その日カイラはいつものように歌や踊り、手品を披露し日銭を稼いでいた。
カイラは旅芸人であるがその美貌や高度な芸も相まって人気が高く、いわゆる売れっ子、スターというやつであった。
賑わい、人だかりができているそれにアイザワ率いる打倒魔王を掲げるイズクたちが目を止めた。
「あ、あれって!! 人気スターのカイラ!? こんなところで彼女を見れるなんて! とんでもなくラッキーだ!」
「……旅芸人か。そんなに有名なのか?」
「有名も有名だよ! 彼女もあちこち旅をしてて所在があんまりつかめないんだけど、ファンの中には彼女のおっかけをしてる勇者もたくさんいてね。どんなに泣いている子どもも彼女の芸を見ればすぐ笑顔になるんだ!」
「へぇ……確かに高度な芸だな」
強い奴にしか興味がないカツキや、あまり芸術的なことはよくわからないエイジロウたちはともかく、オチャコやキヨウカ、ツユにテンヤとショートはイズクの熱弁もありすっかり引き込まれていた。
アイザワは先を急ごうとしたが、オールマイトがたまには娯楽も必要だと言って説き伏せていた。
カイラ自身も同年代の子供に興味を惹かれ、少しサービスするように手品で使った飴を撒いた。「いいの!?」と口にしたオチャコにウインクをして「さしあげますわ!」と笑った。
その後も剣を使った踊り、剣舞を披露したりとその瞬間ばかりはカツキも興味を示していた。踊りの一環ではあるがそれなりの太刀筋であった。身のこなしも軽かったし、ちょこまかうざったそうであるが強い奴であると確信したのだった。
「ブラボー! ブラーーボ!!」
「すげぇな、何がどうなってるのかわからなかった」
「すごいすごーい!」
「お褒めにあずかり光栄ですわ」
「えっとたしかこういうときってお代を……あった!」
置いてあった箱の中にはすでにそれなりの額が貯まっていた。イズクたち財布を持っている者が入れようとしたところカイラはこともなげに言った。
「お代は結構ですわ」
「え!? あんなにいいものを見せてもらったのに!?」
「そうだ! 対価はちゃんと払わなければ!」
「わたくし子どもからはお代をもらいませんの。どうしてもというのなら、大人になったときにお願いしますわ」
「な、なんて良心的なんだ……!!」
「元々は泣いていた子どもを慰めるために始めたことですの。それがいつのまにか職業として定着しただけですわ」
「お前えらいな。俺たちとそう変わらないのにしっかりしてる」
「そうかしら? まぁ、一人旅のしがない旅芸人ですもの。たくましくもなりますわね」
「なぁおまえ、俺とタイマンやれ。剣でもなんでも使ってきてかまわねぇからよ」
「ちょっとカッチャン!? いきなり何言ってるの!」
「いいですわよ」
「いいの!!?」
カツキがいきなりカイラと戦いたがったのも、カイラが了承するのも驚きしかなかった。アイザワは面倒なことになったと頭を抱えた。筋肉質で力自慢なカツキはなんとあのドラゴンのハーフ、エイジロウにさえ勝ったほどだ。カイラは見るからに華奢であったし、とてもカツキに渡り合えるようには見えなかった。
それにカツキは負ければ奴隷と言ってくるほどである。カイラが奴隷になるようなことがあってはならないとイズクたちはカツキにやめるよういったのだが、カツキはそれでは面白くないというし、肝心のカイラがかまわないと言い出すしでめちゃくちゃであった。
だがしかし、予想に反してカイラは十分にカツキに渡り合っていた。
「ハッ! おめぇ見かけによらずやるじゃねぇか!!」
「お褒めいただき強烈至極ですわ!!」
「恐悦至極の間違いだろ。頭は弱ぇなあああ!」
「わたくし頭はたしかにあんまりですけれど、力には自信がありましてよっ! カツキあなたもよくぞわたくしの岩をも砕く拳を受け止めましたわね!」
「こんくれぇよゆーだわ!!」
「す、すごい……カイラってあんなに力自慢だったんだ……!」
「華奢なのにな」
「カツキがあんな押されてんの初めて見たぜ! どうなんだこれ!?」
「この場合さ、カイラが勝ったらカツキの奴隷のアンタもカイラの奴隷ってこと?」
「え!? あ、たしかにそうかもしれねぇな!? 俺にも関係あったわ!」
だがそんな白熱した試合も、アイザワの「いい加減にしろ。遊んでる暇はない。先を急ぐぞ」との怒りの声に決着がつかぬまま終わることになった。
カツキはそれに不完全燃焼を起こしイライラしていた。「お前もこいや!」といったところこれまた「いいですわよ」と軽く返事が返ってくるものだから驚いた。
「え、いいの!? カイラも行くところあるんじゃ」
「まだ決めてませんでしたの。目的のない旅も気ままでいいものですけれど、あなた方はなにかお困りのようですし……強力ながらお力添えいたしますわ!!」
「(強力ながら……)願ってもないことだけどいいのかな? 僕たち勇者の失踪の件を追ってて、これから魔王とも戦うことになるんだけど……」
「あら、そうでしたの。でしたらなおの事、こちらからも同行をお願いしますわ。わたくしのマスターも行方がしれませんの」
「マスターって、アンタの師匠も勇者なわけ?」
「あ……そういえばマジェスティックの愛弟子なんだよね。どうりで戦いなれてるわけだ」
「心強いわ。よろしくお願いね、カイラちゃん」
「ええ。よろしくお願いしますわ!」
こうしてカイラも一行に加わり、魔王退治の旅に出るのであった。
カイラは旅芸人であるがその美貌や高度な芸も相まって人気が高く、いわゆる売れっ子、スターというやつであった。
賑わい、人だかりができているそれにアイザワ率いる打倒魔王を掲げるイズクたちが目を止めた。
「あ、あれって!! 人気スターのカイラ!? こんなところで彼女を見れるなんて! とんでもなくラッキーだ!」
「……旅芸人か。そんなに有名なのか?」
「有名も有名だよ! 彼女もあちこち旅をしてて所在があんまりつかめないんだけど、ファンの中には彼女のおっかけをしてる勇者もたくさんいてね。どんなに泣いている子どもも彼女の芸を見ればすぐ笑顔になるんだ!」
「へぇ……確かに高度な芸だな」
強い奴にしか興味がないカツキや、あまり芸術的なことはよくわからないエイジロウたちはともかく、オチャコやキヨウカ、ツユにテンヤとショートはイズクの熱弁もありすっかり引き込まれていた。
アイザワは先を急ごうとしたが、オールマイトがたまには娯楽も必要だと言って説き伏せていた。
カイラ自身も同年代の子供に興味を惹かれ、少しサービスするように手品で使った飴を撒いた。「いいの!?」と口にしたオチャコにウインクをして「さしあげますわ!」と笑った。
その後も剣を使った踊り、剣舞を披露したりとその瞬間ばかりはカツキも興味を示していた。踊りの一環ではあるがそれなりの太刀筋であった。身のこなしも軽かったし、ちょこまかうざったそうであるが強い奴であると確信したのだった。
「ブラボー! ブラーーボ!!」
「すげぇな、何がどうなってるのかわからなかった」
「すごいすごーい!」
「お褒めにあずかり光栄ですわ」
「えっとたしかこういうときってお代を……あった!」
置いてあった箱の中にはすでにそれなりの額が貯まっていた。イズクたち財布を持っている者が入れようとしたところカイラはこともなげに言った。
「お代は結構ですわ」
「え!? あんなにいいものを見せてもらったのに!?」
「そうだ! 対価はちゃんと払わなければ!」
「わたくし子どもからはお代をもらいませんの。どうしてもというのなら、大人になったときにお願いしますわ」
「な、なんて良心的なんだ……!!」
「元々は泣いていた子どもを慰めるために始めたことですの。それがいつのまにか職業として定着しただけですわ」
「お前えらいな。俺たちとそう変わらないのにしっかりしてる」
「そうかしら? まぁ、一人旅のしがない旅芸人ですもの。たくましくもなりますわね」
「なぁおまえ、俺とタイマンやれ。剣でもなんでも使ってきてかまわねぇからよ」
「ちょっとカッチャン!? いきなり何言ってるの!」
「いいですわよ」
「いいの!!?」
カツキがいきなりカイラと戦いたがったのも、カイラが了承するのも驚きしかなかった。アイザワは面倒なことになったと頭を抱えた。筋肉質で力自慢なカツキはなんとあのドラゴンのハーフ、エイジロウにさえ勝ったほどだ。カイラは見るからに華奢であったし、とてもカツキに渡り合えるようには見えなかった。
それにカツキは負ければ奴隷と言ってくるほどである。カイラが奴隷になるようなことがあってはならないとイズクたちはカツキにやめるよういったのだが、カツキはそれでは面白くないというし、肝心のカイラがかまわないと言い出すしでめちゃくちゃであった。
だがしかし、予想に反してカイラは十分にカツキに渡り合っていた。
「ハッ! おめぇ見かけによらずやるじゃねぇか!!」
「お褒めいただき強烈至極ですわ!!」
「恐悦至極の間違いだろ。頭は弱ぇなあああ!」
「わたくし頭はたしかにあんまりですけれど、力には自信がありましてよっ! カツキあなたもよくぞわたくしの岩をも砕く拳を受け止めましたわね!」
「こんくれぇよゆーだわ!!」
「す、すごい……カイラってあんなに力自慢だったんだ……!」
「華奢なのにな」
「カツキがあんな押されてんの初めて見たぜ! どうなんだこれ!?」
「この場合さ、カイラが勝ったらカツキの奴隷のアンタもカイラの奴隷ってこと?」
「え!? あ、たしかにそうかもしれねぇな!? 俺にも関係あったわ!」
だがそんな白熱した試合も、アイザワの「いい加減にしろ。遊んでる暇はない。先を急ぐぞ」との怒りの声に決着がつかぬまま終わることになった。
カツキはそれに不完全燃焼を起こしイライラしていた。「お前もこいや!」といったところこれまた「いいですわよ」と軽く返事が返ってくるものだから驚いた。
「え、いいの!? カイラも行くところあるんじゃ」
「まだ決めてませんでしたの。目的のない旅も気ままでいいものですけれど、あなた方はなにかお困りのようですし……強力ながらお力添えいたしますわ!!」
「(強力ながら……)願ってもないことだけどいいのかな? 僕たち勇者の失踪の件を追ってて、これから魔王とも戦うことになるんだけど……」
「あら、そうでしたの。でしたらなおの事、こちらからも同行をお願いしますわ。わたくしのマスターも行方がしれませんの」
「マスターって、アンタの師匠も勇者なわけ?」
「あ……そういえばマジェスティックの愛弟子なんだよね。どうりで戦いなれてるわけだ」
「心強いわ。よろしくお願いね、カイラちゃん」
「ええ。よろしくお願いしますわ!」
こうしてカイラも一行に加わり、魔王退治の旅に出るのであった。
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