「〜くんが今度結婚するんだって! 握野くん仲良かったよね?」
「ああ、式の招待状が来てた。あいつもまあ、あの頃から付き合ってた彼女と結婚するとは思わなかったなぁ」
「えー、すごく仲良くてお似合いのカップルだったじゃない!」
「まあ、否定はしないけど。……あんたは? まだ予定ないのか?」
「もー、仕事が忙しくてそんな余裕ないって知ってるくせに。今はお仕事が恋人だからいいんですうー」
「ははは、悪かったって。……よし、いつも頑張るプロデューサーを労ってやろう。甘いもん食いに行こうぜ」
「えっ握野くんのおごり!? わーいありがとう」
「あっこら! まあいいけど。ほら、いくぞ」
「えっ冗談なのに。でもありがとね」
 仕事が恋人なんて、その『恋人』の括りに何人も男が入っていることにひどく不快感を覚えた。ただの友人が、なにも言えたことじゃないのだけれど。
 この片想いがいつか叶うそのときには、この話も面白おかしくしてやろう。なんて心に決めて、今はとりあえず二人で食べる甘いものに心を馳せた。

甘いもの