目が覚めると、緑色のもふっとしたものが胸元にあった。こうやって無意識にだったり意識的にだったり甘えてくるエルくんをみると、双子の弟なんだなぁと実感する気がする。
 大抵頑張りすぎたときだったり、愛想を振りまくのに疲れたときだったり、外面が外れそうなときなのだから可愛いものだ。本当に疲れた時にはこうやって子供が甘えてくるように甘える。
 少し前まで甘える相手がアールだったことを考えれば、私たちの関係も進展したと考えるべきか。とろとろとあげた腕で、もふっとした頭をなぜる。
 さわり心地がよい。髪をすくうようにすれば、よりすり寄ってくるように抱き着いてくるのがかわいい。起きたらかわいくないことをいうのだから、今だけは甘えさせてあげよう。
「ゆっくりおやすみ」
 優しくなぜて脳天にキスを一つ落として、軽く頭を抱き寄せる。少しだけ、と自分に囁いてもう一度やわらかいまどろみに身をゆだねた。

 やわらかく髪をなぞる手が心地よい。いつからだろうか、佳織に甘えたいと思うようになったのは。
 いつものがさつさからは程遠い優しい手つきで髪をすき、頭を抱える。あたたかいこの感じが、たまらなく恋しくなるのだ。
 やわらかく落とされるキスが、頭なのが少し残念だけれど、珍しく自分からキスをおとして存分に甘やかしてくれる佳織がいとしい。

やわらかくいとしい時間

(キミがいつもより甘く笑うから)(寝たふりなのは、内緒。)