」
「それなぁ……まったく泣かせてくれるぜ……!」
本戦でトーナメントの組み合わせをくじで決めるところ、なんと心操チームだった尾白と庄田が辞退したのだ。彼らは心操のチームだったが始まりから終盤までの記憶がないらしい。心操の個性にかかったまま競技に参加していたのだ。けれどそれは自分の力で勝ち取ったものではない、何もしてないものが本戦にはあげれないと辞退を申し入れ、それを許可されたことで次の順位だった拳藤チームが繰り上がるはずが、自分たちは轟の氷結でずっと動けないままだったから何もできてない、そういう話なら終盤まで頑張ってた手繰チームが上がるべきだという主張で、傀薇たちのチームから傀薇と鉄哲が上がることになったのだ。
「あら、一回戦は上鳴とですわね!」
「手繰かー! 負けないぜ!」
「望むところですわ!」
傀薇の対戦相手は上鳴だった。帯電は強力な個性である。傀薇はどう攻略しようかと考えた。
けれど本戦の前にレクリエーションである。体力お化けの傀薇は八百万ブランドのチア服のままレクリエーションにも参加し、それはもう全力で楽しんでいた。
「初戦は緑谷と心操ですのね!」
「そういや手繰も心操の個性にかかってたんだって? どんな感じだった」
「そうですわね、40℃以上の熱がでたときと似てますわ! ぼーっとしますの!」
「40℃!? よく生きてたなお前!?」
「昔から身体は丈夫ですの!」
「バカは風邪ひかねぇんじゃねぇのか」
「爆豪! わたくし確かに風邪はひいたことありませんわ! インフルエンザでしたのよ!」
何でも知ってますのね、と好意的に受け止める傀薇に爆豪はそれはもうドン引きした。なんで今の話で好意的に受け取ってんだ意味わかんねぇ。バカだやっぱこいつ人類始まって以来のバカだと思った。
そうして始まった心操と緑谷の試合だが、何かを言われた緑谷が答えてしまい、個性にかかってしまう。そのまま場外に出ようとするのを見て、傀薇は冷静に上鳴の試合は自分もこれでいこうなどと考えていた。
もう場外に出てしまうといった瞬間、緑谷の個性が暴発し、洗脳が解けた。そこからは簡単で身体能力で上回る緑谷が背負い投げで心操を場外にした。
「……わたくし、心操の個性……いい個性だと思いますわ」
「お? そうだな。初見殺しだけど対敵に有利そうだ!」
「敵向きといわれようとも……その心がヒーローである限り、それは素敵な個性なんだとわたくしは思いますの」
「傀薇さん……」
どこかいつもと雰囲気が違う傀薇に周りが少し困惑する。小さい頃から一緒で事情を知る八百万だけが気遣わしげに傀薇の背中を撫でた。その言葉の意味を火災ゾーンで一緒だった尾白は何か合点がいったように気まずげな顔をした。「手繰、その……あのとき」「気にしてませんわ。だってわたくしはヒーロー志望ですもの!」「……そうだよな」にっこり笑う傀薇に尾白が少しほっとする。手繰傀薇はヒーロー志望である。どのような個性であろうとも、それは変わらないのだ。
第二試合でどこか苛立った様子の轟が氷結をぶっぱなし、瀬呂と会場を氷漬けにした。傀薇が戦闘訓練で受けたときの氷結より規模が上がっている。轟もまたあれから成長しているのを感じた。圧倒的な力量差に傀薇が「瀬呂ーー! どんまいですわーー!」と声をかけるとどんまいコールが響き渡った。
続く第三試合、傀薇と上鳴の出番だった。
「スパーキングキリングボーイ! 上鳴電気!! VS 花の顔 にどこでもサーカス! 手繰傀薇!!」
「手繰ってこうして改めて見るとやっぱ顔面偏差値高いよなぁ!体育祭 終わったら飯とかどうよ? 多分この勝負一瞬で終わっから俺でよければ慰めるよ 」
「? 一瞬で終わるってのには……同感ですわ!」
傀薇が木綿糸を掌から出し、上鳴に付着させる。付着させることで糸が道になったそれに上鳴は「自棄でも起こしちまった?」と余裕そうに放電する。けれど木綿糸は電気を通しにくいのだ。傀薇に届かないそれに上鳴は虚を突かれるも「まぁ通しにくいってだけで許容限界はあるっしょ!」と最大出力で放電しようとしたとき、それは起きた。頭の中で殴られたような衝撃を感じた瞬間、上鳴の意識は落ちた。
上鳴の右腕がすっと伸び、そして――
「上鳴電気、降参いたしますわ!」
「(ますわ……)上鳴くん降参! 二回戦進出手繰さん!」
そして傀薇が糸を解除すると上鳴の意識が戻る。気づけば降参して試合が終わっていたことに何が何だかわかっていなかった。
「なんだあれー!? 今上鳴「ますわ」って言ったよな!?」
「手繰の個性だよ。糸を介して精神を乗っ取ったんだ」
「手繰も洗脳系の個性だったんか!? すげーぜ! まさに瞬殺ってやつじゃねぇか! かっこいいぜフォー!!」
「ええ!? 手繰そんなことできたんかよおお!? 聞いてねぇぜすっげええかっけええ!」
「……それほどでもありますわ!!」
傀薇は自分の洗脳の側面をもつ、敵向きとされる部分が素直に称賛を浴びているのに満たされる何かを感じた。ほら、やっぱり言いましたでしょう。ヒーローの心を持つ限り、それは素敵な個性なんだって。傀薇はこうして二回戦進出を決めたのだった。
「それなぁ……まったく泣かせてくれるぜ……!」
本戦でトーナメントの組み合わせをくじで決めるところ、なんと心操チームだった尾白と庄田が辞退したのだ。彼らは心操のチームだったが始まりから終盤までの記憶がないらしい。心操の個性にかかったまま競技に参加していたのだ。けれどそれは自分の力で勝ち取ったものではない、何もしてないものが本戦にはあげれないと辞退を申し入れ、それを許可されたことで次の順位だった拳藤チームが繰り上がるはずが、自分たちは轟の氷結でずっと動けないままだったから何もできてない、そういう話なら終盤まで頑張ってた手繰チームが上がるべきだという主張で、傀薇たちのチームから傀薇と鉄哲が上がることになったのだ。
「あら、一回戦は上鳴とですわね!」
「手繰かー! 負けないぜ!」
「望むところですわ!」
傀薇の対戦相手は上鳴だった。帯電は強力な個性である。傀薇はどう攻略しようかと考えた。
けれど本戦の前にレクリエーションである。体力お化けの傀薇は八百万ブランドのチア服のままレクリエーションにも参加し、それはもう全力で楽しんでいた。
「初戦は緑谷と心操ですのね!」
「そういや手繰も心操の個性にかかってたんだって? どんな感じだった」
「そうですわね、40℃以上の熱がでたときと似てますわ! ぼーっとしますの!」
「40℃!? よく生きてたなお前!?」
「昔から身体は丈夫ですの!」
「バカは風邪ひかねぇんじゃねぇのか」
「爆豪! わたくし確かに風邪はひいたことありませんわ! インフルエンザでしたのよ!」
何でも知ってますのね、と好意的に受け止める傀薇に爆豪はそれはもうドン引きした。なんで今の話で好意的に受け取ってんだ意味わかんねぇ。バカだやっぱこいつ人類始まって以来のバカだと思った。
そうして始まった心操と緑谷の試合だが、何かを言われた緑谷が答えてしまい、個性にかかってしまう。そのまま場外に出ようとするのを見て、傀薇は冷静に上鳴の試合は自分もこれでいこうなどと考えていた。
もう場外に出てしまうといった瞬間、緑谷の個性が暴発し、洗脳が解けた。そこからは簡単で身体能力で上回る緑谷が背負い投げで心操を場外にした。
「……わたくし、心操の個性……いい個性だと思いますわ」
「お? そうだな。初見殺しだけど対敵に有利そうだ!」
「敵向きといわれようとも……その心がヒーローである限り、それは素敵な個性なんだとわたくしは思いますの」
「傀薇さん……」
どこかいつもと雰囲気が違う傀薇に周りが少し困惑する。小さい頃から一緒で事情を知る八百万だけが気遣わしげに傀薇の背中を撫でた。その言葉の意味を火災ゾーンで一緒だった尾白は何か合点がいったように気まずげな顔をした。「手繰、その……あのとき」「気にしてませんわ。だってわたくしはヒーロー志望ですもの!」「……そうだよな」にっこり笑う傀薇に尾白が少しほっとする。手繰傀薇はヒーロー志望である。どのような個性であろうとも、それは変わらないのだ。
第二試合でどこか苛立った様子の轟が氷結をぶっぱなし、瀬呂と会場を氷漬けにした。傀薇が戦闘訓練で受けたときの氷結より規模が上がっている。轟もまたあれから成長しているのを感じた。圧倒的な力量差に傀薇が「瀬呂ーー! どんまいですわーー!」と声をかけるとどんまいコールが響き渡った。
続く第三試合、傀薇と上鳴の出番だった。
「スパーキングキリングボーイ! 上鳴電気!! VS 花の
「手繰ってこうして改めて見るとやっぱ顔面偏差値高いよなぁ!
「? 一瞬で終わるってのには……同感ですわ!」
傀薇が木綿糸を掌から出し、上鳴に付着させる。付着させることで糸が道になったそれに上鳴は「自棄でも起こしちまった?」と余裕そうに放電する。けれど木綿糸は電気を通しにくいのだ。傀薇に届かないそれに上鳴は虚を突かれるも「まぁ通しにくいってだけで許容限界はあるっしょ!」と最大出力で放電しようとしたとき、それは起きた。頭の中で殴られたような衝撃を感じた瞬間、上鳴の意識は落ちた。
上鳴の右腕がすっと伸び、そして――
「上鳴電気、降参いたしますわ!」
「(ますわ……)上鳴くん降参! 二回戦進出手繰さん!」
そして傀薇が糸を解除すると上鳴の意識が戻る。気づけば降参して試合が終わっていたことに何が何だかわかっていなかった。
「なんだあれー!? 今上鳴「ますわ」って言ったよな!?」
「手繰の個性だよ。糸を介して精神を乗っ取ったんだ」
「手繰も洗脳系の個性だったんか!? すげーぜ! まさに瞬殺ってやつじゃねぇか! かっこいいぜフォー!!」
「ええ!? 手繰そんなことできたんかよおお!? 聞いてねぇぜすっげええかっけええ!」
「……それほどでもありますわ!!」
傀薇は自分の洗脳の側面をもつ、敵向きとされる部分が素直に称賛を浴びているのに満たされる何かを感じた。ほら、やっぱり言いましたでしょう。ヒーローの心を持つ限り、それは素敵な個性なんだって。傀薇はこうして二回戦進出を決めたのだった。
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