「ほら、お弁当。お前の好きなものたくさん入れたからたくさん食べなさい」
「お兄ちゃんありがとー!」
 わたしのお兄ちゃんは、料理が得意です。高校生になった今でも、たまにお弁当を作っては私のところまで持ってきてくれます。
 お兄ちゃんのお弁当はおいしくって、食欲がないときにでも食べられるのでうれしい! お兄ちゃんからお弁当の入った小さな鞄を受け取って、中をのぞいてわくわくしていると、急にお兄ちゃんが頭を撫でてくれました。
 きょとん、としてお兄ちゃんを見上げると、いつもの困ったようなほほ笑みを浮かべています。首を傾げれば、「最近ごはんあんまり食べてないんだって?」と言われました。
 確かに、最近季節の変わり目でどうも食欲が落ちていました……。
 さすがお兄ちゃん、と思いますが、お兄ちゃんのご飯を食べ慣れていると食堂のごはん……はいいとしても、自分で作るごはんがあまりおいしいと感じられなくてついついご飯に手を抜いてしまいがちなのが原因だと思います。
 つまりお兄ちゃんのご飯がおいしいすぎるのがいけないんだ! とそう思いましたが、すべて口から出ていたようで、お兄ちゃんは一瞬きょとんとしてから、けらけらと笑いだしてしまいました。
「お兄ちゃんがいつでもご飯作ってあげるから、だからちゃんと食べなさい」
 そういってまた笑うと、じゃあ今日の夕飯は7時な、と言いおいて帰って行きました。さすがお兄ちゃん、私にはお母さんが二人いるみたい!

お兄ちゃんのご飯は世界一!

(今日のお夕飯はなんだろな♪)
(いくらでも作ってあげるから)(無理なんかしないで)