目尻に唇を落とすとそっと震えるまつげがくすぐったい。泣いている姿なんか誰にも見せたくないし、泣かされることなんかあってたまるか、と思うけれど、完全無欠のヒーローではない俺が、すべてから守ることなんてできない。
 それに、俺にただ守られているだけのヒロインではないこの人は、やっぱり俺にとってただ一人のヒーローなんだと実感した。

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