好きだなんて絶対に言わないし、言ってやらない。
アイツが、思ったよりも俺のことを好きでいてくれるのが、なんだかひどくうれしかった。俺のほとんどはバレーで占められているのは周知の事実だけど、それでも俺の何割かは月島で埋まってるのだ。そうでなきゃ、こんなことするはずがない。
それでも優先度をあげないのは、そんな俺をみて気にしていません、って態度を取りながらもイラッとしたような、もやっとしたような態度をとる月島に、安心感を覚えるからだ。俺がバレーよりも優先できるほど器用でもないし、今後だって月島よりもバレーを優先させていくだろう。そんなときだって、月島は俺のことを見ていてくれるのだろうか。そう不安になるのだって、好き、だからなんだろう。
俺が一言、好きだといえば変わるのだろうか。
そう思わなくもないけれど、でもアイツだって言わないし、一緒にいたいとも言わない。それなら別に、言ってやるギリなんてないだろ?
はかりに乗せたときに、月島とバレーのどっちが重いかなんて、俺だけが知ってればいいんだ。
ちょっと、月島の方が重いかもしれないなんて。
好きだなんて絶対に言わないし、言ってやらない。
誰にも、教えてやらない。