「うわあ!」
「どうした耳郎ジャック!?」
「ヤバい!!」
「なに!? 包囲網が突破された!?」
「え」
「めっちゃデカイのが向かって来ます!!」
「前に詰めるぞラインを下げるなインターン生はその場で待機!!」
「ヒーロー集結してんだろ……? 何で状況が悪くなるんだよ!!?」
緊張が走る。戦況が変わったのを感じた。傀薇はもしもに備えて針と糸の準備をする。一人戦いの準備を進めている傀薇に周りが戸惑ったような視線を向けてきた。
「何してますの。包囲網が突破されたならここが戦場になる可能性がありましてよ」
「それはそうだけど、お前ほんとこういう時肝座ってんな!? でもいきなり戦いの準備だなんて」
「セロファン、わたくしたちもうヒーローなのですわ。もしここに敵が現れて突破でもされたらたくさんの人が危険な目に遭うのですわ。わたくしたちがそれを止めなければ。その準備はいくらしていても損ではなくてよ。使われなければ余計な心配だったと笑えるのだから」
「……ああそうだよ! 俺たちゃヒーローだ! いっちょ準備すっか!!」
みんな傀薇に影響されてもしもの際に個性をすぐ使用できるよう準備や精神を落ち着かせていく。傀薇は考えていた。山荘には大勢のプロヒーローがいた。実力も十分の腕利きたちである。ではなぜ包囲網が突破されたのか……考えられる一番の可能性として伏兵がいたということだろう。人数はさほど多くないはずだ、多かったらとっくに前衛は戦線崩壊している。そうでないということは耳郎が直前に聞いたデカイなにかである可能性が高い。
武力行使で収まらないのであれば、傀薇の精神攻撃が有効かもしれない。けれどそれもおそらく合宿のときの改造脳無のようにうまくいかない可能性が非常に高い。なんせそいつだけで戦況が変わったのだから。
傀薇は周到に準備をした。精神を素早く写せる最も強固な糸……ミノムシの糸を創造する。この創造には時間がかかるのだ。今から急いで取り掛かっても間に合うかどうかといったところだったが、それでも最悪に備えていた。
『聞こえるかしらクリエティ!!』
「ミッドナイト先生!?」
『状況は……わかってるわね?』
「ええ耳郎さんの音≠ニ障子さんの目≠ナ!」
「Mt.レディが投げ飛ばされた!?」
『力押しでは誰も止められない。眠らせたい』
「え!?」
『法律違反になっちゃうけど……事態が事態よ。麻酔で眠らせるの』
「何を仰っているのですか先生!?」
『ヒーローに麻酔を渡して……! その場を離れなさい……! 難しければ……すぐ……避難を……!! あなたの判断に……委ねます』
「先生? 先生!?」
そこでミッドナイトの通信が切れた。傀薇はその口ぶりや声からミッドナイトが危険な状況にあることを察した。眠らせる個性を持つミッドナイトが八百万の創造に頼った。教師であるミッドナイトが生徒の八百万を宛てにしてしまった時点で事態は最悪を迎えているのだと理解する。
「何だよ今の通信……」
「ヤオモモに委ねる?」
「眠らせるって何で先生がやらねんだよ……」
「ミッナイが……何で……」
「クリエティ! このマリオネットいつでもいけますわ!!」
「傀薇さん……!」
「わかっているはずですわ。今の最善がなにか。あとは覚悟だけでしょう!」
「……ええ!! イヤホンジャック! テンタコル!! 音の位置から距離とここへの到達時間を! 巨人の大きさを目算でいいのでお伝えください! マッドマンあなたの力もお貸しください! 皆さん動く準備を!!!」
「つーかもう見えてるし! 速いよ10秒もかかんない……。!!!! 減速した!! でも少し――」
「約25mだMt.レディより大きい!」
八百万が超速で麻酔を創造していく。一瓶が有効量である。試みるは経口投与、これを誰か一人でも奴の口の中に入れれば眠らせることができる。
八百万は他にも骨抜や峰田たちの力を借り罠をしかけていく。傀薇は実物を見てやはり精神攻撃を仕掛けるしかないと決意した。紛れもなく災厄である。精神世界もとんでもないことになっているであろうことは想像に容易かった。
「おいマリオネット。お前のことだからなんか無茶考えてるのはわかるぞ」
「いきなりどうしましたの」
「別にさァ、お前が無茶苦茶なのは今に始まったことじゃねぇし、それでこそお前だとも思ってるわけよ。でもそれは心配しないってわけでもなくて、普通に俺は心配だし……いやだからってやめろってわけじゃねぇんだけど」
「つまりどういうことですの」
「つまり! 俺のことも頼れよってことだよ!! 俺ら個性似てるって前から俺いってんじゃん!? 肩代わりできるとこあんじゃねぇの!!」
「……え」
「今更針も出せますわとかいうのはいいから!! お前がやろうとしてんのサポートさせろよ! そんであいつ眠らせようぜ!! 成功率爆上げだ!!」
「ええ……!!」
そこに「穢らわしく盗み聞きしてしまったことをどうかお許しください」と塩崎も現れる。是非自分も協力をと申し出る塩崎に傀薇と瀬呂は顔を見合わせて笑った。これでは入試のときと同じである。
勇敢に立ち向かった傀薇の勇姿に惹かれた者たちが今度は傀薇の力にならんと動いてくれている。傀薇も二人を信頼して本来自分で負担するはずだった縛りを二人に肩代わりしてもらうことにした。傀薇がやることはたった一つ、あの災厄の精神を乗っ取ること。そのたった一つに集中できることで成功率は爆上がりするのだった。
「どうした耳郎ジャック!?」
「ヤバい!!」
「なに!? 包囲網が突破された!?」
「え」
「めっちゃデカイのが向かって来ます!!」
「前に詰めるぞラインを下げるなインターン生はその場で待機!!」
「ヒーロー集結してんだろ……? 何で状況が悪くなるんだよ!!?」
緊張が走る。戦況が変わったのを感じた。傀薇はもしもに備えて針と糸の準備をする。一人戦いの準備を進めている傀薇に周りが戸惑ったような視線を向けてきた。
「何してますの。包囲網が突破されたならここが戦場になる可能性がありましてよ」
「それはそうだけど、お前ほんとこういう時肝座ってんな!? でもいきなり戦いの準備だなんて」
「セロファン、わたくしたちもうヒーローなのですわ。もしここに敵が現れて突破でもされたらたくさんの人が危険な目に遭うのですわ。わたくしたちがそれを止めなければ。その準備はいくらしていても損ではなくてよ。使われなければ余計な心配だったと笑えるのだから」
「……ああそうだよ! 俺たちゃヒーローだ! いっちょ準備すっか!!」
みんな傀薇に影響されてもしもの際に個性をすぐ使用できるよう準備や精神を落ち着かせていく。傀薇は考えていた。山荘には大勢のプロヒーローがいた。実力も十分の腕利きたちである。ではなぜ包囲網が突破されたのか……考えられる一番の可能性として伏兵がいたということだろう。人数はさほど多くないはずだ、多かったらとっくに前衛は戦線崩壊している。そうでないということは耳郎が直前に聞いたデカイなにかである可能性が高い。
武力行使で収まらないのであれば、傀薇の精神攻撃が有効かもしれない。けれどそれもおそらく合宿のときの改造脳無のようにうまくいかない可能性が非常に高い。なんせそいつだけで戦況が変わったのだから。
傀薇は周到に準備をした。精神を素早く写せる最も強固な糸……ミノムシの糸を創造する。この創造には時間がかかるのだ。今から急いで取り掛かっても間に合うかどうかといったところだったが、それでも最悪に備えていた。
『聞こえるかしらクリエティ!!』
「ミッドナイト先生!?」
『状況は……わかってるわね?』
「ええ耳郎さんの音≠ニ障子さんの目≠ナ!」
「Mt.レディが投げ飛ばされた!?」
『力押しでは誰も止められない。眠らせたい』
「え!?」
『法律違反になっちゃうけど……事態が事態よ。麻酔で眠らせるの』
「何を仰っているのですか先生!?」
『ヒーローに麻酔を渡して……! その場を離れなさい……! 難しければ……すぐ……避難を……!! あなたの判断に……委ねます』
「先生? 先生!?」
そこでミッドナイトの通信が切れた。傀薇はその口ぶりや声からミッドナイトが危険な状況にあることを察した。眠らせる個性を持つミッドナイトが八百万の創造に頼った。教師であるミッドナイトが生徒の八百万を宛てにしてしまった時点で事態は最悪を迎えているのだと理解する。
「何だよ今の通信……」
「ヤオモモに委ねる?」
「眠らせるって何で先生がやらねんだよ……」
「ミッナイが……何で……」
「クリエティ! このマリオネットいつでもいけますわ!!」
「傀薇さん……!」
「わかっているはずですわ。今の最善がなにか。あとは覚悟だけでしょう!」
「……ええ!! イヤホンジャック! テンタコル!! 音の位置から距離とここへの到達時間を! 巨人の大きさを目算でいいのでお伝えください! マッドマンあなたの力もお貸しください! 皆さん動く準備を!!!」
「つーかもう見えてるし! 速いよ10秒もかかんない……。!!!! 減速した!! でも少し――」
「約25mだMt.レディより大きい!」
八百万が超速で麻酔を創造していく。一瓶が有効量である。試みるは経口投与、これを誰か一人でも奴の口の中に入れれば眠らせることができる。
八百万は他にも骨抜や峰田たちの力を借り罠をしかけていく。傀薇は実物を見てやはり精神攻撃を仕掛けるしかないと決意した。紛れもなく災厄である。精神世界もとんでもないことになっているであろうことは想像に容易かった。
「おいマリオネット。お前のことだからなんか無茶考えてるのはわかるぞ」
「いきなりどうしましたの」
「別にさァ、お前が無茶苦茶なのは今に始まったことじゃねぇし、それでこそお前だとも思ってるわけよ。でもそれは心配しないってわけでもなくて、普通に俺は心配だし……いやだからってやめろってわけじゃねぇんだけど」
「つまりどういうことですの」
「つまり! 俺のことも頼れよってことだよ!! 俺ら個性似てるって前から俺いってんじゃん!? 肩代わりできるとこあんじゃねぇの!!」
「……え」
「今更針も出せますわとかいうのはいいから!! お前がやろうとしてんのサポートさせろよ! そんであいつ眠らせようぜ!! 成功率爆上げだ!!」
「ええ……!!」
そこに「穢らわしく盗み聞きしてしまったことをどうかお許しください」と塩崎も現れる。是非自分も協力をと申し出る塩崎に傀薇と瀬呂は顔を見合わせて笑った。これでは入試のときと同じである。
勇敢に立ち向かった傀薇の勇姿に惹かれた者たちが今度は傀薇の力にならんと動いてくれている。傀薇も二人を信頼して本来自分で負担するはずだった縛りを二人に肩代わりしてもらうことにした。傀薇がやることはたった一つ、あの災厄の精神を乗っ取ること。そのたった一つに集中できることで成功率は爆上がりするのだった。
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