いよいよ仮免試験当日。円陣を組んでいた時に士傑の生徒が加わってきたり、その人が推薦入試トップの成績で合格したにもかかわらず入学を辞退した人であったり。相澤と知己であるMs.ジョーク率いる傑物学園二年の中でやけに爽やかそうなのが爆豪に挨拶して拒否られたり、ミーハー気味の女生徒が轟がかっこよかったとサインをもらおうとしたり、出だしから騒がしいスタートを迎えた。
まずは勝ち抜き戦であった。先着100名。全体の一割以下の合格数である。身体のどこかに3つのターゲットを装着し、各3つボールが配られる。3つ目のターゲットにボールを当てた者が倒したという判定になり、これを二人倒さなければならないというもの。単純に三つ目を横取りなどする戦法が推奨されているものだった。
「……すっかり分断されてしまいましたわね」
傑物の二年の真堂の震伝動地によってA組は分断されていた。傀薇は一人になっていたし、周りには傀薇を狙う敵だらけだった。
「マリオネットの手繰傀薇。可憐な見た目とは裏腹に個性フィジカル共に優秀。中遠距離を個性で、近距離では肉弾でと隙がない。けれど流体ならばどうだろう……君は操れまい」
「随分わたくしのこと売ってくださるのですね、光栄ですわ」
「そして頭は弱い……隙あり! 悪く思うなよ!」
身体を水に変えたその人が傀薇に迫る。勝利を疑っていないその姿に傀薇はくすっと笑って針に力を込めた。
「もらったああああ!!」
「愉快な人形劇 」
歌うように紡がれたその言葉を聞いたとき、相手は力いっぱい頭をぶん殴られたような衝撃を感じ、気絶した。針に糸を通しそれを軸にして精神に直接ダメージを与えたのだ。いくら流体に身体を変化させようとそこには必ず意識がある。精神を攻撃できさえすれば傀薇の精神攻撃は効くのだ。
「本来この必殺技は操り人形のように使うものなのですけれど、あなたには効きすぎたみたいですわね。精神力も鍛えた方がよろしくてよ」
そういってその人と周りで気絶している人形 たちもついでに同時にボールを個性で当てた。誰のボールが当たろうとも当てた人にポイントが入るからだ。多すぎる受験者を少しでも減らして残っているクラスメイトたちの負担を減らした。
彼らの敗因は傀薇の強さが肉体的なものだけだと勘違いしたこと。傀薇の最大の強みはその精神力。愉快な人形劇 で一気に無力化できたことを誇らしく思いつつ、「そんなお豆腐メンタルではヒーローは務まりませんわよ?」と心配した。
「傀薇」
「あら焦凍。もう来てましたのね」
「ああ。他の奴らはまだ来てない。俺らだけだ」
「初めの方で分断されてしまいましたの。まぁ、皆さんなら大丈夫でしょう。根性ありますもの」
轟がターゲットを外すキーの場所とボールバッグの返却棚を教えてくれる。傀薇がそれらを処理している間に轟が軽い軽食と飲み物をとってきてくれていた。
「まぁ、ありがとうですわ」
「なんがいいかわかんなかったから適当にとってきた。苦手なもんあったら避けといてくれ」
「レバーじゃなければわたくしなんでも大丈夫ですわ」
「レバー苦手なのか」
「ええ。あのくちゃっとねちょっとした感じが……」
「ああ、食感独特だもんな」
ふと視線を感じて振り返る。そこには士傑の推薦を蹴ったあの受験者、夜嵐がいた。傀薇と目が合うとなんでもない風に笑って手を振ってきたのでとりあえず振り返した。それに気づいた轟も振り返って例の微妙な反応の人だったのでますます疑問符を頭の中に浮かべるのだった。
そして続々とA組が集まるも、残席が残り10人になった時点で9人が残っていた。けれどギリギリで自分を合格させようと助けてくれている飯田を合格させようとネビルレイザーを大きく放った。それが目印となり残っていた9人が団結し見事A組全員が通過することが出来たのだった。
続く二次試験、最後の試験は被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行うといったものだった。要救助者のプロがフィールド全域にスタンバイしており、傀薇たちは仮免を取得したものとしてどれだけ適切な判断を行えるかの試験だった。
「わあああママぁあああ!」
「お兄ちゃんどこおおおお」
「うわんんん怖いよおおお」
「! 子供ですわね。怪我はどれも軽傷……保護者とはぐれた設定ですわね」
「子供か……パニックになってっぞ!? ああ、そっちはダメだって……!」
「瀬呂、ここはわたくしが。あなたは百たちのサポートに」
「お前ひとりで大丈夫か?!」
「もちろん。子供の心を掴むのは得意ですの……!」
そういって傀薇はコスチュームに携帯してある小型の人形を糸で操り、子供たちの前で人形劇を披露した。パニックになった子供を迅速に落ち着かせ、他の学校の生徒たちが急ごしらえしてくれた救護所へ案内していく。マリオネットで空中ブランコもどきをしてやるころには子供たちはすっかり落ち着いていた。
「それではよろしくお願いしますわ」
「ブランコのおねーちゃん、またねー!(これは優秀)」
「気を付けてねー!(子供の対処は上手いな)」
「怪我すんなよーー!!(でも他はどうかな……)」
「ええ! またお会いしましょう!」
そうして間もなく、フィールドに敵が襲来した。敵役はなんと豪華にギャングオルカであり、傀薇も強大な敵を前に無力化できないかと参戦する。轟たちが対処しているのが見えた。けれどどうしたのか轟と夜嵐がもめているようだった。炎が真堂に迫っている、それを視認した傀薇は迷いなく針を真堂に飛ばした。
「何をしてんだよ!!」
「焦凍……!!」
はっとした顔をする轟に傀薇は何かあったと悟る。けれどギャングオルカは待ってはくれない、サイドキックたちも優秀だった。轟達が突破されて傷病者を避難させている最中の受験者たちの前に現れるのを真堂が揺れで防いだ。轟と夜嵐が今度こそ協力しギャングオルカを炎の渦に閉じ込める。傀薇は二人に近づいてくるサイドキックたちに個性を行使し、近寄らせまいとした。
「二人の邪魔はさせませんわ……!!」
「ぐあああ! まってすごい君すごい力だな!?」
「うああああ! 俺ら一塊にされてるううう」
「一気に行きますわよ……!吸精する激情 !!」
USJでやったときのようにサイドキックたちを一塊にして一気に精気を奪う。無力化に成功してすぐ轟たちのサポートに入る。轟と夜嵐に糸を飛ばし、そこから吸い取った精気を分け与えたのだ。
「(身体に力が湧いてくる……!!)」
「(取り返せ……自分の失態を……もらったこのエネルギーを無駄にするな……!!)」
「まだやれるでしょう!! ご自分の失敗は行動で返していただきますわ!!」
傀薇からもらったエネルギーを個性に反映していく。炎の渦の激しさが増したがさすがプロヒーロー……ギャングオルカはこれでは倒れなかった。
「で? 次は?」
「(ねェよ)」
「ありますわよ!! わたくしと精神比べと洒落こみましょう!!!」
「二人から離れてください!!!」
傀薇が特大の針を刺そうとしたのと緑谷が奇襲した瞬間、試験が終わった。要救助者の救助がちょうど終わったのだ。そうして合格発表。
「焦凍……」
轟と爆豪の名前がなかった。爆豪は要救助者への振る舞いに難あり、轟は夜嵐との衝突が原因だった。夜嵐が轟が合格を逃したのは自分のせいだと謝りに来た。轟は自分が元々まいた種だと言い、逆に直球でぶつけてもらったおかげで気づけたこともあると言った。しんみりしてしまったが、補講を受ければ仮免を発行してもらえるらしく、轟と爆豪、夜嵐は気合十分に前を向いていた。
「傀薇……話がある。あとで部屋行ってもいいか」
「? ええ」
何かを考えている様子に傀薇はなんだろうかと考える。思いつめているわけでもない、けれど静かに考えている様子に傀薇はなんと声をかけていいかわからなかった。
まずは勝ち抜き戦であった。先着100名。全体の一割以下の合格数である。身体のどこかに3つのターゲットを装着し、各3つボールが配られる。3つ目のターゲットにボールを当てた者が倒したという判定になり、これを二人倒さなければならないというもの。単純に三つ目を横取りなどする戦法が推奨されているものだった。
「……すっかり分断されてしまいましたわね」
傑物の二年の真堂の震伝動地によってA組は分断されていた。傀薇は一人になっていたし、周りには傀薇を狙う敵だらけだった。
「マリオネットの手繰傀薇。可憐な見た目とは裏腹に個性フィジカル共に優秀。中遠距離を個性で、近距離では肉弾でと隙がない。けれど流体ならばどうだろう……君は操れまい」
「随分わたくしのこと売ってくださるのですね、光栄ですわ」
「そして頭は弱い……隙あり! 悪く思うなよ!」
身体を水に変えたその人が傀薇に迫る。勝利を疑っていないその姿に傀薇はくすっと笑って針に力を込めた。
「もらったああああ!!」
「
歌うように紡がれたその言葉を聞いたとき、相手は力いっぱい頭をぶん殴られたような衝撃を感じ、気絶した。針に糸を通しそれを軸にして精神に直接ダメージを与えたのだ。いくら流体に身体を変化させようとそこには必ず意識がある。精神を攻撃できさえすれば傀薇の精神攻撃は効くのだ。
「本来この必殺技は操り人形のように使うものなのですけれど、あなたには効きすぎたみたいですわね。精神力も鍛えた方がよろしくてよ」
そういってその人と周りで気絶している
彼らの敗因は傀薇の強さが肉体的なものだけだと勘違いしたこと。傀薇の最大の強みはその精神力。
「傀薇」
「あら焦凍。もう来てましたのね」
「ああ。他の奴らはまだ来てない。俺らだけだ」
「初めの方で分断されてしまいましたの。まぁ、皆さんなら大丈夫でしょう。根性ありますもの」
轟がターゲットを外すキーの場所とボールバッグの返却棚を教えてくれる。傀薇がそれらを処理している間に轟が軽い軽食と飲み物をとってきてくれていた。
「まぁ、ありがとうですわ」
「なんがいいかわかんなかったから適当にとってきた。苦手なもんあったら避けといてくれ」
「レバーじゃなければわたくしなんでも大丈夫ですわ」
「レバー苦手なのか」
「ええ。あのくちゃっとねちょっとした感じが……」
「ああ、食感独特だもんな」
ふと視線を感じて振り返る。そこには士傑の推薦を蹴ったあの受験者、夜嵐がいた。傀薇と目が合うとなんでもない風に笑って手を振ってきたのでとりあえず振り返した。それに気づいた轟も振り返って例の微妙な反応の人だったのでますます疑問符を頭の中に浮かべるのだった。
そして続々とA組が集まるも、残席が残り10人になった時点で9人が残っていた。けれどギリギリで自分を合格させようと助けてくれている飯田を合格させようとネビルレイザーを大きく放った。それが目印となり残っていた9人が団結し見事A組全員が通過することが出来たのだった。
続く二次試験、最後の試験は被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行うといったものだった。要救助者のプロがフィールド全域にスタンバイしており、傀薇たちは仮免を取得したものとしてどれだけ適切な判断を行えるかの試験だった。
「わあああママぁあああ!」
「お兄ちゃんどこおおおお」
「うわんんん怖いよおおお」
「! 子供ですわね。怪我はどれも軽傷……保護者とはぐれた設定ですわね」
「子供か……パニックになってっぞ!? ああ、そっちはダメだって……!」
「瀬呂、ここはわたくしが。あなたは百たちのサポートに」
「お前ひとりで大丈夫か?!」
「もちろん。子供の心を掴むのは得意ですの……!」
そういって傀薇はコスチュームに携帯してある小型の人形を糸で操り、子供たちの前で人形劇を披露した。パニックになった子供を迅速に落ち着かせ、他の学校の生徒たちが急ごしらえしてくれた救護所へ案内していく。マリオネットで空中ブランコもどきをしてやるころには子供たちはすっかり落ち着いていた。
「それではよろしくお願いしますわ」
「ブランコのおねーちゃん、またねー!(これは優秀)」
「気を付けてねー!(子供の対処は上手いな)」
「怪我すんなよーー!!(でも他はどうかな……)」
「ええ! またお会いしましょう!」
そうして間もなく、フィールドに敵が襲来した。敵役はなんと豪華にギャングオルカであり、傀薇も強大な敵を前に無力化できないかと参戦する。轟たちが対処しているのが見えた。けれどどうしたのか轟と夜嵐がもめているようだった。炎が真堂に迫っている、それを視認した傀薇は迷いなく針を真堂に飛ばした。
「何をしてんだよ!!」
「焦凍……!!」
はっとした顔をする轟に傀薇は何かあったと悟る。けれどギャングオルカは待ってはくれない、サイドキックたちも優秀だった。轟達が突破されて傷病者を避難させている最中の受験者たちの前に現れるのを真堂が揺れで防いだ。轟と夜嵐が今度こそ協力しギャングオルカを炎の渦に閉じ込める。傀薇は二人に近づいてくるサイドキックたちに個性を行使し、近寄らせまいとした。
「二人の邪魔はさせませんわ……!!」
「ぐあああ! まってすごい君すごい力だな!?」
「うああああ! 俺ら一塊にされてるううう」
「一気に行きますわよ……!
USJでやったときのようにサイドキックたちを一塊にして一気に精気を奪う。無力化に成功してすぐ轟たちのサポートに入る。轟と夜嵐に糸を飛ばし、そこから吸い取った精気を分け与えたのだ。
「(身体に力が湧いてくる……!!)」
「(取り返せ……自分の失態を……もらったこのエネルギーを無駄にするな……!!)」
「まだやれるでしょう!! ご自分の失敗は行動で返していただきますわ!!」
傀薇からもらったエネルギーを個性に反映していく。炎の渦の激しさが増したがさすがプロヒーロー……ギャングオルカはこれでは倒れなかった。
「で? 次は?」
「(ねェよ)」
「ありますわよ!! わたくしと精神比べと洒落こみましょう!!!」
「二人から離れてください!!!」
傀薇が特大の針を刺そうとしたのと緑谷が奇襲した瞬間、試験が終わった。要救助者の救助がちょうど終わったのだ。そうして合格発表。
「焦凍……」
轟と爆豪の名前がなかった。爆豪は要救助者への振る舞いに難あり、轟は夜嵐との衝突が原因だった。夜嵐が轟が合格を逃したのは自分のせいだと謝りに来た。轟は自分が元々まいた種だと言い、逆に直球でぶつけてもらったおかげで気づけたこともあると言った。しんみりしてしまったが、補講を受ければ仮免を発行してもらえるらしく、轟と爆豪、夜嵐は気合十分に前を向いていた。
「傀薇……話がある。あとで部屋行ってもいいか」
「? ええ」
何かを考えている様子に傀薇はなんだろうかと考える。思いつめているわけでもない、けれど静かに考えている様子に傀薇はなんと声をかけていいかわからなかった。
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