ワイルド・ワイルド・プッシ―キャッツの面々が復帰のあいさつに雄英を訪れた。ラグドールの個性は以前戻っていないそうだが、これからは事務仕事で他のメンバーを支えていくらしい。
「今度発表されるんだけどヒーロービルボードチャートJP下半期。私たち411位だったんだ」
「前回は32位でした」
「なるほど急落したからか!! ファイトっす!!」
「違うにゃん。全く活動してなかったにも拘わらず 3桁ってどゆ事ってこと!!」
「支持率の項目が我々突出していた」
「待ってくれてる人がいる」
「立ち止まってなんかいられにゃい!!」
「そういう事かよ漢だワイルド・ワイルド・プッシ―キャッツ!!」
「ええ……素晴らしいですわ……!!」
待ってくれる人たちのために応えようと再び歩みだしたワイルド・ワイルド・プッシ―キャッツに思わず涙ぐむ切島と傀薇。傀薇の様子に気付いた轟がよしよしと頭を撫でていた。優しいのだ。
そうしてNO.1ヒーローであったオールマイト不在のヒーロービルボードチャートの発表が迫っていたのだった。
「やっぱりNO.1はエンデヴァーでしたわね」
「……ああ」
「見ていてくれですって。ちゃんと見ていませんとね」
「……ああ」
傀薇の部屋のベッドで傀薇に膝枕をしてもらいながら轟はどこかぼんやりしていた。傀薇は轟の変化に少しずつ気づいていた。エンデヴァーが少しずつ変わっているように、轟もエンデヴァーに対して少しずつ変わっているのだ。それはきっと許す準備をしているのだろうと傀薇は考えている。前ほどエンデヴァーを憎まなくなった。その変化を傀薇は誰よりも近くで見ていた。
「焦凍は優しいですわね」
「? 俺が?」
「ええ、とっても。優しくていい子の焦凍にはご褒美をあげなくてはいけませんわね」
「ご褒美……なんかくれんのか」
「ふふ、この手繰傀薇がなんでもいうことを聞いてさしあげましてよ。どんとこいですわ!」
胸をえっへんと張る傀薇を見上げて、轟は上体を起こすとぎゅうっと傀薇を抱きしめてきた。それに頭を撫でていると、ごろんと後ろに押し倒された。
「? 焦凍」
「なんでもって言われたら……俺も調子乗っちまう」
「え……? あ、焦凍」
すっ、と轟の手が確かな意志をもって胸に触れた。今までの甘えてくるのとはちょっと違うそれに傀薇も顔を真っ赤にした。それに轟はふっと笑うと冗談だと言わんばかりに手を引っ込め、今度こそ首筋に擦り寄るように抱き着いてきた。
「俺も男だ。これに懲りたらあんま迂闊なこと言うなよ」
「え、あ……胆に命じますわ……」
「肝な」
「そうともいいますわ……」
恥ずかしいったらなかった。可愛い可愛いと思っていただけに、轟の男性的な部分が色濃く垣間見えて傀薇はドキドキと落ち着かないまま夜を過ごしたのだった。でも嫌ではなかったと少しだけそう思いながら。
「焦凍……!」
テレビで九州に現れた脳無と戦闘しているエンデヴァーとホークスの姿が中継されていた。脳無はそれまでのものより強化されており、エンデヴァーたちは苦戦し、まさに今エンデヴァーのお腹と左目辺りを脳無が貫いたところだった。そのとき轟が降りてきて、テレビを見た。
傀薇が轟の腕を掴んで訴える「まだエンデヴァーは戦ってますわ」と。見なければ、NO.1ヒーローエンデヴァーが見ていてくれといったのだから。見なければ。
九州がパニックになっている。レポーターが平和の象徴の不在の現実を訴えていた。不安を煽るそれに轟は思わず口を開く――
「ふざけんな……」
『てきとうな事言うなや!! どこ見て喋りよっとやテレビ! あれ見ろやまだ炎が上がっとるやろうが見えとるやろが!! エンデヴァー生きて戦っとるやろうが!! おらん象徴 の尾っぽ引いて勝手に絶望すんなや! 今俺らの為に体張っとる男は誰や!! 見ろや!!』
テレビの向こうで全部言ってくれた男の子がいた。
エンデヴァーはその呼び声に応えるかのように再び肉迫する。ホークスの剛翼のサポートを受けながらボロボロの身体で脳無と対峙していた。
「――――親父……っ見てるぞ!!!」
みんながエンデヴァーを見ていた。それに応えるようにエンデヴァーは脳無を抱えて上昇する。人も建物も気にする必要のない上へ、そうしてついにエンデヴァーは改人脳無を打ち破った。
『立ってます!! エンデヴァーーーー!!! スタンディング!! 勝利の!! いえ!!始まりの スタンディングですっ!!!』
ほっと息をついてしゃがみこんだ轟の身体を傀薇は支えた。
けれど間もなく敵連合の荼毘が現れた。満身創痍であるエンデヴァーとホークスの前に現れ、炎を展開する。けれどその時NO.5ヒーローのミルコが助太刀に入った。ミルコの姿を視認した荼毘は口から何かを吐き出し姿を消した。
その日は一緒に寝るつもりだったが、珍しく轟の方の部屋で寝ることになった。大きすぎる傀薇のベッドで寝る方が寝やすかった上に女子寮の方で誰かとすれ違ってもあまり騒がれないからだ。芦戸や葉隠などの賑やかし組も「今日も仲良しだね〜!」みたいな感じでさらっとすむのもあった。
あえて狭い布団の中で一緒にくっついて寝たい気分だったんだろう。傀薇はなんとなく察して了承した。
その日は轟の寝相の悪さにも磨きがかかり、いつにも増して強い力で抱きしめられていた。まさかの背中に手形がついており、入浴の際に周りにぎょっとされて初めて存在をしることになるが、怒る気にはなれなかった。轟なりにエンデヴァーを心配していたのがわかっていたからだ。
轟はその後外出届を出し相澤と共に実家に帰った。傀薇にも一緒に来てほしそうなそぶりを見せたが、ここは家族水入らずで過ごすべきだと背中を押した。エンデヴァーを労ってほしかったのだ。轟は名残惜しそうに最後に傀薇を抱きしめて相澤と共に寮を後にした。ひそかに相澤がどんな感じかと思えば意外と手繰がしっかりしているんだなと思っていたのは秘密である。
「今度発表されるんだけどヒーロービルボードチャートJP下半期。私たち411位だったんだ」
「前回は32位でした」
「なるほど急落したからか!! ファイトっす!!」
「違うにゃん。全く活動してなかったにも
「支持率の項目が我々突出していた」
「待ってくれてる人がいる」
「立ち止まってなんかいられにゃい!!」
「そういう事かよ漢だワイルド・ワイルド・プッシ―キャッツ!!」
「ええ……素晴らしいですわ……!!」
待ってくれる人たちのために応えようと再び歩みだしたワイルド・ワイルド・プッシ―キャッツに思わず涙ぐむ切島と傀薇。傀薇の様子に気付いた轟がよしよしと頭を撫でていた。優しいのだ。
そうしてNO.1ヒーローであったオールマイト不在のヒーロービルボードチャートの発表が迫っていたのだった。
「やっぱりNO.1はエンデヴァーでしたわね」
「……ああ」
「見ていてくれですって。ちゃんと見ていませんとね」
「……ああ」
傀薇の部屋のベッドで傀薇に膝枕をしてもらいながら轟はどこかぼんやりしていた。傀薇は轟の変化に少しずつ気づいていた。エンデヴァーが少しずつ変わっているように、轟もエンデヴァーに対して少しずつ変わっているのだ。それはきっと許す準備をしているのだろうと傀薇は考えている。前ほどエンデヴァーを憎まなくなった。その変化を傀薇は誰よりも近くで見ていた。
「焦凍は優しいですわね」
「? 俺が?」
「ええ、とっても。優しくていい子の焦凍にはご褒美をあげなくてはいけませんわね」
「ご褒美……なんかくれんのか」
「ふふ、この手繰傀薇がなんでもいうことを聞いてさしあげましてよ。どんとこいですわ!」
胸をえっへんと張る傀薇を見上げて、轟は上体を起こすとぎゅうっと傀薇を抱きしめてきた。それに頭を撫でていると、ごろんと後ろに押し倒された。
「? 焦凍」
「なんでもって言われたら……俺も調子乗っちまう」
「え……? あ、焦凍」
すっ、と轟の手が確かな意志をもって胸に触れた。今までの甘えてくるのとはちょっと違うそれに傀薇も顔を真っ赤にした。それに轟はふっと笑うと冗談だと言わんばかりに手を引っ込め、今度こそ首筋に擦り寄るように抱き着いてきた。
「俺も男だ。これに懲りたらあんま迂闊なこと言うなよ」
「え、あ……胆に命じますわ……」
「肝な」
「そうともいいますわ……」
恥ずかしいったらなかった。可愛い可愛いと思っていただけに、轟の男性的な部分が色濃く垣間見えて傀薇はドキドキと落ち着かないまま夜を過ごしたのだった。でも嫌ではなかったと少しだけそう思いながら。
「焦凍……!」
テレビで九州に現れた脳無と戦闘しているエンデヴァーとホークスの姿が中継されていた。脳無はそれまでのものより強化されており、エンデヴァーたちは苦戦し、まさに今エンデヴァーのお腹と左目辺りを脳無が貫いたところだった。そのとき轟が降りてきて、テレビを見た。
傀薇が轟の腕を掴んで訴える「まだエンデヴァーは戦ってますわ」と。見なければ、NO.1ヒーローエンデヴァーが見ていてくれといったのだから。見なければ。
九州がパニックになっている。レポーターが平和の象徴の不在の現実を訴えていた。不安を煽るそれに轟は思わず口を開く――
「ふざけんな……」
『てきとうな事言うなや!! どこ見て喋りよっとやテレビ! あれ見ろやまだ炎が上がっとるやろうが見えとるやろが!! エンデヴァー生きて戦っとるやろうが!! おらん
テレビの向こうで全部言ってくれた男の子がいた。
エンデヴァーはその呼び声に応えるかのように再び肉迫する。ホークスの剛翼のサポートを受けながらボロボロの身体で脳無と対峙していた。
「――――親父……っ見てるぞ!!!」
みんながエンデヴァーを見ていた。それに応えるようにエンデヴァーは脳無を抱えて上昇する。人も建物も気にする必要のない上へ、そうしてついにエンデヴァーは改人脳無を打ち破った。
『立ってます!! エンデヴァーーーー!!! スタンディング!! 勝利の!! いえ!!
ほっと息をついてしゃがみこんだ轟の身体を傀薇は支えた。
けれど間もなく敵連合の荼毘が現れた。満身創痍であるエンデヴァーとホークスの前に現れ、炎を展開する。けれどその時NO.5ヒーローのミルコが助太刀に入った。ミルコの姿を視認した荼毘は口から何かを吐き出し姿を消した。
その日は一緒に寝るつもりだったが、珍しく轟の方の部屋で寝ることになった。大きすぎる傀薇のベッドで寝る方が寝やすかった上に女子寮の方で誰かとすれ違ってもあまり騒がれないからだ。芦戸や葉隠などの賑やかし組も「今日も仲良しだね〜!」みたいな感じでさらっとすむのもあった。
あえて狭い布団の中で一緒にくっついて寝たい気分だったんだろう。傀薇はなんとなく察して了承した。
その日は轟の寝相の悪さにも磨きがかかり、いつにも増して強い力で抱きしめられていた。まさかの背中に手形がついており、入浴の際に周りにぎょっとされて初めて存在をしることになるが、怒る気にはなれなかった。轟なりにエンデヴァーを心配していたのがわかっていたからだ。
轟はその後外出届を出し相澤と共に実家に帰った。傀薇にも一緒に来てほしそうなそぶりを見せたが、ここは家族水入らずで過ごすべきだと背中を押した。エンデヴァーを労ってほしかったのだ。轟は名残惜しそうに最後に傀薇を抱きしめて相澤と共に寮を後にした。ひそかに相澤がどんな感じかと思えば意外と手繰がしっかりしているんだなと思っていたのは秘密である。
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