五月、ついに雄英高校の一大イベント雄英体育祭が始まろうとしていた。
告知されてからというものの、他科やB組の生徒まで偵察にきたりとすごい注目度だった1年A組。その間、なにやら隈の酷い紫の髪の男子生徒に異様に見られた傀薇である。どこかで面識でもあったんだろうか、記憶にない。まぁ、とにもかくにも二週間各々トレーニングに励み、万全の状態で挑もうとしていた。
「緑谷」
「轟くん……何?」
「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う」
「へ!? うっうん……」
「おまえオールマイトに目ぇかけられてるよな。別にそこ詮索するつもりはねぇが……おまえには勝つぞ」
明らかな宣戦布告に傀薇はむっとする。好敵手宣言をした傀薇に轟は見向きもしない。悔しいとても悔しい。轟の好敵手ポジションはわたくしのものでしてよ!? と緑谷にジェラシーが湧いた。
けれど、自分も本気で獲りにいくといった緑谷には好感がもてた。その意気ですわ緑谷、あなたの可能性は無限大ですもの。傀薇は何だかんだ緑谷のことも結構気に入っているのだ。
そうして入場するとそれはもうすごかった、たくさんのプロヒーローが見に来ていたのだ。傀薇は気合十分だった。なにせ傀薇の可能性も無限大なので。
「選手宣誓!! 1−A爆豪勝己!!」
「え〜〜かっちゃんなの!?」
「あいつ一応入試1位通過だったからな」
「ヒーロー科の入試 な」
「え!? そうでしたの? 爆豪って頭もよかったんですのね!」
「手繰は頭がなぁ……惜しかったよなぁ……」
「次は負けませんわ!」
普通科の訂正する棘にも気づいた様子はなく傀薇は純粋に爆豪を称賛した。粗暴な面ばかりが目立つがなかなか頭がキレるやつなのである。傀薇は早くも前向きに来年の選手宣誓を目指した。前向きすぎである。
「せんせー俺が一位になる」
「絶対やると思った!!」
辺りがブーイングに包まれるなか、傀薇は明るく「爆豪らしいですわね! でもわたくしが一番を獲らせていただきますわ!」と笑った。そうして続く第一種目は障害物競争だった。
「やっぱり轟ならこう来ますわよね!」
開始すぐ入り口を凍らせた轟に傀薇は笑う。個性を使うまでもなく恐るべき身体能力でそれを回避し前へ躍り出た。A組は当然のように全員回避していたし、続くB組の面々も回避したようだった。意外だったのは他科の生徒の中でも回避した人間がいたことだった。
「さぁいきなり障害物だ!! まずは手始め……第一関門ロボ・インフェルノ!!」
「あら! 懐かしいですわ!」
入試のときに現れた0P敵である。轟がまず凍らせて妨害と攻略を同時に遂げた。爆豪などは頭上から攻略していく。傀薇は糸を使ってまるで人形劇のように0P敵を操っていく。近くにいた塩崎がそれに驚いた顔をした。入試のときは瀬呂や塩崎たちに手伝ってもらって転倒させたそれを一人で自由自在に操ってみせたのだ。
「わたくし、常に進化してますの。入試のときにできなかったこと、もうできるようになっていましてよ!」
そうして他の0P敵と同士打ちさせていく。個性、マリオネット。身体のどこからでも針と糸を出し、それを対象に付着させることで意のままに操る個性。八百万が創造した大砲と合わせ道が開けたそれに周りが「道が拓けた!」「A組の女子たちが突破してくれたー!」と湧く「これもヒーロー活動ですわ」「……ちっ、お高く留まりやがって」まぁ誰も彼も好意的ではないものだ。
「オイオイ第一関門チョロイってよ!! んじゃ第二はどうさ!? 落ちればアウト!! それが嫌なら這いずりな!! ザ・フォーーール!!!」
「大げさな綱渡りね」
「これこそチョロいですわ!!」
50m走でしたときのように掌からワイヤを出し一気に距離を縮める。近くでサポート科だという生徒が傀薇と同じことをしていた。シンパシーを感じる。「あなた! とっても素敵ですわね!」「フフフ、ありがとうございます! あなたも素敵です!」そう主にある意味真っ直ぐすぎるところとか。
「轟が先頭ですわね、さすがわたくしの好敵手でしてよ……」
轟、爆豪に次いで傀薇が第三関門に入る。持ち前の身体能力を生かし縦横無尽に地雷をよけて駆けまわった。けれどその姿はまるで――。
「おーーっと!? 1年A組手繰傀薇!! これは美しい!! まるで踊っているかのようだーーー!! 魅せてくれるぜ!!」
「わたくし社交ダンスが趣味ですの!」
ヒーローとはただ助けるだけではない、魅せるものでもある。持ち前の花の顔 と長年続けている社交ダンスを活かし魅せていく。ビジュアル的にもこれは多くのプロの目にとどまった。
身体に染み付いたそれが上手くフィールドとかち合う。あっという間に轟と爆豪に迫っていった。
「脳筋バカ! 悠長に踊る余裕があるってかぁ!!?」
「何を言ってますの。こうしてリズムを整えることで障害物をより早く避けながら進むことができますのよ!」
「そーかよ!!」
その瞬間後方で大爆発が起きた。その爆風に乗ってなんと緑谷が一気に飛んできたのだ。
「デクぁ!!! 俺の前を行くんじゃねえ!!!」
「(後続に道作っちまうが……)後ろ気にしてる場合じゃねえ……!」
「緑谷……! わたくしちょっとひどいことしますわ!!」
傀薇が緑谷の持っているロボの装甲に針を飛ばした。付着したそれに個性を使い取り上げようと試みた。ごめんなさい緑谷。きっとすごく痛いですわ……! と傀薇が一瞬躊躇った隙を緑谷は見逃なかった。手繰さん、君が優しい人でよかった……! 傀薇がマリオネットを行使するより先に間髪入れず第二撃に入った。
「さァさァ序盤の展開から誰が予想できた!? 今一番にスタジアムへ還ってきたその男――――緑谷出久の存在を!!」
「緑谷……あなたは本当に……すごいですわね……」
4位でゴールした傀薇が素直に称賛した横で爆豪がものすごい顔をしていた。気に入らなかった、緑谷に先を越されたことも、1位でゴールできなかったのも、轟ばかりライバル視している傀薇が素直に緑谷を称賛したのも。なにもかもが気に入らなかった。
傀薇も悔しい気持ちでいっぱいだった。轟の好敵手として緑谷が自分より何歩も先をいっている。いつもどこか違うところを見ているような轟の目にちゃんと好敵手として映りたかった。
「……次は負けませんわ」
傀薇は強い意志を湛えた瞳で緑谷を見た。緑谷に負けたくないと闘志を燃やした。
告知されてからというものの、他科やB組の生徒まで偵察にきたりとすごい注目度だった1年A組。その間、なにやら隈の酷い紫の髪の男子生徒に異様に見られた傀薇である。どこかで面識でもあったんだろうか、記憶にない。まぁ、とにもかくにも二週間各々トレーニングに励み、万全の状態で挑もうとしていた。
「緑谷」
「轟くん……何?」
「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う」
「へ!? うっうん……」
「おまえオールマイトに目ぇかけられてるよな。別にそこ詮索するつもりはねぇが……おまえには勝つぞ」
明らかな宣戦布告に傀薇はむっとする。好敵手宣言をした傀薇に轟は見向きもしない。悔しいとても悔しい。轟の好敵手ポジションはわたくしのものでしてよ!? と緑谷にジェラシーが湧いた。
けれど、自分も本気で獲りにいくといった緑谷には好感がもてた。その意気ですわ緑谷、あなたの可能性は無限大ですもの。傀薇は何だかんだ緑谷のことも結構気に入っているのだ。
そうして入場するとそれはもうすごかった、たくさんのプロヒーローが見に来ていたのだ。傀薇は気合十分だった。なにせ傀薇の可能性も無限大なので。
「選手宣誓!! 1−A爆豪勝己!!」
「え〜〜かっちゃんなの!?」
「あいつ一応入試1位通過だったからな」
「
「え!? そうでしたの? 爆豪って頭もよかったんですのね!」
「手繰は頭がなぁ……惜しかったよなぁ……」
「次は負けませんわ!」
普通科の訂正する棘にも気づいた様子はなく傀薇は純粋に爆豪を称賛した。粗暴な面ばかりが目立つがなかなか頭がキレるやつなのである。傀薇は早くも前向きに来年の選手宣誓を目指した。前向きすぎである。
「せんせー俺が一位になる」
「絶対やると思った!!」
辺りがブーイングに包まれるなか、傀薇は明るく「爆豪らしいですわね! でもわたくしが一番を獲らせていただきますわ!」と笑った。そうして続く第一種目は障害物競争だった。
「やっぱり轟ならこう来ますわよね!」
開始すぐ入り口を凍らせた轟に傀薇は笑う。個性を使うまでもなく恐るべき身体能力でそれを回避し前へ躍り出た。A組は当然のように全員回避していたし、続くB組の面々も回避したようだった。意外だったのは他科の生徒の中でも回避した人間がいたことだった。
「さぁいきなり障害物だ!! まずは手始め……第一関門ロボ・インフェルノ!!」
「あら! 懐かしいですわ!」
入試のときに現れた0P敵である。轟がまず凍らせて妨害と攻略を同時に遂げた。爆豪などは頭上から攻略していく。傀薇は糸を使ってまるで人形劇のように0P敵を操っていく。近くにいた塩崎がそれに驚いた顔をした。入試のときは瀬呂や塩崎たちに手伝ってもらって転倒させたそれを一人で自由自在に操ってみせたのだ。
「わたくし、常に進化してますの。入試のときにできなかったこと、もうできるようになっていましてよ!」
そうして他の0P敵と同士打ちさせていく。個性、マリオネット。身体のどこからでも針と糸を出し、それを対象に付着させることで意のままに操る個性。八百万が創造した大砲と合わせ道が開けたそれに周りが「道が拓けた!」「A組の女子たちが突破してくれたー!」と湧く「これもヒーロー活動ですわ」「……ちっ、お高く留まりやがって」まぁ誰も彼も好意的ではないものだ。
「オイオイ第一関門チョロイってよ!! んじゃ第二はどうさ!? 落ちればアウト!! それが嫌なら這いずりな!! ザ・フォーーール!!!」
「大げさな綱渡りね」
「これこそチョロいですわ!!」
50m走でしたときのように掌からワイヤを出し一気に距離を縮める。近くでサポート科だという生徒が傀薇と同じことをしていた。シンパシーを感じる。「あなた! とっても素敵ですわね!」「フフフ、ありがとうございます! あなたも素敵です!」そう主にある意味真っ直ぐすぎるところとか。
「轟が先頭ですわね、さすがわたくしの好敵手でしてよ……」
轟、爆豪に次いで傀薇が第三関門に入る。持ち前の身体能力を生かし縦横無尽に地雷をよけて駆けまわった。けれどその姿はまるで――。
「おーーっと!? 1年A組手繰傀薇!! これは美しい!! まるで踊っているかのようだーーー!! 魅せてくれるぜ!!」
「わたくし社交ダンスが趣味ですの!」
ヒーローとはただ助けるだけではない、魅せるものでもある。持ち前の花の
身体に染み付いたそれが上手くフィールドとかち合う。あっという間に轟と爆豪に迫っていった。
「脳筋バカ! 悠長に踊る余裕があるってかぁ!!?」
「何を言ってますの。こうしてリズムを整えることで障害物をより早く避けながら進むことができますのよ!」
「そーかよ!!」
その瞬間後方で大爆発が起きた。その爆風に乗ってなんと緑谷が一気に飛んできたのだ。
「デクぁ!!! 俺の前を行くんじゃねえ!!!」
「(後続に道作っちまうが……)後ろ気にしてる場合じゃねえ……!」
「緑谷……! わたくしちょっとひどいことしますわ!!」
傀薇が緑谷の持っているロボの装甲に針を飛ばした。付着したそれに個性を使い取り上げようと試みた。ごめんなさい緑谷。きっとすごく痛いですわ……! と傀薇が一瞬躊躇った隙を緑谷は見逃なかった。手繰さん、君が優しい人でよかった……! 傀薇がマリオネットを行使するより先に間髪入れず第二撃に入った。
「さァさァ序盤の展開から誰が予想できた!? 今一番にスタジアムへ還ってきたその男――――緑谷出久の存在を!!」
「緑谷……あなたは本当に……すごいですわね……」
4位でゴールした傀薇が素直に称賛した横で爆豪がものすごい顔をしていた。気に入らなかった、緑谷に先を越されたことも、1位でゴールできなかったのも、轟ばかりライバル視している傀薇が素直に緑谷を称賛したのも。なにもかもが気に入らなかった。
傀薇も悔しい気持ちでいっぱいだった。轟の好敵手として緑谷が自分より何歩も先をいっている。いつもどこか違うところを見ているような轟の目にちゃんと好敵手として映りたかった。
「……次は負けませんわ」
傀薇は強い意志を湛えた瞳で緑谷を見た。緑谷に負けたくないと闘志を燃やした。
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