練習期間に演出隊から青山を行きわたらせられないかという提案があり、緑谷か傀薇を引き抜きたいというものがあったが、舞台映えやパートに組み込んだ手品もあり緑谷が行くことになった。エリちゃんにダンスをすると言ってしまったという緑谷だったが、序盤はダンス隊でダンスを踊れることから快諾してくれた。
そんな変更もありつつ文化祭当日、緑谷が朝一にホームセンターでロープを買いに行ったまま戻ってこないという事態が発生。本当にギリギリで戻ってきた緑谷はなんだかかなり疲れた様子だった。
そうして開幕寸前、幕越しに「ヤオヨロズーー!」と「傀薇ちゃーーん」やら「手繰ーーーー!」、「太陽ーーー!」なんて声が聞こえる。太陽なんて傀薇を呼ぶのは塩崎くらいのはずだったが彼女の声ではない。なにやら彼女が太陽と呼んでいるのを聞いた面々が便乗しているらしかった。
「わー! 傀薇ちゃんすごい人気!」
「インターンが効いたな! あのネットニュースの!」
「え、ええ……光栄なことですわ……」
たくさんの人がネットニュースを見てくれたのだ。マジェスティックの君はもうヒーローだという言葉がよみがえる。もう傀薇は誰かにとってのヒーローなのだ。……まぁ今回に限りヒーローというよりアイドル的な扱いかもしれないが細かくは言うまい。そうしていざ、開演。
「はいちゅーもくですわ!」
ダンスパートを終えて傀薇が中央で手品を始める。大きなかぼちゃお化けをどこからともなく召喚し、中をマリオネットで釣り上げさかさまにして何も入っていないアピールをする。そうして二回ほどステッキでかぼちゃお化けを叩くと、中からかぼちゃのお菓子が溢れでてきた。
興奮した観客にそれを撒くように配り歩いていく。出てきたのは砂藤特製のお菓子であった。味の保証付きである。
そして配り終わったかぼちゃお化けを音楽が終わると同時に花火に変えた。
エリちゃんが笑っていた、耳郎も思わずアドリブしてしまうくらい盛り上がった。A組のAバンドは間違いなく大成功だった。
「焦凍、緑谷たちと回らなくてよかったんですの?」
「? 俺は傀薇と回りたい」
「……わたくしもですわ」
あまりにもなんでもないことのように言い切るものだから傀薇は照れてしまった。文化祭とだけあって人が多いそれに轟はそうだと思い出したように手を繋いできた。
「はぐれるといけねェ。繋いどけば安心だ」
「そうですわね、じゃあせっかくなんですもの。こうしましょう」
「お?」
「……恋人繋ぎ、ってやつですわ」
普通に繋がれた手を繋ぎなおす。せっかくの文化祭なのだ。恋人らしいことをしてもいいかもしれない。そうか、と柔らかく笑った轟と一緒に出店を回る。途中たこ焼き店で砂藤と障子が店番をし、行列の整理を青山が行っているのを発見した。せっかくだからと買ってみたが、砂藤らしいアイデアでタコのみならずチーズやプチケーキなどが焼かれていた。
「まぁ、さすが砂藤ですわね。焼き加減が絶妙ですわ」
「ああ……いろんなのが入っててなんかわくわくするな」
「ええ、これはなにかしら? ……! チーズですわね、青山が好んで食べているものですわ」
「そういやあいつも行列整理してたな」
そこで近くにいた大層仲のいいカップルがあーんなるものをしているのを轟は目撃してしまった。思わず手元のたこ焼き――ただし本当にたこかはわからない――と傀薇を見てしまうのだった。
「? どうしましたの? わたくしの顔になにかついていて?」
「いや……その、俺も……あれやってほしい」
「あれ……?」
傀薇も轟がちらっと視線をやった方を見て察した。こういう甘え方は初めてかもしれない。傀薇は少し迷って意を決してあーんを決行した。せっかくの文化祭なのだとことんお祭りを楽しんだって罰は当たらないだろう。
「! ん……あめぇ」
「甘いものが入ってらしたのね」
「……ああ」
入っていたものは特別甘いようなものではなかったが、なんだか無性に甘く感じた。
そうして他の出店を回っていたのだが、行く先々で二人は噂になっていた。如何せん目立つのだ。轟は体育祭二位の実力とNO.2ヒーローエンデヴァーを父にもつということと、その端麗な容姿から。傀薇も体育祭三位であったし、入試からの偉業もあり入試会場が一緒だったものはみな傀薇を知っている。花の顔 とプレゼント・マイクが称したように可憐な容姿をしていたし、インターンに伴い知名度が上がっていたのだ。
そんな二人が恋人繋ぎで仲睦まじく回っているのだから、この文化祭を機に二人の交際は他学年、他科にも広く知れ渡るのだった。
そんな変更もありつつ文化祭当日、緑谷が朝一にホームセンターでロープを買いに行ったまま戻ってこないという事態が発生。本当にギリギリで戻ってきた緑谷はなんだかかなり疲れた様子だった。
そうして開幕寸前、幕越しに「ヤオヨロズーー!」と「傀薇ちゃーーん」やら「手繰ーーーー!」、「太陽ーーー!」なんて声が聞こえる。太陽なんて傀薇を呼ぶのは塩崎くらいのはずだったが彼女の声ではない。なにやら彼女が太陽と呼んでいるのを聞いた面々が便乗しているらしかった。
「わー! 傀薇ちゃんすごい人気!」
「インターンが効いたな! あのネットニュースの!」
「え、ええ……光栄なことですわ……」
たくさんの人がネットニュースを見てくれたのだ。マジェスティックの君はもうヒーローだという言葉がよみがえる。もう傀薇は誰かにとってのヒーローなのだ。……まぁ今回に限りヒーローというよりアイドル的な扱いかもしれないが細かくは言うまい。そうしていざ、開演。
「はいちゅーもくですわ!」
ダンスパートを終えて傀薇が中央で手品を始める。大きなかぼちゃお化けをどこからともなく召喚し、中をマリオネットで釣り上げさかさまにして何も入っていないアピールをする。そうして二回ほどステッキでかぼちゃお化けを叩くと、中からかぼちゃのお菓子が溢れでてきた。
興奮した観客にそれを撒くように配り歩いていく。出てきたのは砂藤特製のお菓子であった。味の保証付きである。
そして配り終わったかぼちゃお化けを音楽が終わると同時に花火に変えた。
エリちゃんが笑っていた、耳郎も思わずアドリブしてしまうくらい盛り上がった。A組のAバンドは間違いなく大成功だった。
「焦凍、緑谷たちと回らなくてよかったんですの?」
「? 俺は傀薇と回りたい」
「……わたくしもですわ」
あまりにもなんでもないことのように言い切るものだから傀薇は照れてしまった。文化祭とだけあって人が多いそれに轟はそうだと思い出したように手を繋いできた。
「はぐれるといけねェ。繋いどけば安心だ」
「そうですわね、じゃあせっかくなんですもの。こうしましょう」
「お?」
「……恋人繋ぎ、ってやつですわ」
普通に繋がれた手を繋ぎなおす。せっかくの文化祭なのだ。恋人らしいことをしてもいいかもしれない。そうか、と柔らかく笑った轟と一緒に出店を回る。途中たこ焼き店で砂藤と障子が店番をし、行列の整理を青山が行っているのを発見した。せっかくだからと買ってみたが、砂藤らしいアイデアでタコのみならずチーズやプチケーキなどが焼かれていた。
「まぁ、さすが砂藤ですわね。焼き加減が絶妙ですわ」
「ああ……いろんなのが入っててなんかわくわくするな」
「ええ、これはなにかしら? ……! チーズですわね、青山が好んで食べているものですわ」
「そういやあいつも行列整理してたな」
そこで近くにいた大層仲のいいカップルがあーんなるものをしているのを轟は目撃してしまった。思わず手元のたこ焼き――ただし本当にたこかはわからない――と傀薇を見てしまうのだった。
「? どうしましたの? わたくしの顔になにかついていて?」
「いや……その、俺も……あれやってほしい」
「あれ……?」
傀薇も轟がちらっと視線をやった方を見て察した。こういう甘え方は初めてかもしれない。傀薇は少し迷って意を決してあーんを決行した。せっかくの文化祭なのだとことんお祭りを楽しんだって罰は当たらないだろう。
「! ん……あめぇ」
「甘いものが入ってらしたのね」
「……ああ」
入っていたものは特別甘いようなものではなかったが、なんだか無性に甘く感じた。
そうして他の出店を回っていたのだが、行く先々で二人は噂になっていた。如何せん目立つのだ。轟は体育祭二位の実力とNO.2ヒーローエンデヴァーを父にもつということと、その端麗な容姿から。傀薇も体育祭三位であったし、入試からの偉業もあり入試会場が一緒だったものはみな傀薇を知っている。花の
そんな二人が恋人繋ぎで仲睦まじく回っているのだから、この文化祭を機に二人の交際は他学年、他科にも広く知れ渡るのだった。
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