ふたりになって一番はじめにしたことは空き家を借りることだった。思っていたより古くて、思わず顔を見合わせて笑ってしまった。「二人で一から始めよう」とそう笑うあくのさんの声がびっくりするほど優しくて、心臓の奥がぎゅっとつかまれたような気分になった。嗚呼これが。

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