再開されたインターン、傀薇は当然マジェスティックの下を訪れていた。八百万も傀薇から詳細を聞きインターン先をマジェスティックに決めていた。それともう一人B組の取蔭もそうと決めており、なんと推薦入学者が二人もマジェスティックを選んだことに傀薇はなんだか誇らしい気持ちになった。わたくしのマスターはすごいでしょうといった感じである。
「マジェスティック、お久しぶりですわ! 今回もよろしくお願いしますわね!」
「うんうん。傀薇ちゃんに加えて可愛い女の子が二人も俺の下を訪れてくれたことを光栄に思うよ。俺は魔法ヒーローマジェスティック、よろしくね」
「八百万百、ヒーロー名クリエティと申します。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いしたします」
「はーい取蔭切奈です。ヒーロー名はリザーディ、よろしくお願いしまーす!」
マジェスティックはヒーロー名を知っていても可愛い女の子は下の名前で呼ぶのだ。最初はお堅いところのある八百万も抵抗感があったようだが傀薇はもちろん、取蔭がすぐに順応しているのにならって八百万も気にしなくなった。
実際マジェスティックの指導は確かで、予測と効率に於いて彼は目を見張るものがある。傀薇はより効率的に複数を使役し、予測させない動きで相手を翻弄するよう個性を伸ばし、八百万と取蔭は相手の行動や最悪の事態を予測し効率的に動くことを意識させられていた。
そうして新学期早々のインターン成果発表会でも上場の活躍を見せ、新技「仮面舞踏会 」は磨かれた奇術も相まってみんなの度肝を抜いたのだった。
「お鍋っていいですわね、まさに同じ釜の飯を食うってやつですわ……!」
「傀薇それはちょっと違う。けどみんなで食べるってのはいいよな」
「ええ……あら、焦凍……それ切れてませんわ」
「あ……繋がってるな」
「繋がってますわね」
轟が切っていたニラが切れていなかった。傀薇が仕方ないなと切り直していく。寮制になって自分のことは自分でするようになり、傀薇は目覚ましく成長していた。基本的に人当たりがよく親切であるので砂藤が料理好きというのもあって手伝う機会が多かったのが大きい。今や立派な戦力である。
「ニラ切ったやつ……聞かなくてもわかるわ。おまえらだろ」
「まぁ、よくわかりましたわね」
「なんでわかったんだ?」
「ばれっばれだわ……! 轟おまえ精々愛想尽かされンじゃねェぞ。姉ちゃんが泣く!」
「お、おう」
インターン中に地獄の轟家へ招待された爆豪だったが冬美の作った四川麻婆がうまかったらしく好感度がわずかに上がっていた。一見綺麗に切れているが切れ目が中途半端に入っているのを見る当たりお察しであった。爆豪とて内心は傀薇の成長速度には驚いていた。やればできンじゃねェか手繰ってやつである。まぁ言わないが。
そうして「インターン意見交換会」兼「始業一発気合入魂鍋パだぜ!!! 会」が始まった。
「鍋って色々あるんですわね、目移りしますわ」
「全部少しずつ食べたらいい。とってくるから待ってろ」
「ありがとうですわ」
優しい轟らしく遠くにある爆豪と砂藤が作ったキムチ鍋もとってきてくれた。そうやって少しずついろんな鍋を味わっているとB組がやってくる。塩崎が傀薇の近くに座りたがったのを察した轟が席を少し詰めて傀薇の反対に座れるようにしてやった。「太陽のお隣……! 感謝いたします」と感激し、轟への認識が太陽の素敵な恋人に静かにグレードアップしたのだった。
そしてB組の問題児物間がいつものように爆豪を煽りに煽って鍋対決なるものを持ち出し、爆豪のキムチ鍋にかける静かなる情熱をしった切島が乗り、それを賑やかし組が援護射撃したことで鍋対決なるものが始まった。
「すき焼き? すき焼きは卵をつけますのね」
「鍋に馴染みがないのはわかってたが……すき焼きもないのか。美味いぞ」
「ほら手繰も。食ってみな」
「ええ……いただきますわ」
泡瀬から受け取ったそれを冷ましながら一口。あまりのまろやかさに頬が落ちるかと思った。ぱぁあっと華やいだ表情に思わずといったように「かわいい」と近くにいた円場が呟いたのを轟が聞き、無意識に軽くにらみつけてしまった。慌てたように円場が「いやそういうんじゃなくて! 一般論! 一般論だって!」と全力で弁解した。
「生卵とお肉と糸こんにゃくにお野菜がよく合いますわね……わたくし感激しましたわ。B組のシェフはどなたで? お礼を申し上げたいですわ!」
「シェフってうちにはそんな大層なもんいないよ。強いて言うなら使ったタレがよかった」
「ではそのタレに感謝を! 三ツ星ですわ!」
「……手繰って無邪気だよなぁ……」
「ああ、そこがまた可愛いんだ」
「くっ惚気やがる……!」
すき焼きをいたく気に入った傀薇のために追加で卵と具材を入れた小皿を泡瀬が渡してくれた。
続くB組の鍋は海鮮鍋だった。そちらを食べた傀薇が「この魚食べた覚えがありますわ。でも名前なんだったかしら……?」と頭を悩ませていると八百万が解説してくれた。クエ、九州ではアラとも呼ばれとても高級で美味しい魚である。クエ鍋は鍋の王様とも呼ばれているが傀薇はすき焼きの方に夢中だった。黄金の卵とそれに絡んだ肉と野菜の魅力にとりつかれていたのだ。
結果B組の勝利で終わった。すき焼きがずるかったのと、なによりクエ鍋の魅力には多くの者が逆らえなかった。爆豪でさえクエ鍋に陥落したほどだったのだ。
罰ゲームというのもあって、B組の面々が闇鍋を用意し、それをA組が食すことになった。傀薇も闇鍋自体が初めてというのもあり、美味しい鍋を食べたせいもあって闇鍋にも期待してしまっていたのがよくなかった。
「…………おいしくないですわ」
「そりゃ闇鍋だもの。手繰なんだった?」
「……なんだかねちょっとして、にが……? いやあまい? 歯にくっつきますわ」
「あーそれ多分キャラメルだ。俺が入れたやつ」
「回原……鍋にキャラメルは合いませんでしたわ」
「そりゃそうだろな!?」
美味しい鍋を食べた分、傀薇の期待値が高すぎた。その分落差も酷く闇鍋とは美味しくないものだと傀薇は認識した。それからしばらくして、闇鍋を食べ損ねたA組がいたため男子の中で再試合となり、サウナ対決へと風呂場へ繰り出していった。轟の炎を使って疑似サウナを作るらしかった。
女子は女子会でもしようかと話していたはいいが途中から記憶が途切れている。たしか今度八百万と傀薇の家に女子を招待するといったものだったはずだが……気が付けば夜である。
元気だった上鳴が若干挙動不審になりつつ教えてくれた「あー、なんか鍋に当たったみたい?」と「なんせ、闇鍋だからね。何が入っているかわからないさ」と物間がまとめた。鍋知識初心者の傀薇は素直に納得する。
「しばらく鍋はやめましょう……闇鍋……恐ろしいですわ」
「そうだな……」
すっかり鍋に怯える傀薇に轟も同意した。傀薇に少しトラウマを残した鍋であったが、大分後に冬美ちゃんが克服させてくれることはまだ知らない。
「マジェスティック、お久しぶりですわ! 今回もよろしくお願いしますわね!」
「うんうん。傀薇ちゃんに加えて可愛い女の子が二人も俺の下を訪れてくれたことを光栄に思うよ。俺は魔法ヒーローマジェスティック、よろしくね」
「八百万百、ヒーロー名クリエティと申します。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いしたします」
「はーい取蔭切奈です。ヒーロー名はリザーディ、よろしくお願いしまーす!」
マジェスティックはヒーロー名を知っていても可愛い女の子は下の名前で呼ぶのだ。最初はお堅いところのある八百万も抵抗感があったようだが傀薇はもちろん、取蔭がすぐに順応しているのにならって八百万も気にしなくなった。
実際マジェスティックの指導は確かで、予測と効率に於いて彼は目を見張るものがある。傀薇はより効率的に複数を使役し、予測させない動きで相手を翻弄するよう個性を伸ばし、八百万と取蔭は相手の行動や最悪の事態を予測し効率的に動くことを意識させられていた。
そうして新学期早々のインターン成果発表会でも上場の活躍を見せ、新技「
「お鍋っていいですわね、まさに同じ釜の飯を食うってやつですわ……!」
「傀薇それはちょっと違う。けどみんなで食べるってのはいいよな」
「ええ……あら、焦凍……それ切れてませんわ」
「あ……繋がってるな」
「繋がってますわね」
轟が切っていたニラが切れていなかった。傀薇が仕方ないなと切り直していく。寮制になって自分のことは自分でするようになり、傀薇は目覚ましく成長していた。基本的に人当たりがよく親切であるので砂藤が料理好きというのもあって手伝う機会が多かったのが大きい。今や立派な戦力である。
「ニラ切ったやつ……聞かなくてもわかるわ。おまえらだろ」
「まぁ、よくわかりましたわね」
「なんでわかったんだ?」
「ばれっばれだわ……! 轟おまえ精々愛想尽かされンじゃねェぞ。姉ちゃんが泣く!」
「お、おう」
インターン中に地獄の轟家へ招待された爆豪だったが冬美の作った四川麻婆がうまかったらしく好感度がわずかに上がっていた。一見綺麗に切れているが切れ目が中途半端に入っているのを見る当たりお察しであった。爆豪とて内心は傀薇の成長速度には驚いていた。やればできンじゃねェか手繰ってやつである。まぁ言わないが。
そうして「インターン意見交換会」兼「始業一発気合入魂鍋パだぜ!!! 会」が始まった。
「鍋って色々あるんですわね、目移りしますわ」
「全部少しずつ食べたらいい。とってくるから待ってろ」
「ありがとうですわ」
優しい轟らしく遠くにある爆豪と砂藤が作ったキムチ鍋もとってきてくれた。そうやって少しずついろんな鍋を味わっているとB組がやってくる。塩崎が傀薇の近くに座りたがったのを察した轟が席を少し詰めて傀薇の反対に座れるようにしてやった。「太陽のお隣……! 感謝いたします」と感激し、轟への認識が太陽の素敵な恋人に静かにグレードアップしたのだった。
そしてB組の問題児物間がいつものように爆豪を煽りに煽って鍋対決なるものを持ち出し、爆豪のキムチ鍋にかける静かなる情熱をしった切島が乗り、それを賑やかし組が援護射撃したことで鍋対決なるものが始まった。
「すき焼き? すき焼きは卵をつけますのね」
「鍋に馴染みがないのはわかってたが……すき焼きもないのか。美味いぞ」
「ほら手繰も。食ってみな」
「ええ……いただきますわ」
泡瀬から受け取ったそれを冷ましながら一口。あまりのまろやかさに頬が落ちるかと思った。ぱぁあっと華やいだ表情に思わずといったように「かわいい」と近くにいた円場が呟いたのを轟が聞き、無意識に軽くにらみつけてしまった。慌てたように円場が「いやそういうんじゃなくて! 一般論! 一般論だって!」と全力で弁解した。
「生卵とお肉と糸こんにゃくにお野菜がよく合いますわね……わたくし感激しましたわ。B組のシェフはどなたで? お礼を申し上げたいですわ!」
「シェフってうちにはそんな大層なもんいないよ。強いて言うなら使ったタレがよかった」
「ではそのタレに感謝を! 三ツ星ですわ!」
「……手繰って無邪気だよなぁ……」
「ああ、そこがまた可愛いんだ」
「くっ惚気やがる……!」
すき焼きをいたく気に入った傀薇のために追加で卵と具材を入れた小皿を泡瀬が渡してくれた。
続くB組の鍋は海鮮鍋だった。そちらを食べた傀薇が「この魚食べた覚えがありますわ。でも名前なんだったかしら……?」と頭を悩ませていると八百万が解説してくれた。クエ、九州ではアラとも呼ばれとても高級で美味しい魚である。クエ鍋は鍋の王様とも呼ばれているが傀薇はすき焼きの方に夢中だった。黄金の卵とそれに絡んだ肉と野菜の魅力にとりつかれていたのだ。
結果B組の勝利で終わった。すき焼きがずるかったのと、なによりクエ鍋の魅力には多くの者が逆らえなかった。爆豪でさえクエ鍋に陥落したほどだったのだ。
罰ゲームというのもあって、B組の面々が闇鍋を用意し、それをA組が食すことになった。傀薇も闇鍋自体が初めてというのもあり、美味しい鍋を食べたせいもあって闇鍋にも期待してしまっていたのがよくなかった。
「…………おいしくないですわ」
「そりゃ闇鍋だもの。手繰なんだった?」
「……なんだかねちょっとして、にが……? いやあまい? 歯にくっつきますわ」
「あーそれ多分キャラメルだ。俺が入れたやつ」
「回原……鍋にキャラメルは合いませんでしたわ」
「そりゃそうだろな!?」
美味しい鍋を食べた分、傀薇の期待値が高すぎた。その分落差も酷く闇鍋とは美味しくないものだと傀薇は認識した。それからしばらくして、闇鍋を食べ損ねたA組がいたため男子の中で再試合となり、サウナ対決へと風呂場へ繰り出していった。轟の炎を使って疑似サウナを作るらしかった。
女子は女子会でもしようかと話していたはいいが途中から記憶が途切れている。たしか今度八百万と傀薇の家に女子を招待するといったものだったはずだが……気が付けば夜である。
元気だった上鳴が若干挙動不審になりつつ教えてくれた「あー、なんか鍋に当たったみたい?」と「なんせ、闇鍋だからね。何が入っているかわからないさ」と物間がまとめた。鍋知識初心者の傀薇は素直に納得する。
「しばらく鍋はやめましょう……闇鍋……恐ろしいですわ」
「そうだな……」
すっかり鍋に怯える傀薇に轟も同意した。傀薇に少しトラウマを残した鍋であったが、大分後に冬美ちゃんが克服させてくれることはまだ知らない。
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