「わーたーしーがー!! 普通にドアから来た!!!」
オールマイトの登場に教室が湧く。憧れのNO.1ヒーローである。そのオールマイトが本当に雄英の教師をしているのだ。NO.1が教鞭を執る授業に興味津々だった。
そしてヒーロ基礎学第一回目は戦闘訓練だった。あらかじめ個性届と要望にそって誂えた自分だけの戦闘服 を受け取り、傀薇たちは更衣室へ向かった。
「わぁ〜! 傀薇ちゃんゴスロリだぁ!!」
「すごい似合ってんじゃん!」
「ええ、とてもお似合いですわ!」
葉隠をはじめとした声に傀薇がどんと胸を張って「それほどでもありますわ!」と返す。相変わらず謙遜しない女である。傀薇のコスチュームはザ・ゴスロリだった。フリルがふんだんにあしらわれ、パニエがたっぷりとしたゴスロリである。袖は短く、代わりに黒いレースの薄いロンググローブをつけている。淑女の嗜みである。
傀薇を見た峰田が「ロリ巨乳もいい!!」とサムズアップをした。傀薇は聞いていなかった。
「さぁ!! 始めようか有精卵共!! 戦闘訓練のお時間だ!!!」
そうしてオールマイトが進めた授業は屋内での対人戦闘訓練だった。なんともアメリカンな設定で、敵 役がアジトに核兵器を隠し、ヒーロー役はそれを処理するというもの。ヒーロー役は制限時間内に敵を捕まえるか、核兵器を回収する。敵役は制限時間まで核兵器を守り抜くかヒーローを捕まえなければならない。
そうしてチーム分けはくじで決めることになった。
記念すべき一回目の組はなんとも激しい……いろんな意味で激しい戦いだった。講評で八百万が全部てきぱきと指摘していくそして最後に「常に下学上達! 一意専心に励まねばトップヒーローになどなれませんので!」という八百万に傀薇が「百! かがくじょーたつってなんですの?」と聞く「基本的な段階から学んで最終的には学問の奥義に至ることですわ」「まぁ! そうでしたの、さすが百! 賢いですわ!」とにこにこした。そしていよいよ次のチーム、傀薇たちの出番だった。
「わたくしは手繰傀薇。よろしくお願いしますわ!」
「俺尾白、よろしく」
「わぁ〜! 傀薇ちゃんとだ! よろしくね〜!」
人数の都合で三人チームになったIチームだった。かわいいもの好きな葉隠が傀薇と同じチームになって喜ぶ。ゴスロリとキャラがとてもお気に召したらしい。
対戦チームはBチーム、推薦入学者の轟――前に八百万に教えてもらった――と腕がたくさんある男子だった。個性把握テストで握力がすごかった人だ。
人数のハンデがあるため、確保人数は二人でヒーローチームクリアとし、なお敵チームの一人は五分遅れての参加とのことだったが。
「必要ねぇ。そんなの 関係ねぇから」
轟のこの一言で五分遅れての参加が取り消された。思わず傀薇はむっとする。まるで自分たちなど相手にならないとでも言われているようで、傀薇はおこであった。今に見ていろ轟焦凍と言わんばかりに闘志に満ちていた。
「わたくしちょっと怒ってますの! あの轟とかいう半分凍ってる男に負けたくありませんわ!!」
「確かにちょっと舐められてたよな」
「よーし! 私ちょっと本気出すわ! 手袋とブーツも脱ぐわ!」
尾白が倫理的にそれはどうなんだろうと考えている間、傀薇は手筈通りに核を傍に移動させる。傀薇のマリオネットで核の移動をスムーズにするためだ。核を移動しまくるのはどうなのだという話だが、それが傀薇の緻密なコントロールによって問題ないと判断された。そしてついに始まる。
「!! 建物一つ凍らせられますの……!!」
初手から大規模氷結がきた。まさかの規模に傀薇が驚く。とっさの判断でマリオネットで核を浮かせる。けれど傀薇の身体は凍っていた。轟がやってくる。
「動いてもいいけど足の皮剝がれちゃ満足に戦えねえぞ」
余裕綽々の轟の様子に傀薇がギリィっと歯噛みする。だってこんなにも自分のことなど眼中にないときたら腹が立つものである。見下されている。お前など相手にもならないと言わんばかりのそれに、傀薇は火がついた。
傀薇は核が浮いているのを確認すると、床に糸を付着させ思いっ切り揺らした。振動は加減してある、尾白たちのいる下の階には影響がでない程度に轟と傀薇のフロアを揺らす。あまりの荒業に轟が氷を放って止めようとするがその氷に針を飛ばし逆に武器にして轟に迫った。
「おい無茶すんな! そんなことしたら身体中痛めるぞ!!」
「無茶上等でしてよ!! わたくしとっっっっても諦めが悪いんですの!!!」
傀薇はブーツを履いているため足の皮がはがれることはない、ただ氷漬けにされた身体が痛む。早々に針をだして粗方払ったがそれでも次から次へと氷結が襲ってくる。
「なんのおおおおお!! プルスウルトラですわああああ!!」
「……まじかっ!!」
轟が出した氷塊を一纏めにし、それらを武器に変えた傀薇に轟が冷や汗を垂らす。フロアの振動は続いている。こいつ核を浮かした上で俺の氷まで操りやがった。イライラする。こんなとこ で躓いてなんかいられねぇのに……!! そう思った瞬間、轟は最大出力の氷を傀薇にお見舞いしていた。
「っっっ!!! きゃああああああっ!!」
建物が倒壊する。投げ出された傀薇はそれでも崩れおちる傀薇たちがいたフロアに針を、糸を飛ばし建物を支えた。尾白たちが避難できていないのだ。氷で動けない。彼らを守るために傀薇は己の個性を行使した。
轟も氷で建物を補強し、投げ出された傀薇を救出せんと氷を今度は正しい形で行使した。
「っ!! おい!! 大丈夫か!!」
「なんのこれしき……! 朝飯前ですわ!!」
「……大丈夫ってことか。悪かった……ついかっとなって」
「……そんなの、わたくしも同じでしてよ……お互い様ですわ」
轟はよくわからないままにとりあえずそういうことだろうとして傀薇を無事救出し、倒壊の際に障子がこっそり核を回収したことでヒーローチームの勝利で終わった……が。
「傀薇さん……!! まったくもうあなたという方は本当に無茶ばかりを……!! 心配しましたわ!!」
「傀薇ちゃんごめんね……私たちなんもできなくてええ」
「手繰はよくやったよ……それに助けてもらちゃったし」
「……大したことはしてませんわ。わたくしこそ倒壊を招いたのはわたくしの責任……ごめんなさいですわ」
さすがに堪えた傀薇は珍しく、本当に珍しく沈んでいた。
轟に相手にされなかったことに腹を立て、チームを危険に晒してしまった。こんなのヒーロー失格ですわと悔しい気持ちでいっぱいだった。
授業後、着替え終わった傀薇は意を決して帰ろうとする轟を捕まえ高らかに告げた。
「轟焦凍!!!」
「……なんだ」
「わたくし手繰傀薇は!! これよりあなたの好敵手 になることをあなたに誓いますわ!!」
ウルトラポジティブお嬢様はもう前を向いていた。突然の告白になんだ、と驚く轟は「勝手にしろ。俺には関係ない」と去ってしまうが、それでも傀薇は満足だった。これは宣誓なのだ。自分に、轟に。今日の悔しさを無駄にしないために。轟にもう眼中にないなんて、格下だなんて思われないように。今度はちゃんとヒーローとして正しくあるために。プルスウルトラのための宣誓だった。
オールマイトの登場に教室が湧く。憧れのNO.1ヒーローである。そのオールマイトが本当に雄英の教師をしているのだ。NO.1が教鞭を執る授業に興味津々だった。
そしてヒーロ基礎学第一回目は戦闘訓練だった。あらかじめ個性届と要望にそって誂えた自分だけの
「わぁ〜! 傀薇ちゃんゴスロリだぁ!!」
「すごい似合ってんじゃん!」
「ええ、とてもお似合いですわ!」
葉隠をはじめとした声に傀薇がどんと胸を張って「それほどでもありますわ!」と返す。相変わらず謙遜しない女である。傀薇のコスチュームはザ・ゴスロリだった。フリルがふんだんにあしらわれ、パニエがたっぷりとしたゴスロリである。袖は短く、代わりに黒いレースの薄いロンググローブをつけている。淑女の嗜みである。
傀薇を見た峰田が「ロリ巨乳もいい!!」とサムズアップをした。傀薇は聞いていなかった。
「さぁ!! 始めようか有精卵共!! 戦闘訓練のお時間だ!!!」
そうしてオールマイトが進めた授業は屋内での対人戦闘訓練だった。なんともアメリカンな設定で、
そうしてチーム分けはくじで決めることになった。
記念すべき一回目の組はなんとも激しい……いろんな意味で激しい戦いだった。講評で八百万が全部てきぱきと指摘していくそして最後に「常に下学上達! 一意専心に励まねばトップヒーローになどなれませんので!」という八百万に傀薇が「百! かがくじょーたつってなんですの?」と聞く「基本的な段階から学んで最終的には学問の奥義に至ることですわ」「まぁ! そうでしたの、さすが百! 賢いですわ!」とにこにこした。そしていよいよ次のチーム、傀薇たちの出番だった。
「わたくしは手繰傀薇。よろしくお願いしますわ!」
「俺尾白、よろしく」
「わぁ〜! 傀薇ちゃんとだ! よろしくね〜!」
人数の都合で三人チームになったIチームだった。かわいいもの好きな葉隠が傀薇と同じチームになって喜ぶ。ゴスロリとキャラがとてもお気に召したらしい。
対戦チームはBチーム、推薦入学者の轟――前に八百万に教えてもらった――と腕がたくさんある男子だった。個性把握テストで握力がすごかった人だ。
人数のハンデがあるため、確保人数は二人でヒーローチームクリアとし、なお敵チームの一人は五分遅れての参加とのことだったが。
「必要ねぇ。
轟のこの一言で五分遅れての参加が取り消された。思わず傀薇はむっとする。まるで自分たちなど相手にならないとでも言われているようで、傀薇はおこであった。今に見ていろ轟焦凍と言わんばかりに闘志に満ちていた。
「わたくしちょっと怒ってますの! あの轟とかいう半分凍ってる男に負けたくありませんわ!!」
「確かにちょっと舐められてたよな」
「よーし! 私ちょっと本気出すわ! 手袋とブーツも脱ぐわ!」
尾白が倫理的にそれはどうなんだろうと考えている間、傀薇は手筈通りに核を傍に移動させる。傀薇のマリオネットで核の移動をスムーズにするためだ。核を移動しまくるのはどうなのだという話だが、それが傀薇の緻密なコントロールによって問題ないと判断された。そしてついに始まる。
「!! 建物一つ凍らせられますの……!!」
初手から大規模氷結がきた。まさかの規模に傀薇が驚く。とっさの判断でマリオネットで核を浮かせる。けれど傀薇の身体は凍っていた。轟がやってくる。
「動いてもいいけど足の皮剝がれちゃ満足に戦えねえぞ」
余裕綽々の轟の様子に傀薇がギリィっと歯噛みする。だってこんなにも自分のことなど眼中にないときたら腹が立つものである。見下されている。お前など相手にもならないと言わんばかりのそれに、傀薇は火がついた。
傀薇は核が浮いているのを確認すると、床に糸を付着させ思いっ切り揺らした。振動は加減してある、尾白たちのいる下の階には影響がでない程度に轟と傀薇のフロアを揺らす。あまりの荒業に轟が氷を放って止めようとするがその氷に針を飛ばし逆に武器にして轟に迫った。
「おい無茶すんな! そんなことしたら身体中痛めるぞ!!」
「無茶上等でしてよ!! わたくしとっっっっても諦めが悪いんですの!!!」
傀薇はブーツを履いているため足の皮がはがれることはない、ただ氷漬けにされた身体が痛む。早々に針をだして粗方払ったがそれでも次から次へと氷結が襲ってくる。
「なんのおおおおお!! プルスウルトラですわああああ!!」
「……まじかっ!!」
轟が出した氷塊を一纏めにし、それらを武器に変えた傀薇に轟が冷や汗を垂らす。フロアの振動は続いている。こいつ核を浮かした上で俺の氷まで操りやがった。イライラする。
「っっっ!!! きゃああああああっ!!」
建物が倒壊する。投げ出された傀薇はそれでも崩れおちる傀薇たちがいたフロアに針を、糸を飛ばし建物を支えた。尾白たちが避難できていないのだ。氷で動けない。彼らを守るために傀薇は己の個性を行使した。
轟も氷で建物を補強し、投げ出された傀薇を救出せんと氷を今度は正しい形で行使した。
「っ!! おい!! 大丈夫か!!」
「なんのこれしき……! 朝飯前ですわ!!」
「……大丈夫ってことか。悪かった……ついかっとなって」
「……そんなの、わたくしも同じでしてよ……お互い様ですわ」
轟はよくわからないままにとりあえずそういうことだろうとして傀薇を無事救出し、倒壊の際に障子がこっそり核を回収したことでヒーローチームの勝利で終わった……が。
「傀薇さん……!! まったくもうあなたという方は本当に無茶ばかりを……!! 心配しましたわ!!」
「傀薇ちゃんごめんね……私たちなんもできなくてええ」
「手繰はよくやったよ……それに助けてもらちゃったし」
「……大したことはしてませんわ。わたくしこそ倒壊を招いたのはわたくしの責任……ごめんなさいですわ」
さすがに堪えた傀薇は珍しく、本当に珍しく沈んでいた。
轟に相手にされなかったことに腹を立て、チームを危険に晒してしまった。こんなのヒーロー失格ですわと悔しい気持ちでいっぱいだった。
授業後、着替え終わった傀薇は意を決して帰ろうとする轟を捕まえ高らかに告げた。
「轟焦凍!!!」
「……なんだ」
「わたくし手繰傀薇は!! これよりあなたの
ウルトラポジティブお嬢様はもう前を向いていた。突然の告白になんだ、と驚く轟は「勝手にしろ。俺には関係ない」と去ってしまうが、それでも傀薇は満足だった。これは宣誓なのだ。自分に、轟に。今日の悔しさを無駄にしないために。轟にもう眼中にないなんて、格下だなんて思われないように。今度はちゃんとヒーローとして正しくあるために。プルスウルトラのための宣誓だった。
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