雄英に入ってまず出迎えられたのは大勢の反対する避難民の罵声だった。
緑谷がAFO に狙われているということが広まり、不安に押しつぶされそうな避難民が緑谷を雄英にいれまいと行動したのだ。
中には理解を示してくれた人がいたが、それでも拭いきれなかったのだ。
ベストジーニストが緑谷の有用性を訴え、ここに留まる理解を得ようとするが、それでも非難はやまなかった。
「わたくしちょっと行ってきますわ」
「!? 待て傀薇! 何するつもりだ。マジックでどうにかできるレベルじゃねぇぞ。むしろ今の興奮状態じゃ火に油だ」
「あらそんなことはいくらわたくしでもわかっていますわ。ただ……こういうのは言われっぱなしが一番よくないんでしてよ」
「行かせねぇからな。冷静に話を聞いてくれるやつらじゃねぇ」
手を繋いだ上から氷漬けにする。なんとしてでも行かせてたまるかという強い意志が感じられた。「冷たいですわ」「我慢してくれ」小さな抗議も一蹴された。
けれど確かに傀薇も具体策は浮かばなかった。訴えるしかない、どうかお願いしますと理解を得るしかない。その時麗日が動いた。
無重力で雄英のシンボルまで飛んだ麗日は拡声器で声を紡ぐ。それは麗日お茶子だから言えた言葉だった。緑谷出久を誰よりも守りたいと思っている彼女だから紡げた肉声だった。
彼女の声に耳を傾けてくれる人がいた。そうして広がっていく。駆け出せなかった洸汰くんが、緑谷が助けた異形の女の人が緑谷に駆け寄ってきた。
そして理解をしてくれた人が声をあげてくれた。許容された。オールマイトの平和の象徴時代から今のヒーロアンチ時代をなぞり、それでも今戦ってるヒーローたちをちゃんと見てくれた。
みんなが少しだけ、みんなのことを考えて……そうして歩み寄ることが出来たのだ。
「……結局俺たちはデクに辛い思いをさせただけだった。何も進展していない……遠回りをさせただけだ」
「進展ならありますよ。ここにあったんだOFA は人々の心が紡いできた力の結晶。ヒーローが暇を持て余す笑っちまうくらい明るい未来です」
「親父、一緒に だ」
「あぁ……」
つんと轟の裾を引っ張り、じっともの言いたげに見てくる傀薇に轟は笑って「傀薇もな」という。「もちろんですわ!」と笑った傀薇にエンデヴァーは色々察した。冬美から聞いていた彼女というのは間違いなく傀薇だと確信したのだ。
男子たちがたったかと緑谷を風呂に入れ、洗い、浸からせたあと共有スペースに集まっていた。麗日などは安心したようでそうそうに眠ってしまっていた。
OFA のことがあり緑谷の今までの自損の理由がわかりその話でもちきりになる。大変だったよなってやつである。
そこに風呂から上がって濡れた髪をタオルで拭きながら轟がやってきた。
「緑谷が一番眠ィだろ。寝かせてやれよ。何の為に連れ戻したんだよ」
「おまえ登場そのポーズって素でやってんの?」
「大丈夫……っていうかまだ眠れなくて」
まだ乾いていない髪を見た傀薇がさっとソファーの後ろに回り轟の髪を丁寧に拭いてやった。
されるがままの轟に峰田が登場ポーズですでに嫉妬していたというのに更に嫉妬した。同じように轟の登場ポーズをとって瀬呂に「どう? 何点?」と聞くが無情にも返ってきたのは「停学」というものだった。論外ってことである。
「なんで眠れないんだ?」
「オールマイトに酷いことをして……そのままなんだ。謝らなきゃと思ってるんだけど……連絡がつかなくて」
そこで窓越しにオールマイトと発見する。というかもう窓に張り付いていた。
オールマイトが力になれずすまなかったと緑谷に謝る。そして決戦の日が近いとも。
「オールマイト! トンカツ弁当とても力になりました……! 僕はきっとオールマイトから離れてしまったからあんな風に……だから一緒に ……!!」
「守りましょう!!」
「――ありがとう」
そうしてエンデヴァーたちのところに行ったオールマイトが去ると、緑谷はようやく安心したのかソファーで眠っていた。轟が毛布をかえてやる。
エンデヴァーたちは雄英に入らないのかという話に、荼毘がちらついてエンデヴァーはまだ人前に出れないと轟は答える。
「荼毘の兄弟エンデヴァーの息子。内心ではきっと俺の存在も未だ不安だろう」
「家庭事情で――悔しいよなぁ轟が何かしたわけじゃねぇのになぁ」
「したよ――血に囚われて原点を見失った。でも今は違うから違うってことを証明する。皆に安心してもらえるように」
「ええ、焦凍ならできますわ」
「……漢だよおめぇは……! 俺なんだか涙が出てくるよ……!」
すっかり乾いた轟の頭を軽く撫でる。本当に轟は変わった。血に囚われていたころは心が荒み切っていたが、今はすっかり穏やかだ。素直でどこかぽやっとしている。
「あれだねなんかあれ。同列に言っちゃうのもおかしな話だけどさ」
そういって耳郎がイヤホンでAバンドの音楽メンバーを集めた。
「ウチら不安視してた人たちがいてさ。皆に安心してほしくて。笑ってほしくてさ。やれる事考えてさ。文化祭 みたいに最大限の力でやれることやろう。ウチらできたじゃんね!」
「ええ、わたくし知ってますわ、三人寄れば文殊の知恵だって。わたくしたち21人集まればきっと無敵ですわ!」
「おいおい、手繰が間違わなかったぞ! これ縁起いいのか!?」
「いいに決まってますわ。なにせわたくしたち無敵ですもの」
「ふっ……そうだな」
「轟笑い方までイケメンのそれじゃん」
「そうなのか?」
「そうだよ!」
「取り戻すだけじゃなくて、前よりもっと良くなるように。みんなで行こうよ更に向こうへ」
更に向こうへより良い未来を。英雄 の意志は次代へと確かに受け継がれていた。
緑谷が
中には理解を示してくれた人がいたが、それでも拭いきれなかったのだ。
ベストジーニストが緑谷の有用性を訴え、ここに留まる理解を得ようとするが、それでも非難はやまなかった。
「わたくしちょっと行ってきますわ」
「!? 待て傀薇! 何するつもりだ。マジックでどうにかできるレベルじゃねぇぞ。むしろ今の興奮状態じゃ火に油だ」
「あらそんなことはいくらわたくしでもわかっていますわ。ただ……こういうのは言われっぱなしが一番よくないんでしてよ」
「行かせねぇからな。冷静に話を聞いてくれるやつらじゃねぇ」
手を繋いだ上から氷漬けにする。なんとしてでも行かせてたまるかという強い意志が感じられた。「冷たいですわ」「我慢してくれ」小さな抗議も一蹴された。
けれど確かに傀薇も具体策は浮かばなかった。訴えるしかない、どうかお願いしますと理解を得るしかない。その時麗日が動いた。
無重力で雄英のシンボルまで飛んだ麗日は拡声器で声を紡ぐ。それは麗日お茶子だから言えた言葉だった。緑谷出久を誰よりも守りたいと思っている彼女だから紡げた肉声だった。
彼女の声に耳を傾けてくれる人がいた。そうして広がっていく。駆け出せなかった洸汰くんが、緑谷が助けた異形の女の人が緑谷に駆け寄ってきた。
そして理解をしてくれた人が声をあげてくれた。許容された。オールマイトの平和の象徴時代から今のヒーロアンチ時代をなぞり、それでも今戦ってるヒーローたちをちゃんと見てくれた。
みんなが少しだけ、みんなのことを考えて……そうして歩み寄ることが出来たのだ。
「……結局俺たちはデクに辛い思いをさせただけだった。何も進展していない……遠回りをさせただけだ」
「進展ならありますよ。ここにあったんだ
「親父、
「あぁ……」
つんと轟の裾を引っ張り、じっともの言いたげに見てくる傀薇に轟は笑って「傀薇もな」という。「もちろんですわ!」と笑った傀薇にエンデヴァーは色々察した。冬美から聞いていた彼女というのは間違いなく傀薇だと確信したのだ。
男子たちがたったかと緑谷を風呂に入れ、洗い、浸からせたあと共有スペースに集まっていた。麗日などは安心したようでそうそうに眠ってしまっていた。
そこに風呂から上がって濡れた髪をタオルで拭きながら轟がやってきた。
「緑谷が一番眠ィだろ。寝かせてやれよ。何の為に連れ戻したんだよ」
「おまえ登場そのポーズって素でやってんの?」
「大丈夫……っていうかまだ眠れなくて」
まだ乾いていない髪を見た傀薇がさっとソファーの後ろに回り轟の髪を丁寧に拭いてやった。
されるがままの轟に峰田が登場ポーズですでに嫉妬していたというのに更に嫉妬した。同じように轟の登場ポーズをとって瀬呂に「どう? 何点?」と聞くが無情にも返ってきたのは「停学」というものだった。論外ってことである。
「なんで眠れないんだ?」
「オールマイトに酷いことをして……そのままなんだ。謝らなきゃと思ってるんだけど……連絡がつかなくて」
そこで窓越しにオールマイトと発見する。というかもう窓に張り付いていた。
オールマイトが力になれずすまなかったと緑谷に謝る。そして決戦の日が近いとも。
「オールマイト! トンカツ弁当とても力になりました……! 僕はきっとオールマイトから離れてしまったからあんな風に……だから
「守りましょう!!」
「――ありがとう」
そうしてエンデヴァーたちのところに行ったオールマイトが去ると、緑谷はようやく安心したのかソファーで眠っていた。轟が毛布をかえてやる。
エンデヴァーたちは雄英に入らないのかという話に、荼毘がちらついてエンデヴァーはまだ人前に出れないと轟は答える。
「荼毘の兄弟エンデヴァーの息子。内心ではきっと俺の存在も未だ不安だろう」
「家庭事情で――悔しいよなぁ轟が何かしたわけじゃねぇのになぁ」
「したよ――血に囚われて原点を見失った。でも今は違うから違うってことを証明する。皆に安心してもらえるように」
「ええ、焦凍ならできますわ」
「……漢だよおめぇは……! 俺なんだか涙が出てくるよ……!」
すっかり乾いた轟の頭を軽く撫でる。本当に轟は変わった。血に囚われていたころは心が荒み切っていたが、今はすっかり穏やかだ。素直でどこかぽやっとしている。
「あれだねなんかあれ。同列に言っちゃうのもおかしな話だけどさ」
そういって耳郎がイヤホンでAバンドの音楽メンバーを集めた。
「ウチら不安視してた人たちがいてさ。皆に安心してほしくて。笑ってほしくてさ。やれる事考えてさ。
「ええ、わたくし知ってますわ、三人寄れば文殊の知恵だって。わたくしたち21人集まればきっと無敵ですわ!」
「おいおい、手繰が間違わなかったぞ! これ縁起いいのか!?」
「いいに決まってますわ。なにせわたくしたち無敵ですもの」
「ふっ……そうだな」
「轟笑い方までイケメンのそれじゃん」
「そうなのか?」
「そうだよ!」
「取り戻すだけじゃなくて、前よりもっと良くなるように。みんなで行こうよ更に向こうへ」
更に向こうへより良い未来を。
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