雄英体育祭第二種目は騎馬戦だった。第一種目の順位でそれぞれの持ちPが決まっている。二人〜四人で組み、その総合Pを競い合うというものだった。
下の順位から5Pずつ増えるはずのそれがなんと1位の緑谷だけ1000万というぶっ飛んだものだった。当然緑谷は狙われまくるというやつだ。
「手繰さん……! あのあの、僕とよかったら……」
「緑谷、チームでしたらお断りしますわ」
「あ……そうだよね、僕すごく狙われ――」
「あら、それは理由にはならなくてよ。わたくし手を使えないと個性をうまく使えませんの。緑谷もそうでしょう? わたくしは騎馬にはなれませんのでお断りしたのですわ」
「え!? そうだったんだ……! 僕てっきり……!」
「でもわたくし、緑谷に負けたくないので組みたくありませんわ!」
「どっちにしろだめだったーーー!!」
どやっとした傀薇の表情に緑谷がツッコミを入れた。しょうがない、傀薇は轟の件でジェラっている上に障害物競争で闘争心に火がついてしまったので。そうして緑谷と分かれるとさてどうしたものかと考える。傀薇は八百万と組みたかったのだが、なんと先に轟にとられてしまった。誰と組もうかと悩んでいる最中、意外なところから声がかかった。
「まさかB組から声がかかるとは思いませんでしたわ」
「塩崎がどうしてもってね。なんか入試すごかったんだって?」
「それほどでもありますわね!」
「かーーっ! 塩崎の頼みだから聞いたけどよぉ! A組ってのはどうしてこうも不遜かねぇ!!」
「ふそん……?」
「あーちょっと頭が弱そうだな、塩崎これほんとに大丈夫?」
「わたくし頭もとても頑丈でしてよ! 岩にぶつけても怪我一つしませんでしたの!」
「そういう意味じゃないけどそりゃすごいな!?」
「……私の太陽……素敵です……!」
「あーこりゃだめだ」
傀薇はなんとA組ではなくB組と組むことになった。入試で一緒だった塩崎の提案である。入試の一件から塩崎は傀薇を心酔していた。誰も彼もが逃げた0P敵に勇ましくも一人立ち上がり果敢に戦ってみせたその姿の凛々しいこと。自然と傀薇を中心に集まり一丸となるそのカリスマ性といったらもう、塩崎にとってはまさに「正義の太陽」、「世の光」そのものだったのだ。純粋な心を持つ塩崎はすっかり虜になっていた。
「はじまりましたわ! 狙うはもちろん緑谷 でしてよ!」
「おうよ!!」
傀薇たちのチームは意外なほどバランスがとれていた。傀薇の個性はピンポイントにハチマキを気づかれずに奪取することが可能であったし、仮に気づかれても骨抜の柔化で妨害、塩崎の攻防一体のツルに鉄哲のフィジカルといったらすごかった。
「鉄哲! あなたすごいですわね! わたくしの岩をも砕く拳を受けて立っていたのはあなただけですわ!」
「間違えて殴ってんじゃねぇよ!! でもあんがとな!! お前もいい拳だったぜ!!」
「超越至極に存じますわ!!」
「恐悦至極ね、でも意外となんかいいじゃん。俺らいいチームじゃんね」
「ああ太陽……あなたはいつもこうして皆をまとめあげる……素敵です」
実にいいチームだった。こうして他の騎馬からもPを奪っている間も、傀薇たちは緑谷を注視しつづけていた。1000万をあきらめたわけじゃないのだ。轟の広範囲氷結により傀薇が力技で突破しようとしたところを他の騎馬に狙われ、そちらの相手をしているうちに次の騎馬が現れと時間を食ってしまっただけで諦めてなどいないのだ。それは緑谷から轟に1000万が移った今もそれは変わらない。そしてチャンスが訪れる。緑谷に気圧された轟が炎 を使ったのだ。その瞬間傀薇は思いっ切り糸を飛ばした。
「!! 隙ありですわ!!」
「頼む助けてくれえええ!!」
「!? どうし――」
その声に思わず反応してしまった。体育祭の最中だとかそんなこと頭から抜けて、反射的に答えてしまった。その瞬間傀薇の意識がなくなる。鉄哲たちも同様に呼びかけに答えてしまい意識を落とす。その人は傀薇の獲ったハチマキを簡単に奪い、首にかけた。
「甘いんだよ。無謀で、お高く留まって、ついでに甘ちゃんときた。手繰傀薇……ヒーローになるのはこの俺だ」
隈が特徴的な男子生徒だった。ヒーロー科ではない。
彼は何の反応も示さずぼーっとしている傀薇を鼻で笑うのだった。
下の順位から5Pずつ増えるはずのそれがなんと1位の緑谷だけ1000万というぶっ飛んだものだった。当然緑谷は狙われまくるというやつだ。
「手繰さん……! あのあの、僕とよかったら……」
「緑谷、チームでしたらお断りしますわ」
「あ……そうだよね、僕すごく狙われ――」
「あら、それは理由にはならなくてよ。わたくし手を使えないと個性をうまく使えませんの。緑谷もそうでしょう? わたくしは騎馬にはなれませんのでお断りしたのですわ」
「え!? そうだったんだ……! 僕てっきり……!」
「でもわたくし、緑谷に負けたくないので組みたくありませんわ!」
「どっちにしろだめだったーーー!!」
どやっとした傀薇の表情に緑谷がツッコミを入れた。しょうがない、傀薇は轟の件でジェラっている上に障害物競争で闘争心に火がついてしまったので。そうして緑谷と分かれるとさてどうしたものかと考える。傀薇は八百万と組みたかったのだが、なんと先に轟にとられてしまった。誰と組もうかと悩んでいる最中、意外なところから声がかかった。
「まさかB組から声がかかるとは思いませんでしたわ」
「塩崎がどうしてもってね。なんか入試すごかったんだって?」
「それほどでもありますわね!」
「かーーっ! 塩崎の頼みだから聞いたけどよぉ! A組ってのはどうしてこうも不遜かねぇ!!」
「ふそん……?」
「あーちょっと頭が弱そうだな、塩崎これほんとに大丈夫?」
「わたくし頭もとても頑丈でしてよ! 岩にぶつけても怪我一つしませんでしたの!」
「そういう意味じゃないけどそりゃすごいな!?」
「……私の太陽……素敵です……!」
「あーこりゃだめだ」
傀薇はなんとA組ではなくB組と組むことになった。入試で一緒だった塩崎の提案である。入試の一件から塩崎は傀薇を心酔していた。誰も彼もが逃げた0P敵に勇ましくも一人立ち上がり果敢に戦ってみせたその姿の凛々しいこと。自然と傀薇を中心に集まり一丸となるそのカリスマ性といったらもう、塩崎にとってはまさに「正義の太陽」、「世の光」そのものだったのだ。純粋な心を持つ塩崎はすっかり虜になっていた。
「はじまりましたわ! 狙うはもちろん
「おうよ!!」
傀薇たちのチームは意外なほどバランスがとれていた。傀薇の個性はピンポイントにハチマキを気づかれずに奪取することが可能であったし、仮に気づかれても骨抜の柔化で妨害、塩崎の攻防一体のツルに鉄哲のフィジカルといったらすごかった。
「鉄哲! あなたすごいですわね! わたくしの岩をも砕く拳を受けて立っていたのはあなただけですわ!」
「間違えて殴ってんじゃねぇよ!! でもあんがとな!! お前もいい拳だったぜ!!」
「超越至極に存じますわ!!」
「恐悦至極ね、でも意外となんかいいじゃん。俺らいいチームじゃんね」
「ああ太陽……あなたはいつもこうして皆をまとめあげる……素敵です」
実にいいチームだった。こうして他の騎馬からもPを奪っている間も、傀薇たちは緑谷を注視しつづけていた。1000万をあきらめたわけじゃないのだ。轟の広範囲氷結により傀薇が力技で突破しようとしたところを他の騎馬に狙われ、そちらの相手をしているうちに次の騎馬が現れと時間を食ってしまっただけで諦めてなどいないのだ。それは緑谷から轟に1000万が移った今もそれは変わらない。そしてチャンスが訪れる。緑谷に気圧された轟が
「!! 隙ありですわ!!」
「頼む助けてくれえええ!!」
「!? どうし――」
その声に思わず反応してしまった。体育祭の最中だとかそんなこと頭から抜けて、反射的に答えてしまった。その瞬間傀薇の意識がなくなる。鉄哲たちも同様に呼びかけに答えてしまい意識を落とす。その人は傀薇の獲ったハチマキを簡単に奪い、首にかけた。
「甘いんだよ。無謀で、お高く留まって、ついでに甘ちゃんときた。手繰傀薇……ヒーローになるのはこの俺だ」
隈が特徴的な男子生徒だった。ヒーロー科ではない。
彼は何の反応も示さずぼーっとしている傀薇を鼻で笑うのだった。
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