『準決勝二戦目!! サポート科の意地を見せろ! 飾バーサスまた女と当たったな!? 爆豪! スタート!』

初っ端から爆豪は容赦なかった。
サポートアイテムを爆破でぶっ壊しにかかってくるし、女だからとか、ヒーロー科じゃないからとか、そんな手心何て加えなかった。ギラついた捕食者の目。きららをぶっ殺しに来る目だった。


「マジ身体能力鬼すぎない!? やっぱ爆ぴレベチだわ……!」
「あ゛!? そのふざけた呼び名は俺のことか!? だせぇ呼び方してンじゃねェ! このデコギャル!」
「爆ぴに言われたくはないんですけど〜?」

デコギャルもなかなかにひどいぞ。
接近戦はやっぱしたくない。身体能力が段チすぎる。これもう少しでも触られたら一瞬で勝負が決まるやつ。
正直爆豪自体圧がやばたん。こう、強者オーラがダダ漏れ。よくうらんてぃーこれに立ち向かったな、マジ尊敬。でもまぁ、だからこそきららもがんばんなきゃって思う。

顔面すれすれで爆破が起きる。ほんと容赦ない。髪ちょっと今ので焦げなかったか。爆ぴさてはモテないだろ。なんて思いつつもきららも手を止めなかった。


「ちょこまかとうぜぇな!」
「爆ぴもしつこ! しつこい男はモテないぞっ」
「余計なお世話だばぁか!!」
「ばぁかって……爆ぴって、意外とかわいいとこあんだね」
「あ゛!? ……っ」
『あーっと! これは常闇戦で使ったキラキラマックスーー!!』

常闇戦で使ってしまって、再び煌めかせるために充電に時間がかかった。
今のうちに爆豪にダサデコを施せばきららにも勝機はある。けれど……やっぱり爆豪はそんなに甘くない。目が見えなくとも耳を、わずかな気配を辿って的確に当ててくる。


「〜〜っ! マジで痛いっ!」
「そこか!!」

爆豪相手に大怪我しないとかマジムリ。てかこんなんじゃ爆豪がデコらせてくれるわけ。
しかも時間が経過するにつれて動きが冴えわたってきている。身体能力鬼で個性ド派手でスロースターターとか……え、これマジ勝てるんか? 勝てる気がしないんだが??

痛いのを貰った。装備してたサポートアイテムが今ので何個かやられた。光が大分収まる。マジか、もう今んとこ用意してるの奥の手しかないんだが??


「ねぇー爆ぴ」
「話してる余裕あるんかクソギャル!!」
「おっと、なんかグレード下がってっし。まぁいーや。あたしサポート科だし、正直個性よりアイテムみてもらいたいし、本戦この場も企業にアピールする場としか思ってなくて、優勝とかどーでもよかったんだけどさ」
「何が言いてェ」
「まぁまぁ、戦いながらでいいから聞いてよー。でもさ、なんか……みんな熱くてさ。なーんかあたしも引っ張られたんだよね。どんな形でも、あたしも本気で挑みたいなって思ってさ」

きららの表情がそれまでの飄々としたものとは打って変わり、真剣なものになっていた。
きららはヒーロー志望ではない、スポーツマンシップを掲げで誇りをもって挑むような性分でもない。でも、ハートはわりと熱い奴である。

周りの本気に自分も本気で応えられる人間で在りたいと思わせてくれた。
――将来の偉大なヒーローたちよ。きららも本気で見せに行く。

足に残っていたサポートアイテムのジェットを最大まで上げる。爆豪に爆速で接近し、すれ違いざまに超速でデコってやった。


「将来、君たちにサポートアイテムを提供する最高の技術者だよ! 末永くよろぴ〜!」
「は……」
「飾さん場外! 決勝戦進出爆豪くん!!」
「んじゃこらああああ!!!」
「にゃはははは」

爆豪の体操服にでかでかと「爆太郎」とデコってあった。あの一瞬でデコる技術もさながら、いやお前止まれんかったんかいというツッコミもあった。


「いやさぁ、とまれっしょーって思ったら全然とまれなくてマジあせあせ! 爆ぴにアイテム壊されまくってじゅーりょー軽すぎたっぽい! コントロールするとかむりぽよすぎた!」
「おめぇやっぱばかだろ!!!」
「言い返せんつらたん」
「つかこれ外せ! 今すぐ外せ!! いやもう脱ぐわ!!」
「え〜爆ぴちょーダイタン。トレンドに爆ぴの肉体美絶対のるわ」
「ああ゛!? やっぱおまえが外せや!」
「おけおけ、爆ぴもちょっと抜けてんのね」
「抜けてねェわ!!」

にゃはにゃは笑いながらデコをとっていくきららに「はよしろ!」と爆豪が急かす。

席で見ていた芦戸は「あれ、きらら爆豪とも意外といい感じじゃない!?」とキラキラした。恋バナに飢えている。
そんなこと知らないきららは爆豪に「つかその爆ぴってのやめろや……!」とキレられていた。「爆ぴこそクソギャルとかやめよーよ」「おめーはこれで十分だわ」「爆ぴこそ似合ってるよ爆ぴ」「ああ゛!?」肝っ玉が太い。







その後決勝戦は轟と爆豪であったが、轟は出した炎をすぐ消してしまい、結果爆豪が優勝した。大変納得のいかない優勝だったらしく、酷く暴れて表彰式では全体未聞の拘束された姿が全国放送された。
3位と大健闘したきららは爆豪のその姿に大爆笑した。あと2位でお立ち台に一緒に上っていた轟の顔面は騎馬戦前に見た時よりずっと輝いていた。とどしょマジ神だわ。

正直自分が3位まで行くとは思わなかった。騎馬戦前の自分が聞いたら「そマ? んなわけ」と爆笑していただろう。やっぱパナイわヒーロー科。こんだけ引っ張られた。すさまじい影響力である。
きららはもう将来が楽しみで仕方がなかった。こんな最&高のヒーローたちに野望をかなえてもらえると思うと、高まるってものである。

そんなこんなで、とりま雄英体育祭は閉幕するのであった。


 


戻る
top