爆豪と轟の仮免補講も最終日を迎え、今日の試験で合格すれば晴れてA組全員仮免取得となる。
傀薇たちは二人が合格してくると信じ、パーティーの用意を進めていた。
「砂藤、わたくしそばを打ちたいですわ。ご教授くださる?」
「そばぁ!? 手打ちは俺もしたことねぇぞ……いやでもとりあえずやってみるか? 轟そば好きだもんな」
「ええ、帰ってきてそばがあればきっと喜びますわ」
「おう! いっちょやるか!!」
材料は傀薇が予め備えており、それを使うことにする。砂藤と傀薇は動画を念入りに予習し、ついでにランチラッシュのところへコツを聞きに行ったりと忙しくしながらそばに挑んだ。
「よし、いいぞ手繰……! 水回しできてる……! その調子だ!」
「ええ……! なんだか確かな手ごたえを感じますわ! ちゃんと動画と一緒ですわね!」
「ああ、でも油断すんなよ。手打ちそばなんて途中で何が起こってもおかしくねぇぞ……よし、そば玉できたな。次は菊練りだ」
「つやつやにしてみせますわ……!」
意外と順調に進んでいた。だが続く生地を長方形に伸ばすところで躓いた。
傀薇の力が強かったようでなかなか均一に伸びなかったのだ。見兼ねた砂藤が代わってくれ、見事な長方形を作ってくれた。最後に生地を切り麺を作ることになったのだが――。
「手繰! 幅に気をつけろ! 麵だ、そばの麺を常に頭に思い描くんだ。お前は今そばの麵を作っていることを忘れるな……!!」
「ええ! わたくし麺を生み出してますわ……!!」
ものすごく熱い空間だった。油断すると麺幅にばらつきが出てしまうのだ。常に心に原点をならぬ常に頭に麵幅をである。砂藤と傀薇が滅茶苦茶真剣に取り組んだおかげでそば打ちは成功に終わったのだった。
「やりましたわ砂藤……! わたくし一人では到底成し遂げられませんでしたわ! ありがとう、心から感謝を!!」
「よせやい。お前の本気は伝わった! これからもいいそば打ちをしていこうぜ……!」
「ええ、もちろんですわ……!!」
ここに熱い友情が生まれた。そば打ちの奥深さに魅せられた者たちだった。その達成感といったら癖になってしまったのだ。
その勢いのまま傀薇は砂藤のケーキや、爆豪が喜ぶであろう辛いものの手伝いも行った。料理スキルがあがったのだ。包丁の使い方すらまともに知らなかった合宿の頃を思うと目覚ましい成長に砂藤は少し涙が出た。経験って大事ってやつである。
その後二人が帰ってきたのは予定より少し遅い時間だった。それもそのはず、帰宅途中で敵の窃盗現場に遭遇したらしく、無事仮免を取得した二人で制圧にあたったらしい。なんと仮免取得後わずか30分後の出来事であった。
このことは大きく取り上げられ、後日インタビューが来るらしかった。
「今日はそばですのよ。砂藤が手伝ってくれてそばを打ってみましたの!」
「! 傀薇が打ったのか?」
「ええ! ランチラッシュにもご教授いただきましたのよ。きっとおいしいと思いますわ」
そうして冷たいそばを食べた轟はものすごく幸せそうな顔をしていた。
近くにいた砂藤と顔を見合わせ、大成功を実感し思わずハイタッチをした。
「うめぇな。傀薇が俺のために打ってくれたって思うと余計美味い。俺は幸せ者だな」
「お、大げさですわ……! これからいつだって作ってさしあげましてよ」
そのために少しずつ勉強していたのだから。傀薇は想像以上に轟が喜んでくれたのもあり、今度実家に帰る機会があればそば職人を呼んで修行をしようと決心する。
これからどれだけでも幸せにしてあげたい。素直で可愛い恋人のために傀薇は気合十分であった。
そして爆豪と轟の活躍に対し、インタビューが訪れること三件目、その三件目も爆豪は丸々カットされていた。言葉遣いが壊滅的に悪かったのだ。轟のコメントのみが採用され、映像も爆豪は見切れていたのだった。
けれど轟も素直なあまり余計なことを話してしまい、カットされた部分もある。それが――。
「なにわざわざ嫉妬してましたっていらんこと暴露しとンだお前は!」
「? 実際そうだろ。俺は前まで傀薇と仲いい爆豪に嫉妬してた。なんも嘘言ってねぇ」
「あ゛!? 別に仲良くなんざねェよ! 勝手に当て馬にしてんじゃねェぞクソが!!!」
傀薇も思わず頭を抱えた。なんと轟、爆豪と普段から仲がいいのかという問いに仲がいいと答えたはいいが、爆豪に反論され仮免でずっと一緒だったから仲はいい、でも前までは恋人のことで嫉妬していたと答えてしまったのだ。
轟の容姿端麗さが話題となっている今、恋人の存在を匂わせるのは余計だったうえに危うく三角関係的展開にされ爆豪は大迷惑だったのだ。
「いや仲はいいだろ……じゃなきゃ嫉妬してねぇ。でも今は嫉妬してないぞ。傀薇はかっこいいより可愛いが好きなんだ。爆豪は可愛いって感じじゃねぇし、補講で仲良くなったからもう嫉妬しねぇ」
「脳筋女の好みなんざしるか!! ってか時間と交流は比例しねぇっていってんだろォ……!」
幸いこのやりとりは丸々カットされたためなんとかなったが、轟に対していっていい事といわない方がいい事をもう少し教えておかないといけないかもしれないと傀薇は思いなおす。けれどインタビューで聞かれない限り恋人の存在は伏せた方がいいという傀薇の主張を轟は理解できず、最終「なんで俺の好きな人を隠さないといけねぇんだ。こんなに傀薇が好きなのに」と押し切られてしまった。まったく素直で真っ直ぐである。傀薇はこの瞬間全世界の轟ファンに恨まれる覚悟を決めたという。しかし轟は更に「俺はお前に俺の存在を隠されるのも嫌だ」と追撃してきたため、もうふらふらになりながら「恋人の有無を尋ねられましたらちゃんとお答えしますわ……」と返した。まぁ雄英では周知の事実のため今更でもある。
そうしてメディア露出が増えてきた1年のためにMt.レディが特別講師として雄英に来てくれた。メディア演習である。Mt.レディが次々に質問していく。轟が相変わらずの天然ぶりを発揮し、「あなたの微笑みなんて見たら女性はイチコロよ♡」という言葉に「俺が笑うと死ぬ……!?」と大変ショックを受けた顔をして「傀薇、大丈夫かなんともないか死なないでくれ……」と言い出した。当然平気である。この狼狽っぷりにMt.レディが傀薇たちの関係を察し、あの娘 やるわね……! と感心した様子を見せていた。
「わたくしは奇術ヒーローマリオネット! 様々な奇術で敵 を翻弄しますわ! もちろん市民のみなさんの笑顔もこのマリオネットにお任せでしてよ!」
「ファー! イイ!! マジックで演出もばっちり!! あなたすごい舞台映えするわね! 華があっていいわ!」
「強烈至極ですわ!」
「あ……頭は意外と弱い感じね。でも抜けてる感じが男性人気でるわよ」
男性人気という言葉にまたも少しシュンと拗ねた轟を見て、Mt.レディがこっそりアドバイスする「恋人くん嫉妬深いようだからくれぐれも男性ファンへの扱いは慎重にね……」「胆に命じますわ……」「肝ね、肝」いい先輩であった。
傀薇たちは二人が合格してくると信じ、パーティーの用意を進めていた。
「砂藤、わたくしそばを打ちたいですわ。ご教授くださる?」
「そばぁ!? 手打ちは俺もしたことねぇぞ……いやでもとりあえずやってみるか? 轟そば好きだもんな」
「ええ、帰ってきてそばがあればきっと喜びますわ」
「おう! いっちょやるか!!」
材料は傀薇が予め備えており、それを使うことにする。砂藤と傀薇は動画を念入りに予習し、ついでにランチラッシュのところへコツを聞きに行ったりと忙しくしながらそばに挑んだ。
「よし、いいぞ手繰……! 水回しできてる……! その調子だ!」
「ええ……! なんだか確かな手ごたえを感じますわ! ちゃんと動画と一緒ですわね!」
「ああ、でも油断すんなよ。手打ちそばなんて途中で何が起こってもおかしくねぇぞ……よし、そば玉できたな。次は菊練りだ」
「つやつやにしてみせますわ……!」
意外と順調に進んでいた。だが続く生地を長方形に伸ばすところで躓いた。
傀薇の力が強かったようでなかなか均一に伸びなかったのだ。見兼ねた砂藤が代わってくれ、見事な長方形を作ってくれた。最後に生地を切り麺を作ることになったのだが――。
「手繰! 幅に気をつけろ! 麵だ、そばの麺を常に頭に思い描くんだ。お前は今そばの麵を作っていることを忘れるな……!!」
「ええ! わたくし麺を生み出してますわ……!!」
ものすごく熱い空間だった。油断すると麺幅にばらつきが出てしまうのだ。常に心に原点をならぬ常に頭に麵幅をである。砂藤と傀薇が滅茶苦茶真剣に取り組んだおかげでそば打ちは成功に終わったのだった。
「やりましたわ砂藤……! わたくし一人では到底成し遂げられませんでしたわ! ありがとう、心から感謝を!!」
「よせやい。お前の本気は伝わった! これからもいいそば打ちをしていこうぜ……!」
「ええ、もちろんですわ……!!」
ここに熱い友情が生まれた。そば打ちの奥深さに魅せられた者たちだった。その達成感といったら癖になってしまったのだ。
その勢いのまま傀薇は砂藤のケーキや、爆豪が喜ぶであろう辛いものの手伝いも行った。料理スキルがあがったのだ。包丁の使い方すらまともに知らなかった合宿の頃を思うと目覚ましい成長に砂藤は少し涙が出た。経験って大事ってやつである。
その後二人が帰ってきたのは予定より少し遅い時間だった。それもそのはず、帰宅途中で敵の窃盗現場に遭遇したらしく、無事仮免を取得した二人で制圧にあたったらしい。なんと仮免取得後わずか30分後の出来事であった。
このことは大きく取り上げられ、後日インタビューが来るらしかった。
「今日はそばですのよ。砂藤が手伝ってくれてそばを打ってみましたの!」
「! 傀薇が打ったのか?」
「ええ! ランチラッシュにもご教授いただきましたのよ。きっとおいしいと思いますわ」
そうして冷たいそばを食べた轟はものすごく幸せそうな顔をしていた。
近くにいた砂藤と顔を見合わせ、大成功を実感し思わずハイタッチをした。
「うめぇな。傀薇が俺のために打ってくれたって思うと余計美味い。俺は幸せ者だな」
「お、大げさですわ……! これからいつだって作ってさしあげましてよ」
そのために少しずつ勉強していたのだから。傀薇は想像以上に轟が喜んでくれたのもあり、今度実家に帰る機会があればそば職人を呼んで修行をしようと決心する。
これからどれだけでも幸せにしてあげたい。素直で可愛い恋人のために傀薇は気合十分であった。
そして爆豪と轟の活躍に対し、インタビューが訪れること三件目、その三件目も爆豪は丸々カットされていた。言葉遣いが壊滅的に悪かったのだ。轟のコメントのみが採用され、映像も爆豪は見切れていたのだった。
けれど轟も素直なあまり余計なことを話してしまい、カットされた部分もある。それが――。
「なにわざわざ嫉妬してましたっていらんこと暴露しとンだお前は!」
「? 実際そうだろ。俺は前まで傀薇と仲いい爆豪に嫉妬してた。なんも嘘言ってねぇ」
「あ゛!? 別に仲良くなんざねェよ! 勝手に当て馬にしてんじゃねェぞクソが!!!」
傀薇も思わず頭を抱えた。なんと轟、爆豪と普段から仲がいいのかという問いに仲がいいと答えたはいいが、爆豪に反論され仮免でずっと一緒だったから仲はいい、でも前までは恋人のことで嫉妬していたと答えてしまったのだ。
轟の容姿端麗さが話題となっている今、恋人の存在を匂わせるのは余計だったうえに危うく三角関係的展開にされ爆豪は大迷惑だったのだ。
「いや仲はいいだろ……じゃなきゃ嫉妬してねぇ。でも今は嫉妬してないぞ。傀薇はかっこいいより可愛いが好きなんだ。爆豪は可愛いって感じじゃねぇし、補講で仲良くなったからもう嫉妬しねぇ」
「脳筋女の好みなんざしるか!! ってか時間と交流は比例しねぇっていってんだろォ……!」
幸いこのやりとりは丸々カットされたためなんとかなったが、轟に対していっていい事といわない方がいい事をもう少し教えておかないといけないかもしれないと傀薇は思いなおす。けれどインタビューで聞かれない限り恋人の存在は伏せた方がいいという傀薇の主張を轟は理解できず、最終「なんで俺の好きな人を隠さないといけねぇんだ。こんなに傀薇が好きなのに」と押し切られてしまった。まったく素直で真っ直ぐである。傀薇はこの瞬間全世界の轟ファンに恨まれる覚悟を決めたという。しかし轟は更に「俺はお前に俺の存在を隠されるのも嫌だ」と追撃してきたため、もうふらふらになりながら「恋人の有無を尋ねられましたらちゃんとお答えしますわ……」と返した。まぁ雄英では周知の事実のため今更でもある。
そうしてメディア露出が増えてきた1年のためにMt.レディが特別講師として雄英に来てくれた。メディア演習である。Mt.レディが次々に質問していく。轟が相変わらずの天然ぶりを発揮し、「あなたの微笑みなんて見たら女性はイチコロよ♡」という言葉に「俺が笑うと死ぬ……!?」と大変ショックを受けた顔をして「傀薇、大丈夫かなんともないか死なないでくれ……」と言い出した。当然平気である。この狼狽っぷりにMt.レディが傀薇たちの関係を察し、あの
「わたくしは奇術ヒーローマリオネット! 様々な奇術で
「ファー! イイ!! マジックで演出もばっちり!! あなたすごい舞台映えするわね! 華があっていいわ!」
「強烈至極ですわ!」
「あ……頭は意外と弱い感じね。でも抜けてる感じが男性人気でるわよ」
男性人気という言葉にまたも少しシュンと拗ねた轟を見て、Mt.レディがこっそりアドバイスする「恋人くん嫉妬深いようだからくれぐれも男性ファンへの扱いは慎重にね……」「胆に命じますわ……」「肝ね、肝」いい先輩であった。
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