3


一哉は浦部から逃げたいらしく、必死な抵抗中。

僕?もちろん腕を捕まれたまま。逃れても無駄だろうから諦めた。諦めは肝心っていうだろ?

「あんたら、めっちゃ強いなぁ!」
「ウチらに勝ったん、あんたらが始めてや!」

大阪ギャルズのメンバーが口々に言う。負けなしって…あの噂は本当だったのか…それを聞いて雷門イレブンも口々に言う。

「それを言うなら君たちだって!」
「あぁっ!効いたぜ!あのシュート!」
「それにあのボール捌きもな!」

と何故か小さな女の子に気に入られてしまった様子の目金が顔をひきつらせながら言った。

「この僕たちと互角に戦えるなんて…何か秘密があるんじゃないですか?」

途端、大阪ギャルズが息を呑んだ。一哉と僕を抑えていた浦部もピタリと動きが止まった。その様子に雷門イレブンはいぶかしげに見る。

「「ん?」」

すると浦部は僕たちをすんなり離してくれた。僕らは顔を見合わせ、浦部を見る。

「実はな…」
「「あぁぁっ!!!」」

何かを暴露しようとした浦部を慌てて押さえ込む大阪ギャルズメンバー。

すると苦しまぎれに大阪ギャルズのメンバーがボケたり突っ込んだりしだしたかと思えば、コソコソ話をし出したり…何だか忙しなくしている。

…本当にこのチームは全体的に忙しいというか騒がしい子達だな…
ま、大阪のキャピキャピした女の子なんてこんなもんか。

「ふっ、しゃあないな…」

バンダナを着けた小さな女の子が言うと一斉に大阪ギャルズは立ち上がった。

「みんな…ありがとうやで!自分等、着いてきぃ!」

▽▲▽



「えっと、風丸だっけ?」
「あぁ!さっきのプレー、凄かったな。あんな高いジャンプ、初めて見たよ!あのシュートも凄い威力だったしな。」

誉めちぎってくれる風丸に僕は少しはにかんで答えた。
浦部について行く途中、並んで歩いてくれる彼に心の中で感謝しまくりだ。こんな途中参加の奴を相手してくれるなんて彼は仏なのだろう。

「ありがとな。ジャンプの高さでは誰にも負けないと思ってんだ。そう言って貰えると嬉しいよ。風丸だって速さじゃ誰にも負けないだろ?」
「…どうかな…」
「少なくとも、僕の出会ったプレーヤーの中では群を抜いて速いと思うな」
「あ、あぁ…ありがとう…しかし…あの短時間でこのメンバーの名前覚えたのか?」
「うーん…円堂と一哉は知ってたからなあ…まあ鬼道、と音無も知ってたんだけどさ。それに雷門イレブンは有名だから、聞いた事くらいあったから覚えやすかったんだよ」
「そうか。えっと、お前は…名字だっけ?」
「いや、名前で良い。名字で呼ばれんのには慣れてないんだ」

それにあんま、その名字、好きじゃないだと心中で付け足しておいた。

「分かった。よろしくな、名前」
「こちらこそ、風丸」

▽▲▽


連れて来られた先はなにはランド内にあるお城。

「お城っすかぁ?」
「ここに秘密が…?」

壁山と目金が不思議そうに言う。他の面々も不思議そうだ。

かく言う僕も不思議でならない。彼女達が強い理由が何故お城にあるのだろうか。

「こっちやで!」

浦部はずんずんとお城の奥に進んでいくと行き止まりに着いた。

「下に何かあるの?」
「でも…さっき調べた時は何もなかったぞ?」

木野と土門が言う。さっきというのは何を探していたんだろうか…後で誰かに聞こう。

「と思うやろ?」

浦部は手すりの一部をレバーのように押した。
ガクンッ――――急に足元が揺れたかと思うと、

「「うわぁっ!」」

そのままエレベーターの様に地下に降りていった。周りは色々な色が光っていて綺麗だなと場違いながら思う。
エレベーターは地下に着いたようで止まった。

「ここがウチらの練習場やねん!」

▽▲▽


浦部に見せてもらったトレーニングマシーンは、派手な飾り付けばされていたが、どれも難易度の高い物ばかりであった。

キャプテン円堂の提案で明後日のイプシロンとの戦いに備えてこの練習場で特訓する事に。

鬼道率いるDF陣は走る方向が切り替わるマシーン。風丸は走りながら障害物が飛んでくるマシーン。一之瀬と浦部は風丸のやつと似たようなマシーン。円堂はGK専用マシーン。吹雪はシュート専用マシーン。

まだ皆、これらのマシーンには悪戦苦闘しているようだ。と言う僕もかなり悪戦苦闘中。

僕が挑戦しているマシーンは吹雪の部屋の隣にあった、ジャンプ強化マシーン。高い塔の形をしていて数本の棒が出たり入ったりしている。その棒を足場に上を目指すという至ってシンプルなもの。

LV4にもなってくると難易度が愕然と上がった。次の足場に向かってジャンプしている途中、その足場がなくなったり…

「うわっ!」

踏み切り途中に足場が動いたり…となかなか難しい。ま、これはこれで特訓し甲斐がある。

▽▲▽


そろそろ息が切れてきた。こんなに汗かいたの久しぶりだ。しかし僕はいまだ塔の頂上に辿り着けずにいた。

「くそっ…」

拳を握りしめ顔を歪める。こんな表情を崩したのも久しぶりだ。

ウィン―――

突然、背後でドアが開いた。慌てて笑顔に直り振り替える。

「あ、風丸か」
「よっ!そろそろ昼にしないか?」
「…呼びに来てくれてありがとう」

彼は本当に仏のようだ。