抱き寄せる腕に、詰めていた息をそっと吐き出した。
「なんか、」
 ひどく柔らかい声に耳を寄せる。
「だめになりそうだ……」
 優しい声に、ダメになんかさせてくれないくせに、という反論は心の中だけに、背中に回した腕にそっと力を込めた。

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