その日は朝からパーティーの準備で慌ただしかった。聖夜、クリスマスである。
ご馳走を作り、プレゼントを各自用意し、サンタ服に着替えそれはもう盛り上がっていた。途中からエリちゃんも来ることになっており、傀薇は余興とは別にエリちゃんにちょっとしたマジックを準備しようと砂藤と、エリちゃんの好物リンゴを使ったりんご飴といえば緑谷と、二人の手を借りて凝ったお菓子を準備していたのだった。
「遅くなった……もう始まってるか?」
「とりっくぉあとりとー……?」
「違う混ざった」
「サンタのエリちゃん!」
エリちゃんが来たことで傀薇もさっそくおもてなしをしようと駆け寄る。まだ節分とイースターも混ざっている様子にくすりと笑って、「エリちゃん、このリンゴを更に美味しくしてみせますわ。よくご覧になって」と傀薇はリンゴを見せ、それをこんがり焼いた焼きリンゴとりんご飴に変えた。「わぁああ!」と笑ったエリちゃんに「りんご飴はデクが、焼きリンゴは砂藤からですわ」と教えてあげる。大好きな緑谷からだとわかったエリちゃんが更に笑ったのだった。
「傀薇はインターンやっぱマジェスティックのところか?」
「ええもちろん。わたくしのマスターですもの」
先ほどまでインターンのことで盛り上がっていたからか、轟も傀薇にたずねてきた。轟はどこかぼんやりした様子であったが、エンデヴァーのところに行くと決めたようだった。今回はついてきてほしいというより、確認だった。やっぱりマジェスティックのところに行くんだなという確認作業。インターン……それもエンデヴァーのところに自分から行くというのに少し現実味がないのかもしれない。
「よーし! 待ちに待ったプレゼント交換だ! みんな紐を持てー!」
腹も膨れ、耳郎の歌や傀薇の奇術で騒いだ面々は締めとばかりにプレゼント交換に興じた。傀薇はオルゴール付きのスノードームを贈り物に選んだ。そうして公平に紐で引き当てたプレゼントは轟のものであろう、そばセットであった。轟も偶然傀薇のスノードームを引き当てたようで「可愛いな。大切にする」と微笑んでいた。
「ふふ、わたくし焦凍には別に用意してましたのに。こっちでもあたるとは思いませんでしたわ……」
「俺もだ。クリスマスって恋人のイベントでもあるんだろ」
「あら、焦凍ご存じでしたのね。こういうことは疎いと思ってましたわ」
「お母さんが教えてくれたんだ。お前のこと手紙に書いたらこういうことは大事にするようにって」
「素敵なお母様ですわね。あとでまた交換しましょう。いくつあってもいいものですもの」
「そうだな」
そうして夜も更け、後片付けをしていた時のこと。轟が緑谷と爆豪をエンデヴァーのインターンに誘っているのを傀薇は聞いていた。轟にとってもエンデヴァーと二人っきりよりそっちの方がいいかもしれない。緑谷たちもエンデヴァーのインターンに行くことにしたようだった。
「では改めまして、焦凍メリークリスマス」
「ああ、メリークリスマス」
後片付けも終わり解散した後傀薇の部屋にプレゼントをもって集まった。
お互いのために選んだプレゼントをドキドキしながら開ける。中から出てきたのは華やかなフラワーボックスだった。轟にしては華やかなチョイスに少し面食らう。
傀薇があげたのはシンプルなデザインのシルバーネックレスだった。恋人にアクセサリーを贈るのが定番だと兄たちの意見を参考にしたものである。すっきりとしたデザインなので轟にも似合っていた。
「……傀薇がこういうのくれると思わなかった。まだそういうのは早いって思われるかと思ってこっちにしたんだが……傀薇は俺がこういうの贈ってもつけてくれるか……?」
「え、ええ。恋人ですもの。焦凍意外と……えっと、こういう贈り物に詳しいんですわね……」
「全部お母さんの受け売りだ。何をあげたら傀薇が喜んでくれるかわかんなくて、お母さんに相談してたんだ。付き合ってまだ一年は経ってねェから花の方がいいだろうって……おまえ花みてぇだし。似合うなって思ったら自然とそれ選んでたんだ」
真剣な顔で母親に手紙で相談する轟が想像できてしまい、傀薇は少しおかしくなった。くすりと笑った傀薇に「どうしたんだ?」と不思議そうな顔をした轟が顔を覗き込んでくる。
自分たち二人とも家族に真剣に相談していたんだと思うとなんだか胸がいっぱいでおかしくなってしまったのだ。
可愛い、この人が愛しいと思えて傀薇が轟をぎゅっと抱きしめた。
「お。……傀薇? どうした?」
「ふふ、わたくしたち似た者同士だと思っただけですわ。同じことしてたんですもの」
「同じこと? 傀薇も傀薇のお母さんに相談してたのか?」
「わたくしの場合は兄ですわ。でもたくさん相談しましたのよ。焦凍に喜んでほしくて」
「なら俺もだ。俺も傀薇に喜んでほしかった。喜んでくれたか?」
「ええ、もちろん。素敵なプレゼントですわ……!」
プリザーブドフラワーだというそれは長くその美しさを保っていてくれる。「枯れるとなんか縁起悪いだろ。枯れねぇの探した」と真面目な顔で言う轟が可愛かった。
傀薇がプレゼントしたシルバーネックレスをさっそくつけてくれて、「もう外さねぇ」と言い出すから慌てた。本当に外さないつもりだったのだ。「来年は俺も傀薇にアクセサリー贈りたいな。俺のって感じがする」とか言い出すものだからいよいよ傀薇は撃沈してしまうのだった。
その晩はやけに轟の機嫌がよく、いつもは甘えてくるのが常だというのに傀薇を甘やかそうとしてきた。隙あらばキスをされ、柔く微笑んでくるそれに傀薇は心臓がどきどきしっぱなしであったという。
聖夜、恋人たちの長い夜はゆっくりと更けていった。
ご馳走を作り、プレゼントを各自用意し、サンタ服に着替えそれはもう盛り上がっていた。途中からエリちゃんも来ることになっており、傀薇は余興とは別にエリちゃんにちょっとしたマジックを準備しようと砂藤と、エリちゃんの好物リンゴを使ったりんご飴といえば緑谷と、二人の手を借りて凝ったお菓子を準備していたのだった。
「遅くなった……もう始まってるか?」
「とりっくぉあとりとー……?」
「違う混ざった」
「サンタのエリちゃん!」
エリちゃんが来たことで傀薇もさっそくおもてなしをしようと駆け寄る。まだ節分とイースターも混ざっている様子にくすりと笑って、「エリちゃん、このリンゴを更に美味しくしてみせますわ。よくご覧になって」と傀薇はリンゴを見せ、それをこんがり焼いた焼きリンゴとりんご飴に変えた。「わぁああ!」と笑ったエリちゃんに「りんご飴はデクが、焼きリンゴは砂藤からですわ」と教えてあげる。大好きな緑谷からだとわかったエリちゃんが更に笑ったのだった。
「傀薇はインターンやっぱマジェスティックのところか?」
「ええもちろん。わたくしのマスターですもの」
先ほどまでインターンのことで盛り上がっていたからか、轟も傀薇にたずねてきた。轟はどこかぼんやりした様子であったが、エンデヴァーのところに行くと決めたようだった。今回はついてきてほしいというより、確認だった。やっぱりマジェスティックのところに行くんだなという確認作業。インターン……それもエンデヴァーのところに自分から行くというのに少し現実味がないのかもしれない。
「よーし! 待ちに待ったプレゼント交換だ! みんな紐を持てー!」
腹も膨れ、耳郎の歌や傀薇の奇術で騒いだ面々は締めとばかりにプレゼント交換に興じた。傀薇はオルゴール付きのスノードームを贈り物に選んだ。そうして公平に紐で引き当てたプレゼントは轟のものであろう、そばセットであった。轟も偶然傀薇のスノードームを引き当てたようで「可愛いな。大切にする」と微笑んでいた。
「ふふ、わたくし焦凍には別に用意してましたのに。こっちでもあたるとは思いませんでしたわ……」
「俺もだ。クリスマスって恋人のイベントでもあるんだろ」
「あら、焦凍ご存じでしたのね。こういうことは疎いと思ってましたわ」
「お母さんが教えてくれたんだ。お前のこと手紙に書いたらこういうことは大事にするようにって」
「素敵なお母様ですわね。あとでまた交換しましょう。いくつあってもいいものですもの」
「そうだな」
そうして夜も更け、後片付けをしていた時のこと。轟が緑谷と爆豪をエンデヴァーのインターンに誘っているのを傀薇は聞いていた。轟にとってもエンデヴァーと二人っきりよりそっちの方がいいかもしれない。緑谷たちもエンデヴァーのインターンに行くことにしたようだった。
「では改めまして、焦凍メリークリスマス」
「ああ、メリークリスマス」
後片付けも終わり解散した後傀薇の部屋にプレゼントをもって集まった。
お互いのために選んだプレゼントをドキドキしながら開ける。中から出てきたのは華やかなフラワーボックスだった。轟にしては華やかなチョイスに少し面食らう。
傀薇があげたのはシンプルなデザインのシルバーネックレスだった。恋人にアクセサリーを贈るのが定番だと兄たちの意見を参考にしたものである。すっきりとしたデザインなので轟にも似合っていた。
「……傀薇がこういうのくれると思わなかった。まだそういうのは早いって思われるかと思ってこっちにしたんだが……傀薇は俺がこういうの贈ってもつけてくれるか……?」
「え、ええ。恋人ですもの。焦凍意外と……えっと、こういう贈り物に詳しいんですわね……」
「全部お母さんの受け売りだ。何をあげたら傀薇が喜んでくれるかわかんなくて、お母さんに相談してたんだ。付き合ってまだ一年は経ってねェから花の方がいいだろうって……おまえ花みてぇだし。似合うなって思ったら自然とそれ選んでたんだ」
真剣な顔で母親に手紙で相談する轟が想像できてしまい、傀薇は少しおかしくなった。くすりと笑った傀薇に「どうしたんだ?」と不思議そうな顔をした轟が顔を覗き込んでくる。
自分たち二人とも家族に真剣に相談していたんだと思うとなんだか胸がいっぱいでおかしくなってしまったのだ。
可愛い、この人が愛しいと思えて傀薇が轟をぎゅっと抱きしめた。
「お。……傀薇? どうした?」
「ふふ、わたくしたち似た者同士だと思っただけですわ。同じことしてたんですもの」
「同じこと? 傀薇も傀薇のお母さんに相談してたのか?」
「わたくしの場合は兄ですわ。でもたくさん相談しましたのよ。焦凍に喜んでほしくて」
「なら俺もだ。俺も傀薇に喜んでほしかった。喜んでくれたか?」
「ええ、もちろん。素敵なプレゼントですわ……!」
プリザーブドフラワーだというそれは長くその美しさを保っていてくれる。「枯れるとなんか縁起悪いだろ。枯れねぇの探した」と真面目な顔で言う轟が可愛かった。
傀薇がプレゼントしたシルバーネックレスをさっそくつけてくれて、「もう外さねぇ」と言い出すから慌てた。本当に外さないつもりだったのだ。「来年は俺も傀薇にアクセサリー贈りたいな。俺のって感じがする」とか言い出すものだからいよいよ傀薇は撃沈してしまうのだった。
その晩はやけに轟の機嫌がよく、いつもは甘えてくるのが常だというのに傀薇を甘やかそうとしてきた。隙あらばキスをされ、柔く微笑んでくるそれに傀薇は心臓がどきどきしっぱなしであったという。
聖夜、恋人たちの長い夜はゆっくりと更けていった。
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